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第2章
「キス」
しおりを挟む皆が話し合った結果、今日は色々な事を手分けする形に決まったみたい。
キースとゴウが、少し離れた町の付近に出る魔物の退治に行く事になった。2人で大丈夫そうって事で、リアが移動魔法で連れていって、リアだけ帰ってきて、その後迎えに行くらしい。
で、リアは日中は、薬を作ってほしいと頼まれたみたい。
この町に、体調が悪い人が居るらしい。黒魔法とは関係なくて、薬草を調合するんだって。
で、ルカは今日はアランの所に遊びに――――……否。手伝いに行くらしい。さっきアランがやって来て、「ルカ今日暇なんだって?船手伝えよ」と言いに来た。
「あ? どこ情報だよ、偉そうだな、お前」
「リアが言ってたぞ」
眉を顰めるルカに、だって早く船を出してほしいだろ、と笑うアラン。
アランは、なんかほんと飄々としてて、メンタルが強い……というよりは、なんか、ふわふわ……なんだろう。こんにゃくみたいなイメージ。打ってもへっちゃらっていうか。
言いたいことだけ言って、先に行ってるな、と消えた。
「何なんだあいつ」
やれやれ、と言った感じでため息を付きながら、苦笑いしていたオレを見て、ルカはふ、と笑う。
「何でソラ、笑ってんだ」
「………なんか2人のやり取りが面白くて」
「そうか?」
「うん」
クスクス笑ってると。
ぐい、と引き寄せられて、キスされる。
「……っン」
急すぎて、変な声が漏れてしまった。
……っ恥ずかしいってば……っ!
……っだから、なんで急にキスするんだ……。
もう皆がほとんど反応しない事だけが救いな気がする。
「とりあえず、ゴウとキースを依頼のあった町に送り届けてくるから」
「ああ」
キスは離したけど、オレの首に手をかけたまま、ルカはリアの言葉に頷いている。
「もし聞いてるより強敵だったら、明日オレも行くし、出直すから無理すんなよ?」
ルカの言葉に、誰に言ってんだと、ゴウが苦笑い。
「そこらへんの魔物になんか負けねーし」
聞く気のないらしいゴウの横で。
「まあ無理そうだったら、避難するよ」
キースが言ってふ、と微笑む。
3人が出て行って、ルカと2人になる。
なんか色々話してたせいで、すっかり食事が中断してしまった。
「……ルカ、あのさー」
「ん」
「キス、人前ですんのって……」
「ん?」
「オレ恥ずかしいんだけど」
「何で?」
けろっと聞かれると、何とも言えない。
……確かに元の世界でも、外人さんはしてたなあ……。
でもオレ、日本人なんだよねー……。
日本人で、そこらで気にせずキスする人とか、あんま居ないし。
オレは間違いなく、その部類の人ではないし。
分かってもらえそうにないので、思いついた別角度から攻めてみる事にした。
「……オレが、キスされた時の顔とか……他の人に見られてもいーの」
「――――……」
「……アランとかにも見られてるし。それ、いいの?」
そう言うと。
ルカは、んー、としばらく考えて。
少し嫌かもな、とぼそ、と呟いた。
「そうでしょ、だから――――……」
と、不意にぐい、とまた首に手が回って。
「え」
ルカを見上げた瞬間。
抱き込まれるみたいな形で。深くキスされた。
「……っンん――――……っ?」
なんか、めちゃくちゃ、キスされる。
舌、激しいし……っ。
「……っん、ふ――――……ぁ」
少し離されて。
すでに涙が浮かんだ瞳をこじ開けて、至近距離のルカを見上げると。
「――――……こうやってキスすれば、ソラの事は見えないよな?」
「………………っっ」
何、言ってんだー! ルカのばかー!!
「――――……っやめ……」
また塞がれて。
抵抗をやめるまで、キスされる。
「……っ……」
いくら、朝ご飯の時間はもうとっくに終わってて――――…… この店、今ほとんど人は居ないって、言ったって……少しは、居るし……っ。
ここの人達は、相変わらず全然気にしてないみたいだけど……っっ!!
そーいう問題じゃないし……っっ。
「………っふ、ぁ……」
ゆっくりキスが離れて。
ルカが、くす、と笑う。
「んー……でもそのエロい顔、見せんのも、嫌だな――――……」
「~~~っっっ」
エロい顔とか言われると、無性に恥ずかしくなって、かあっと赤面してると思うけど。
全部ルカのせいじゃないかー!! もうーー!!!
「まあすこーし、減らしてやるよ」
…………なんだ、少しって。
ルカのバカ。
もう。バカ。
言うとまたキスで塞がれそうなので、心の中で言っていると。
「ソラ、クッキー焼き終わったら、船んとこすぐ来いよ? とりあえずその間は、ジェイに見守っとくようには頼むから。あと――――……一応、ミウも連れてけ」
「……? ミウを?」
「――――……何となくあいつ、ソラを守る気がするから、一緒に居ろよ?」
さっきここに来る前、子供達におやつ貰ってたから、ここに連れてこなかったんだよね。
「……うん、分かった」
ミウが守ってくれるとか。
……ふふ。可愛いから嬉しいけど。
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