【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

「酔ってるよね…」

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 その瞬間。風がキースの体を包んで、ふわりと浮いた。

 あ。ルカの魔法、だ……。
 もー、早く気付いてよー、最初からやってよー……。

 キースは、ゴウたち3人の所に押し付けられた。

「ゴウ、キース連れて帰れ」
「あー? やだよ、こいつ意外と重いんだぜ?」

「アランとジェイに手伝わせろ。頼んだ」

 ルカがそう言って、キースを押し付けた。

 そうしながら、腕を引いてオレを起き上がらせてくれた。


「ありがと、ルカ……」

 言った瞬間。めちゃくちゃ至近距離に引き寄せられた。

「ありがとじゃねえだろ」
「え」

「なにお前、キースに組み敷かれてんだよ」

 目が。据わってるし……。
 違うよう、そうじゃないんだよう……。

 何でいつも見てるくせに、倒れたとこ見てないんだよう。
 見ててくれたら、オレがかわいそうな被害者だって、分かるだろうに……。


「先、宿帰る」

 ルカが皆にそう言い、オレはぐい、と引かれてついて歩く。

「ルカ……」
「……なに」

「……怒ってんの? あれ、オレ、倒されただけだよ……」
「分かってる」

 星のキレイな夜道を、こんな訳の分からない事で怒られながら、何でオレ、引きずられるみたいな気分で歩かないといけないんだろう……。

「……何も、してないよ?」
「分かってる」

「……キース、半分寝てただけだよ?……」
「分かってる」

 一応分かってはくれているのか。
 ……すこしホッとしつつも。

「……でも怒ってるの?」
「怒ってる」

 理不尽だなあ、ルカ……。

 宿にたどり着いて、部屋に入って鍵を掛けて。
 そのまま、ドアに背を、押し付けられた。

「――――……」

 振り仰ぐと同時に、キスされた。
 しかも、かけらも容赦のない、キス。

「……ん、んんっ」

 ルカの、舌。いつもよりかなり、熱い。
 服の下に滑り込んでくる手も、熱すぎる。

「……ん、ふ、ぁ……っ」

 一気に熱くなる。
 ――――……ルカの舌や手の熱さにやられて、どろどろに、溶けそう。

「……っ……ん……ン……」
「……分かってても――――……ムカつくの分かるか?」

「……ん……?」

 舌が外れると同時にそんな事を言われる。
 でも、全然頭が働かなくて、え?とルカを見上げていると。


「……分かんねえ?」
「……」

「……オレが、誰か女、組み敷いてても、平気?」
「――――……」

 少し考えて、プルプルと首を横に振ってしまう。


「……見たくない」

 何でかは分かんないけど。
 全然見たくない。

「……お前、それ、したけど」
「……え、でもあれは……」

 ぐい、と顎を掴まれて、引き寄せられる。

「あれは、何。 した事には変わらねえだろ」

 あれは……オレ、踏み潰されてただけで……。
 ルカの言ってるのとは、全然違うのに……。


「お前、オレのだろ?」
「……ん……っ」

 言いながら、めちゃくちゃ舌が入ってきて、キスされる。


「……オレのって言って」

 は、と息を付いた所で、また舌を絡め取られる。


 なんか。
 甘えんぼが、駄々こねてるみたいな言い方、して。


 ……超、目が据わってる。


 ――――……ルカさ。
 すげー分かりにくいけど…… 酔ってる、よね……。


 寝るでもなく。うるさくなるでもなく。


 こういう酔い方なんだ……。


「……ん、ンン――――……ぁっ」


 めちゃくちゃ深く、舌を絡められて、内股にかかった手に、ぐい、と脚を開かれて。

 ……めちゃくちゃ、焦る。 



 もう、今日――――……キスばっかり、深くされて、そのまま離されて。
 なんか……すっごくゾクゾクしてるのに。



 熱い、舌。指。
 ……わーん、助けて―……。





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