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第2章

ソラと。1*ルカside

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「……ン」

 ――――……なんか、ものすごく寝たような気がする。
 なのにまだ少し、だるい。

 ああ――――……昨日のあの酒のせいか。


 ふ、と目を開けて。
 最近いつも目覚めると一番にしてる、ソラの様子の確認をしようとして。

 すぐ脇で、少し丸くなって寝てるソラに気付いた。


 は。 かわいーな……。

 抱いて眠ってたはずだけど、寝てる間に動いたのか、腕には乗っかっていなかった。


 腕を挿しこんで、顔が見える状態で抱き寄せて、腕の中に閉じ込める。


「……ん――――……」

 ソラが少し声を出して、それから、また、すー、と眠る。


 無邪気な寝顔。

 ――――……見てるだけで、すげえ落ち着くんだよな……。

 最初に会った時は、ここまで可愛いと思うなんて、思わなかった。


 魔王との決戦の準備で、そういう事から少し離れてた。
 仲間とする気は無いし。お互い対象でも無いし。

 誰が味方かとか分からない状態で知らない奴抱くのは、あのタイミングでは嫌だったし。

 決戦が終わって、しかも魔王に逃げられて、たまりまくったストレス発散に、なんか細っこい、少し泣き顔に惹かれた、しかも違う世界から来たというソラ。
 抱くのにちょうど良くて、抱いたけど。


 ――――……なんつーか……。
 …………反応がツボ……? 


 一緒に居れば居るほど。抱けば抱く程。可愛く思えて、
 なんかもう、オレ、ずっとこの先、こいつだけで良いかも。

 ……と、もう結構早い内から、思ってる。
 

 じゃなきゃ、結婚するか?なんて、口にしねえし。


 ただ、ソラの気持ちはついてきてないと思うから、そこまで追い詰めないようには、してる。

 会って日数もそんなに経ってねーし。
 ――――……ソラには、ここは、本来なら関係の無い世界なんだろうし。

 帰りたいと、思う気持ちもあるだろうし。


 ただ、たまに――――…… 一緒に居たそうな顔をしたり、そんなような事を言ったりは、するけど。

 多分ちゃんと考えられてないに違いない。

 アホだからな、こいつ。
 ……とか言ったらきっと、すげーむくれるんだろうけど。

 ソラに妄想癖があるとかではなく、言ってる事は多分正しいとオレが信じている根拠は、最初にソラが身に着けていた衣服。この世界のものではなかった。あんな生地をつくる技術は無い。という事は、あれを作れる技術のある、どこか別の世界にソラが居たのは確かな気がする。

 オレは元々ここで生きてて、そこにソラが突然現れて。
 それでも、今確固として、ソラはオレの側に居るし。一瞬で霧みたいに消えそうって気は、過ごせば過ごすほど、無くなっては来てるんだけれど。

 それでも、異なる世界を移動したからには、何らかの理由があるんだろうし。

 その理由次第で、戻ったり、更に別の所に行ったりはあるかもしれない。


 どうすればそれを防げるのか。
 ……そもそも防がれたいとソラが本気で思ってるのか。

 帰りたいんだろうか。

 ……毎日、わりと楽しそうな顔はしているけど。



 「元の世界に帰るか」「ここに残るか」

 本気で今それを選べと言われたら。選んだらそれで決まると言われたら、ソラはどうするんだろう。

 喜んで、帰るんだろうか。
 突然こっちに連れてこられたって言ってたから、残してきたもの、山ほどあるだろうし。そう言われても当然だとも思うが。

 ……帰りたいソラを、帰れないようにしてもしょうがない。


 でも――――……ずっと、オレと居てほしいんだけどな。
 
 頬に触れて、そっとなぞる。


 ……寂しいとか、感じさせない位、可愛がるし。
 ――――……どこでも行きたいとこ、連れてくし。
 こっちで、やりたい事、全部応援してやるし。 


 他の奴と付き合いたいとか、そういう希望は叶えてやれないけど。
 それ以外なら、何でも叶えてやるから。

 この世界でお前が死ぬまで、絶対一緒に居るから。


 ――――……オレと、ここに居ろよ。


 と。
 ――――……言ってしまいたい。


 が。
 また、早過ぎるよな。と、自分を押しとどめている。



「……ルカ……?」


 ソラが、いつの間にか瞳を開けていて、オレを見ていた。


「ああ――――……起きたか……」

「ん……おはよ……」


 言いながら、目を擦ってるソラ。
 ――――……これ、いつもやる。

 可愛くて、この動作も、なんとなく好きだけど。

 やらなくなりそうだから、言わない。



「……いつ、起きた?」
「少し前」


「そっか……んー……」


 言いながら、ソラは何を思ったのか、すり、とオレにすり寄ってきた。



 一瞬で、興奮しそう、オレ。
 
 と思ったら。



「だるいようー……」

「……ん?」


「……ルカ、昨日、しつこすぎて……」


「ん?」


 しつこかったか?
 ――――……そういやいまいち、覚えてねえな。




 昨日の記憶を呼び戻そうと、考えてみる。

 すり寄ってきてるソラを、抱き締めながら。







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