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第2章

「ミウってすごい」

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 何のことか全然分からず、呆けてしまっているオレ。
 抱き締めていた腕を解いて、ルカはオレとミウを真正面から見つめた。

「ミウが自分に結界張れるのは知ってるだろ?」
「うん」

「――――……こいつ多分、移動魔法みたいなの使えるらしくて。噂は聞いた事あったんだが……まあ本当なのか確信は無くてな……」
「そう、なんだ」

 色んな事ができるんだな……。
 なんか話になかなかついていけず、ただルカを見ながら聞くだけ。


「こいつ、お前の気配とか感じるだろ?」
「気配?」
「あの黄色い花に吸い込まれて、オレらがどの花か分からなかった時もミウはお前がどこに居るか分かったんだよな。あの後オレ、ミウとしゃべって……って、オレが勝手に話しただけだけど」

「何を?」

「ソラが危ない時や居なくなった時は、ミウがソラの側に居て守れって。それから、出来るなら、そこにオレを呼べって」

「――――……」

「もちろん、伝わってんのかも分かんねえしさ。絶対出来ると思って言ってた訳じゃねえんだけど」


 ふ、と笑んで、ルカはミウを見つめた。


「……ちゃんと伝わってて、ちゃんとやってくれた事に驚き。……にしても、すげー驚いた、アランと話してたのに、目の前にソラが驚いた顔で立ってるから」


 顎にルカの手が触れて、上向かされる。


「理解できてるか?」
「……ミウが、オレを守って、ルカをここに呼んだって、こと?」

「多分、直撃しなかったのも、結界張ったんじゃねえのか?」


 ――――……そういえば、何かに包まれた気がした。


「これでミウは、他人にも結界が張れるし、その場に居ない人間を呼び寄せる事もできるって事は分かったな」

 ルカが言って、ふ、と笑う。


「いつか分かる時がくればいいとは思ってたけど――――……ソラが抜けてたおかげで、こんなにすぐ分かった」

 ぷ、と笑うルカ。

 うぅ。何も返す言葉がない。
 苦笑いしてると。


「役に立つなー、お前」

 ルカがミウをよしよし、と撫でた。


「……ていうか、ミウってすごくない?」

 抱いてるミウを顔の前に抱えて、むぎゅー、と抱き締める。



「ありがとーー、ミウ」

 ぎゅううう。
 抱き締めてると。ミウもなんだか嬉しそう。


「こんな形してて、すげえなぁ、ミウ」


 ジェイも横から笑いながら言ってくる。

「こんな形って……」
「こんなモフモフした、のどかな顔してるのに」

 まあ確かに。
 ――――……ミウって、すごい。


「あ、とりあえず、あぶねーから割れたモン片づける……っと、その前に、ソラ、焼き窯、確認して」
「うん」


 ミウを離してぷかぷかと浮かべさせてから、焼き窯を覗く。


「――――……こっちはもう少し、かなー」

「じゃあ先に、片づけちまおう」
「うん」

 ジェイと割れたものを片づけていると。
 珍しくルカがミウを抱いてて、何か、話しかけてる。


「お前、完璧。この調子でな?」
「みゃ」

 ミウが何だか、タイミングよく、返事をしてて。

 その仲良しな姿がなんか、可笑しくて。
 ぷ、と、笑ってしまった。





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