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第2章

「距離、近」

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 服を着て宿屋を出て、ルカと一緒に朝ごはんを食べる。

 2人なのに、結局隣に座って、なんかものすごく距離、近い。

 ――――……この世界の人が、気にしないのはもう分かってる。
 でもそれにしたって、近い。


「ルカ、食べ、にくい……」

 少し離れると。
 ルカは無理やり近づいては来ないけど、ふ、と笑って、頭を撫でてくる。


 …………この人は。
 オレに触ってないと居られない病……なのかな??


 もういいや。
 ルカの事は気にしないで、ごはん食べよう……。


 その時、店のドアが開いて、リア、ゴウ、キースが3人そろって入ってきた。



「居た居た」


 ゴウがオレ達を見つけて言いながら、こっちに向かって歩いてくる。



「おっはよ、ソラ」

 リアが言いながら、オレの隣に座る。


「随分ゆっくりだね、2人共」

 昨日は大分グデクデしてたキースは、もういつも通り涼しい顔をして、オレの前に座った。その隣にゴウも座る。


「あ、ごめんね、ソラ」
「え?」

 キースに謝られて、首を傾げると。


「昨日オレ、ソラの上で寝ちゃったんだろ?」
「あ、覚えてるの?」

「いや。あんまり覚えてない。――――……なんか、下に寝てたのは辛うじて……? でもその下にソラを敷いてたのは覚えてない。ほんとごめん」

「いーよ、全然」

 クスクス笑って答えると、その隣でゴウが、はははっと、笑う。

「全然じゃないだろ、ソラ」
「ん??」

「キースに押し倒されてたせいで、ルカが怒ってお前連れ帰ったじゃんか」
「――――……」

 あ。そういえば。

「その後長かったろー、大変だったなー」

 ぷ、と笑われて。
 かあっと赤くなると。

 キースが、あらら、という顔でオレを見る。


「ほんとごめんね」

「……っだ、から大丈夫だってば……」


 そもそも、別に、怒ってた風だったのは、最初だけで。

 大体にして、ルカが珍しく酔っ払って、甘々のしつこい人になってただけだし。



「キースのせいじゃない、から」

 オレがそう言ったら。

 それまで、面白そうな顔して、何も言わずに黙ってたルカは。



 ぐい、とオレのウエストに手をまわして、自分に抱き寄せた。


「別に、怒ってソラを抱いてた訳じゃねえから」

「…………っ」


 …………っ庇ってるのか、何なのか、分かんないけど、

 抱いてたとか、平気な顔で、皆の前で言うのって、どーなんだ。


 そう言う関係なの、全て知られてたって……。
 わざわざ皆の前で抱いてたとか……。

 そう、思うんだけど、これに反論してもきっと何にもならないし、この時間が長くなるだけだし――――……。

 むむむ。と。
 ルカの腕の中に大人しく収まったまま、悩んでいると。
 

「あ、お前らにも、言っとく」

 ルカの改まった声に、皆ふと真顔になって、ルカを見つめた。


 ――――……あ。こういう時は。

 なんか、王子様っぽいぞ。


 皆がルカの言う事、ちゃんと聞こうとしてる。

 普段ふざけ合ってるゴウですら。



 何言うんだろ。と、ちょっとワクワクしながら、ルカを真下から、見上げた。


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