【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

「力強さの」

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 食事を終えて店を出て、ミウを探したけど、見つからない。
 あれー? 子供たちと遊び疲れてどっか行っちゃったのかな。

 一緒に探してくれてたルカは、呼んでみろよ?と笑う。


「ミウーー!」

 少し声を大きくした位の声でそう呼んだら。
 少しして、フワフワと飛んでくる、
  
 あ。ミウだ。
 来たよーと、ルカを振り返ると、ルカは、ふ、と笑んで頷く。


「やっぱりミウってオレの声、聞こえてるのかな」

 オレの腕の中にミウがすっぽりと、はまった。
 確認しようがないんだけど、毎回呼ぶとタイミングよく来るしなあ。


「聞こえてるのが声なのか、なんなのかは、わかんねえけどな」

 ルカはそう言って、オレと、オレの腕の中のミウを見比べて。ぷ、と笑った。


「そっくりだから、存在として、かぶってんじゃねえの? 繋がってるとか」


「……いっつもルカ、似てるっていうけど……似てる?」


「似てるっつの。ていうか、ほぼ一緒」


 いやいや、形、全然違うけど……。

 ――――……まあ……こんな可愛いものに似てるなら、別にいいか。

 ……ってやっぱ、ミウには似てないと思うけど。


 すっごく、可愛いもんな……。
 と、ミウをぎゅ~っと抱き締めた。



「ソラがクッキー焼き終えて、リアの手が空いてたら、一回城に行くから」
「あ、ルカのお城、行けるの?」


「オレとお前だけでな」

 ……ルカのお城、楽しみすぎるんだけど……!


「まあリア次第だけど――――……」

 ルカはオレの頬に触れて、ふ、と笑む。


「すげー楽しそうだから、連れてってやりたいけど」
「うん、行きたい」

「多分びっくりすると思うぜ、デカいし、広いし、町にも人がすげえ居るし」

 うん、知ってる!
 と言いかけて、言葉を飲んだ。


「ああ、見せたよな。硬貨の裏の城」
「うん、見た」

 ていうか。何ならお城の中も、ゲームの中で結構、歩いた。

 ……これは、内緒。


 ――――……これでさ、ルカのお城に行って、オレの記憶とお城がぴったり合ったら、やっぱりこの世界は、ゲームの世界って事で……。

 魔王を倒せなかったから、オレがやってたゲームを飛び越えてしまったというか。もう別物として、続いてるというか――――……。


 崖みたいな所を上ってあんな化け物倒したり、黄色い怪しい花に襲われたり、あれはオレは知らない魔物な気がするし……。


 ――――……あそこでルカが、魔王、倒してたら。
 この世界から、魔物、消えてたんだよな……??


 ああ、分からない。
 知りたいことはいっぱいあるけど。


 ……夢、なの、かなあ……。
 目の前のルカは、存在感ばっちりすぎで、夢っぽくは全然ないけど。


「ルカ」
「ん?」

「――――……ちょっと、ぎゅーってしてみてくれる?」
「――――……」


 次の瞬間、ものすごいぎゅ、ときつく抱きしめられた。


「――――……あ。ミウ、ごめん」

 ミウがつぶれそうなのでちょっと横向いた感じで抱き締められたまま。
 ルカの腕に、手をかけた。


 夢では――――……ない、気がする。
 ルカは、ちゃんと、今、目の前で生きてくれてる。……信じよ。


「ありがと、ルカ」


 そう言うと、ふ、とルカがオレを抱いてた腕から力を抜いて少し離れた。
 すぐに頬に触れた指先に上向かされて。キスされる。


「――――……」


 柔らかい、キス。


「……何か不安か?」

 見つめられて、そんな風に聞かれる。


「……ん、ちょっと。……でも、もう大丈夫」


 ルカに触ってると安心するみたいだ。
 なんだろう。 なんか、力強さの塊、みたいな感じの人だからかな。


「じゃあ、オレ、クッキー焼いてくるね。いっぱい焼いてくるから」

 昨日のジェイのお店に向かおうとしたら、腕を掴まれて止められた。


「ジェイんとこまで一緒に行く」
「――――……うん」


 ……前に、言ってたな。
 ――――……見てない所でオレが消えたら、とか。


 
「……ルカ、チョコの実入ってたのと、入ってないの、どっちが美味しかった?」


 そう聞いたら、ふ、と笑って。

「どっちも美味かった。子供は実が入ってた方が好きかもな」

 そんな風に言ってくれる。そっかー、どっちも美味しかったかーとほくほく嬉しい。

「あ、ちょっと甘酸っぱい実ってある?」
「ジェイに聞いてみな。オレはあんま食べねえけど、あると思うから」

「うん」


 フルーツクッキーも捨てがたい……。

 クッキーだけじゃなくて、もう、色々作ってみたいなあ。



 そんな話をしながら、ジェイの店にたどり着いて。
 


「ジェイー」


 ミウを抱っこしたまま、ルカの開けてくれたドアから、中に入った。




 


 
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