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第2章

「オレ?>姫」

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 ルカが出て行って、少しの沈黙の後。
 ジェイがオレをじっと見てきた。

「ん? 何?」
「――――……ソラが嬉しいなら、ダメな訳がない、だってさ」

 ジェイの言葉に、ん? と首を傾げると。


「そういうのは、平気で言うんだなーと思って」


 く、と笑うジェイ。


「――――……」

 確かに。
 いつも、そんなようなことは、そういえば、言うような気がする。

 やりたいなら。ほしいなら。ミウも、飼いたいなら。とか。
 いつも。オレがしたいなら、て。言ってくれてるような気がする。

 
「……そう、だね」

 ほんと。いつも、からかうし。
 ――――……意地悪だし。キスばっかするし。エロいことばっかするし。
 ヤキモチばっかやくし。自分勝手にオレを動かすけど。


 …………なんか、ちょこちょこ飛んでくる優しさが。
 急に、オレの好きに、させてくれるとことか。
 オレがやりたいなら、とか。なんか。

 ……毎回気持ちは、あっちこっち、ムカついたり、喜んだり、
 ものすごく揺さぶられるけど。

「まあ、ソラがルカを好きになるのは分かる」
「え」

「あんだけ大事そうに見られてたら、男が嫌でも、好きになっちまうよなー」
「――――……っ」

 可笑しそうに笑われて、言葉につまる。

 ジェイって、恥ずかしいコト平気で突き付けてくるから、
 返答に、すごい困る。

 答えられずにいると、くす、と笑って。

「まあ、強烈な奴には、引きずられるよなあ」

 あ、なんか。
 ――――……すごいその言葉、しみじみ分かる。

 ほんとルカって。
 ……特別、強烈な感じがするから。

 なんだか、どうしても、最初から、勝てないんだよね……。
 あんな人、中々居ないと思う。

「さて。お前の王子が、お前のクッキー待ってるし。準備しよ」
「……ん」

 お前の王子とか言われると、なんだかなって感じがするけど。
 苦笑いで頷く。

 王子と名の付く男の相手は、「姫」だって。
 疑いもしない位当然なんだけど。


 ……姫じゃなくて、オレ?

 て思うと。やっぱり。
 うーーーん??てなるんだけど。

 複雑な想いを、もやもや抱えながら。

 ジェイと色々包んだりして、お菓子とお茶タイムの準備もして、ミウとジェイと一緒に店を出た。外からの階段を下りて、地下のルカ達の元へ。


「ルカー?」

 船の中に居るのか姿が見えないルカに、呼びかけたら。


「ソラこっち」

 声がする方に近付いて、船の中を覗き込んだ瞬間。
 ぐい、と引かれて、驚いてる唇に――――……。


「ル……」

 ルカの唇が、重なる。
 重なった瞬間、舌が入ってきて。


「……ンん……っ……?」

 激しすぎて、声が漏れる。
 舌、吸われて、ぴく、と震えた瞬間。


「ソラ、居たかー? ――――……っと。なにしてンの、お前ら」


 ジェイの呆れたような声。
 そう言いながらも、出て行ってくれるわけじゃなくて、全然気にしないで入ってくるところが、この世界の人っぽい……。


「おせーし、来るの」

 ルカにぐい、と肩を抱かれて、なんか、すっかり密着させられてる。


「遅い、ソラ。もー焼けてたんだし、さっさと来いよ。すげー待ったけど」
「……ごめん」

 そんなに待ってたのか、と思って、思わずそう言ったら。
 ふ、と笑ったルカに、ちゅ、とキスされた。


「さっきの食わせろよ」
「あ、うん」


「お茶入れて持ってきてやったんだよ。そういうのもあって来るの遅くなったんだっつの。な? ソラ?」

 ジェイが、ルカに飲み物を見せながら、オレにそう言う。


「うん」
「そか。じゃ、食おーぜ、ソラ」


 船の中に大きめのテーブルが置いてあって、丸い木の椅子が周りに何個も置いてある。


「ジェイ、他の奴呼んできてくれよ」
「はいはい」

 ジェイが姿を消すと、ルカは、オレを隣に座らせて。
 頬に触れた。


 ……ん?? なに?

 何か、ものすごい、じーっと、見つめられる。






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