【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変。

悠里

文字の大きさ
上 下
144 / 299
第2章

「すごい奴に好かれてる?」

しおりを挟む

 味見しながら、いくつかの実を取ってきた。

 木になってるから好きな味見つけろよとルカが言ってたけど、本当に色んな種類の実がなってて、選ぶのも楽しかった。

 お店に戻って、お菓子を準備をしていると、不意にジェイが聞いてきた。

「ルカがお前を好きなのは分かったけどさ。ソラは?」
「え? オレ?」

「ソラはルカの事好きなの?」
「……うん」

「間が空いたな?」

 ジェイがクスクス笑う。

 自分でも、今咄嗟に、「うん好き」とは答えられなかった事に苦笑いだったので、突っ込まれて更に少し困った。


「……好きかなーと……思い始めた所っていうか……」

「あぁ。まだそう思ったばっかり?」

「……うん」


 なんかそんな風に言われると、すごい恥ずかしい。


「ふーん。……思い始めたって、じゃあそれまでどう思ってたんだ?」

 それまでは……。

 ――――……最初は、ルカがオレを抱きたいなら、もうそれでいいから、この世界で死なないように守ってもらおう……みたいな。

 ルカの事どう思ってたかというと……。

 ……イケメンで声エロくて、超ドSの、人からかってばっかりで、王子だからか、超、 偉そうで、独占欲みたいのが強くて、下半身やばくて、でも頼りにはなるような気がして、たまに優しかったりする、よく分かんない勇者。


 …………うん。
 言えないな。あはは。

 
「んー……ていうか、オレ、まだ、会ってからそんなに経ってないんだよ」

「じゃあ何でルカはあんなにお前に惚れてんの?」

「――――……うーん……?」


 そんな風にまっすぐに聞かれると。

 ……全然、分からない。
 そんなに「惚れてる」のかどうかもなあ…??


 何だかミウがふわふわ浮いてオレを見つめてるので、わかんないよね、とミウと笑いあってしまう。

 すると、ジェイは、くっと笑い出して。


「ソラ、のどかだから、かな~。ルカは王子で色々大変だろうし。お前みたいなのどかな奴で、和みたいのかもな?」

「さあ……? 分かんないや」


 最初抱かれた時は、全然そんな感情があった訳じゃないだろうし。

 ……泣き顔が好きみたいな、変な事言ってたような。

 これもなんか言えないな。


 ……言えない事ばっかりだな。
 苦笑いしか浮かばない。


「あとでルカに聞いてみよ」
「ん? 何を?」

「何でソラが好きなのかって」
「――――……」


 何て言うんだろう。ちょっと気になる。


「ソラもちょっと聞いてみたいんだろ?」


 クスクス笑われて、大きく頷くのも変かなと思いながらも。


「ルカが、他の人に何て言うのかはちょっと、聞いてみたい」

 そう言うと、ジェイは、分かる分かる、と笑った。



「後で聞いてやるよ。楽しみにしてな」

 クスクス笑うジェイ。


「ああ、でもさ――――……」
「ん?」

「アランもなんか、ソラは可愛いとか言ってたから。可愛いのかもな?」
「……かもなって聞かれても……」

 頷けないんだけど。

 ……可愛いって言われても……。


「オレあんまり男を可愛いって思った事ねーから、なんかいまいち同意ができねーんだけど」

「……オレも出来ない」


 そう言うと、ジェイはクッと笑い出した。


「もしかしてお前って、元々は、男は対象じゃない奴?」

 ずばり聞かれて。
 ジェイを見つめてしまう。

 答えるまでもなく悟ってくれたジェイは、あっは、と笑い出して。 
 面白くてしょうがないといった感じで笑う。


「そんな笑わなくても……」

 むー、とじっとり見つめていると。
 なんか同じような顔でミウも、オレを見てる。

 あ、真似されるわけね、オレの顔。
 ジェイはそっちのけでほっといて、ミウの顔に、ぷぷ、と笑っていると。


「あー、面白い。 だからさっきも、すげえ間があったのな」
「ん?」
「好きかって聞いた時」
「あー……」

「男を好きっていうの、まだ抵抗あんの?」
「……うん。すごいあるかも」

「ははっ。おもしろ」

 せっせと準備はしながらも、ジェイはめっちゃ笑いながらそんな風に言う。


「まあそんなに会ってから経ってないなら尚更だけど――――……男が対象じゃないお前に、好きとか言わせるルカってさ。やっぱりすげえなって思うかも」

「――――……」


「オレ、直接会ったり話したのは初めてだけど。噂は常に飛んでくるんだよな。何をしてくれた、どこの魔物を倒してくれたとかから始まって、モテるっつー武勇伝みたいなのもさ」

「――――……そーなんだ」

「皆が王子を好きなんだよな。この世界で、唯一って感じの存在だし」

「――――……うん」


 ……そうでした。そういえば、そういう世界、だったなぁ。
 

「そーいう王子が惚れてる相手、とか思うと、ソラ、なんかすげーな?」


「ん?――――……オレは、別にすごくないけど?」


 別にオレがすごいんじゃないし……??


 そこは頷けずに、首を傾げていると。


「すごいと思うけど?」
「そうなの?」


 聞き返すと、ジェイはおかしそうにまた笑い出して。




「そうそう。 すごい奴に好かれてるって思って、浮かれてれば?」

「浮かれてればって……」




 ジェイって、明るいなー。

 何だかおかしくなってきて、クスクス笑ってしまった。






 
しおりを挟む
お読みいただき、ありがとうございます♡
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)

匿名ツールでの感想もお待ちしています💕

【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】

感想 270

あなたにおすすめの小説

【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者

みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】 リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。 ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。 そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。 「君とは対等な友人だと思っていた」 素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。 【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】 * * * 2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

処理中です...