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第2章

「オレ様王子」

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「何か、お前、変な顔してねえ?」
「――――……してないよ?」

 そう答えるけど、ルカはじっと見つめたまま、ふ、と笑う。


「してるだろうが」

 ぷに、と、頬を摘ままれる。


「言えよ、何?」

 まっすぐ至近距離で見つめられる。

「――――……」

 変な顔。……してるとしたら、さっき考えてたあれかなあ……。
 オレって、そんなに顔に出ちゃうのかなあ。と思いながら。

 んー、何て言えば、とためらっていると。

 
「んな顔して、なんだっつーの? 早く言えよ」

 うう。
 ごまかせそうにないので、さっきから、もやもやしてた事を、口に出す事にしてみた。


「……ルカ、ってさ」
「うん?」

「……王子さま、じゃん?」
「そーだな?」

「王子の隣はさ、『姫』って、決まってるよね?」


 こんな事言って、「そうだな」とか言われて、姫の所に行かれたらどうしようかなーなんて、密かに思いながら、そう言ったら。


「……ん? 誰が決めたンだ?」
「――――……」

 え。……誰?

 ……絵本で見た?? ……ていうか、決まってるよね?

「お前の世界は知らねーけど、ここは、オレがトップだけど? 海超えたとこに別の国ができてて、行った事もあるけど――――……オレの国には関係ねえし。オレの横に居るのは、お前でいーけど?」

「……どっかから、文句は……」

「来る訳ねえじゃん。来ても、黙らす」

「……ルカの後は、誰が継ぐの?」
「優秀な奴が継げばよくねえ? 死ぬ前にオレが選ぶか、誰かに託すか」
「――――……」

 言い淀むこともなく、ポンポン答えられてしまうので。
 質問が尽きて。


「……うん。分かった」

 そう言うと。
 ルカ、ぷ、と笑って。

 また、深くキスされる。


「のんきそうな顔してるのに、結構色々気に病むのな、お前」

 ぶに、と頬を摘ままれる。
 鮮やかに笑うルカに、思わず、苦笑い。


「……もう平気」


 なんか。気に病むとか、あほらしくなる。


 ルカはルカで、王子で、オレ様で。
 ルカが決めた事は、ルカしか変えられない。

 
 なんかもう――――……いいかなあ。
 考えなくて。


 こっちの世界は男同士とかあんまり関係なくて。
 ルカの国は何だか、色々自由で。これはトップのルカが自由だからな気がするけど。

 オレは、こんなオレ様なルカが――――……。


「どーでもいいこと考えてねえで、お前はオレの前で楽しそうに笑ってればいいから」


 ――――……こんな恥ずかしいこと、平気でまっすぐ言う、ルカが。


「……うん。分かった」


 何だかすごく、勝手に、めちゃくちゃ笑顔になっちゃう位。



 ……気に入っちゃってる、みたい。


 ルカの胸元掴んで、くい、と引いた。


「――――……」


 ちゅ、とキスしたら。
 一瞬黙ったルカに、背中に手を置かれて、抱き寄せられた。


「ん、やるか」
「え」


 ルカの手が、服の下から滑り込んでくる。

 うわ、何考えてんの。


「えっ、むり、だって皆来る……ん、む……っ」
「やってたら出てくはず」

 深く唇重ねられて、言葉奪われて、手が、胸に――――……っ。

 いや、ここの人たち、平気で入ってくる可能性もあるから……っ。



 わーん、やだー!!






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