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第2章

「一緒に居るから」

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【side*ソラ】


 目が覚めると、至近距離から、ルカがオレを見ていた。
 
「……目ぇ覚めたか?」
「ん……はよ……どれくらい寝てた?」

「んーまあしばらく寝てたかな。リアたちは先に朝食べに行った」

 ……結構、寝ちゃったってことかぁ……。


「……ごめん、ルカ。おなかすいた?」

「平気」


 ものすごく自然に、キスされる。
 それを、何の抵抗もなく、受け入れる自分。


「……もう十分寝たか?」
「……うん」

 頷くと、頬に触れた手が、頭を撫でてくる。

 
「……ね、ルカ」
「ん?」

「――――……オレ、ここの人達、皆好きだよ」

 そう言うと。ルカは少しの間黙ったままオレを見て。
 くす、と笑った。


「皆?」
「うん」

「……オレも含めて?」
「うん」


「――――……皆、同じ位?」

 クスクス笑いながら、オレの顎を捕まえて。
 深く、口づけてくる。


「――――……ん?」

 ルカはオレをじっと見つめて、ふ、と笑う。


「……ルカは……ちょっと、特別」
「ちょっと?」

「――――……こういう事は……ルカとしか、しない」
「…………当たり前だ」


 腕枕のまま、触れられていたのだけれど。
 急に背をベッドに沈められて押し乗られて。
 ルカの手が、オレの顔の横についた。

 見つめ合うと、ルカはふ、と瞳を緩める。
 見つめられたまま、思う事を話す事にした。


「……オレ、この世界好き。景色が綺麗なとことか。ミウも好きだし。色んな町の人達も……皆、優しくて、好きだし」
「――――……」

「……魔物だけは、怖いけど」

 言うと、ルカは、ぷっと笑ってオレの頬にキスした。

「そこは、大丈夫。オレの側に居れば、守るから」
「――――……」


 最初に言った、帰るまで死にたくないから守って、好きにしていいからっていうオレの言葉。それから、ルカに言われた、守るからオレの好きにさせろ という言葉。


 ………守るから、は一緒だけど。

 多分、オレの気持ちも、ルカの気持ちも。
 ……あの時とは大分違うよなあと、おかしくなりながら。


 目の前の、まっすぐで、強い瞳を。
 ただ、見上げる。


 ほんと。
 今迄――――……会った事がない。こんな人。


 凛とした、強い、瞳。


 偉そうだけど。 
 ……たまに横暴だけど。

 ――――…………自分が大変でも、人の為に、真っ先に動いて。
 ……ぶっきらぼうだけど……なんか優しくて。

 なんか色んなもの、全部、背負って。
 でも、まっすぐ、力強く、立ってて。




「……ルカ」
「ん」


 ルカの首に手を回して、ぐい、と引き寄せて。
 唇を重ねた。



「――――……オレに出来る限り、一緒に居るから」

 そう言ったら、ルカは、ふ、と笑って。


「ああ」

 とだけ言うと、キスしてきた。
 そのまま抱き締められて少しして。ルカがふー、と息をついた。


「……一度城に帰ろうと思う」
「……え?」

「船が出来るまですることが無かったら、一度な」
「そうなの?」


「城に、色んな古い書物があるから――――…… 少し調べてみようぜ」
「あ、うん。分かった」

「城に、すげえ物知りなレジ―って奴も居るし。話しとけば、情報探してくれるかもしれない」
「レジ―?」

 ……そんな人、居たっけー……? 
 居たような……居ないような……。

 うーん、覚えてない。


「今リアに付近の情報集めてもらってるから、城に帰るかはそれ次第な?」
「うん」

「どっちにしても、クッキーは焼くんだろ?」


 笑いながらそう言われて、オレは、うん、頷いた。


「クッキー、美味しかった? ルカ」
「ん、美味かった」

「ミウ、可愛かった?」
「――――……ああ」


 ぷ、と、笑ってくれるルカに、嬉しくなって。


 今日も作ろうっと。ウキウキしてしまう。





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