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第2章

「コンテスト1位」

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「やっ……」
 服の下で、ルカの指が乳首を掠める。

「――――……ん、ん」
 びく、と強張った唇に、キスが――――……っ。

 無理無理無理無理、絶対にジェイとアランと他の人達が、
 もうすぐ、絶対に来るんだってばー!!

 顔を背けて、唇を離して。

「ルカ、ここじゃ、やだ……っ」

 必死で止めると。
 ルカは、ぴた、と動きを止めて。

 すごく嫌そうに、オレの服の下から、手を抜いた。

「嫌なら何で誘うんだよ」

 さささささささ……っ!??
 さ、誘って、ないし……!!

 うわーん!! 馬鹿ー!

 オレの、思いのこもってたキスを、
 すぐそっちに結び付けるとか!! 今のキス、返せー!


「――――……っん……」

 狼狽えてるオレの後頭部を押さえつけてきて。
 全然、逃げられない状態で、深い深い、キス。
 舌、熱くて、溶けそうになって。

 しばらくして、離された。


「……っふ……」

 声が漏れると。
 ルカが、ふ、と瞳を緩ませて、かぷ、と首筋に噛みついた。

「――――……っ」
「今はやめてやるから――――……後でな?……」

 そのまま、ぺろ、と首筋に舌、這わされて、びく、と震える。


「……っ……」

 こういう時の視線は、ほんと。どーしてそんなにっていう位、雄っぽくて。
 色っぽくなる。

 なんなの、ルカ。


 ――――……オレが、どんだけ経験積んでも、絶対、こんな風にはならないだろうなあ。と、思ってしまう。


 ほんと。フェロモンって、こういうののことなのかなあ。
 フェロモンコンテストとかあったら、ダントツ1位なんじゃないかなあ。

 ……って、何だそれ、どんなコンテストだ。
 誰が勝敗を判断するんだ。

 ………と、とりとめもない事を考えながら、目の前のルカの瞳を見上げていると。

 瞳の中の青が、すごく、きらめいて見えるし。

 ずるい、こんなエロいくせに、瞳だけ、そんなキレイとか。
 コンテスト、ダントツ1位のくせに……。

 と、自分でもほんとに何考えてるんだか分からなくなってきた、そこへ。

 アランやジェイが他の3人を連れながらドカドカ入ってきて、「またイチャついてるし」と騒がしくなって、やっとその瞳から、逃れる事が出来た。

 ていうか、イチャついてるって、今のこんなの比べ物にならないような事、直前までされてたけどね……。


 密かにため息をついていると。


「ソラ、カップ出して、お茶入れようぜ。お菓子も並べよ」
「うん」

 ジェイに呼ばれて、ルカの隣から立ち上がる。
 カップをジェイの前に並べて、オレは大きなお皿にクッキーとマドレーヌを置いていく。
 ジェイはお茶を注いでいって、席についてる皆に配っていく。
 

「なんか、昨夜も思ったけど、すげー可愛い食いもんだよなー」

 アランがオレが並べてくのを見ながら、クスクス笑う。


「なんかソラみたい、可愛い感じ」
「……は? オレに似せたのは1個もないんだけど」
「……そういう意味じゃねえよ」

 クスクス笑うアラン。


「あ、ミウはあるよ。これこれ。 可愛いでしょ」

 浮いてるミウを見ながら言うと、アランと来た3人も、似てる似てると笑う。
 皆に褒められて盛り上がってると。

「ソラ、こっち座れよ」
「あ、うん」

 ルカに呼ばれて、隣に座る。座った瞬間。
 目の前に座ってるアランが、「ルカってほんとにさあ……」とクスクス笑って、「うるさい」と、ルカに遮られてる。

「……なに?」

 オレがアランに視線を向けると。

「いやー…… ヤキモチやきの恋人って、大変じゃない?」

 ん? まさかそれは、ルカのこと?
 なんかルカ、じろ、とアランを見てるし。

 ……ま、いいや。
 スルーだ。こういう微妙なのは、スルーするのが一番だと、気づいてきた。

「ミウ、おいでー」

 ミウがオレの膝に乗っかる。
 ふわふわ。可愛い。

「ミウには、ミウのクッキーあげるね」

 分かってるのかいないのか、とにかく可愛く笑ってるから良しとする。


「いただきまーす」

「おー、うまいじゃん、これ」
「何このクマ。作んの大変じゃねえの?」
「そうでもないよ。ね、ジェイ」

「そーだな、丸めてくっつけて焼くだけだし」

「このふわふわのも美味い」

「マドレーヌっていうお菓子だよ」
「へー」

 強そうな男の人達ばっかりで、可愛いお菓子とお茶で、ティータイム。
 ちょっと笑える。

 お菓子の評判は良いみたい。
 何か、若干、なんでこんな可愛くすんの、的な空気はあるけど。
 まあ。ここの皆さんには、ちょっと似合わないと言ったら似合わない。

 ルカは、面白そうな顔して、色んな種類食べてるけど。


「美味しい? ルカ、マドレーヌ、どう?」
「ん、美味い」
「そっか」

 ふふ、と笑ってると。


「良かったなー、ソラ。 ルカ美味しいって言うかなって気にしてたもんなあ?」

 ジェイがそんな事を言ってくる。


「……っ」


 ジェイ、そういうのは言わなくていいんだけど……。

 熱くなりながら、む、とジェイを見つめると。
 ジェイはぷ、と笑ってる。


「ふーん……」

 ルカが、ニヤニヤしてるし。


「……別に。意味ないから。美味しいかなって、思っただけだから」

 ぶつぶつ言うと。

「ふーん」

 ルカ、可笑しそうに笑いながら、でっかい手で、オレの頭をヨシヨシしてくる。


「すげー美味いから」
「――――……」


 すぐ近くで、ふ、と笑まれて。

 う……。
 どき、と、弾む。

 この、目力強すぎる、ド迫力のイケメンは。
 ……そーいう顔して、笑わないでほしいんだけど。


 …………くそー。
 もーオレ、自分のこの反応が、全然意味が分からないし。はー。

 ひそかにため息きつつ、男だけのティータイム光景を見てると。


 ――――……うーん。ちょっと笑える。
 可愛いお菓子たちと、ミスマッチすぎて。




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