【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

「酔っ払いめー!」

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 においだけで、きつかったお酒。
 それを少しとは言え、飲んだ皆がどうなったかと言うと。

 ルカ以外は、まあそれぞれぐだぐだになって、かなり酔っぱらった。

 キースは眠り始めちゃったし、アランとジェイとゴウはすごい声がでかいし、顔赤いし。それで騒いでるし。

 リアと苦笑いしつつしばらく見守っていたのだけれど、もうお開きにしようかと言う事になった。

「ここの片付けは明日やるからもうこのままでいーぞー」

 片づけた方がいいのかなとリアと話していた時、ジェイが酔っぱらってるくせに、一応気づいてそんな事は言ってくる。

「じゃあもう宿帰ろうかしらね」
「皆歩けるのかな。……ルカは大丈夫なの?」

 ルカは、あの酒を飲んだ後も、それまで飲んでたお酒を、口直しとばかりに普通に飲んでるし。


「ああ、平気」

 ……ルカは酔わないんだね。ほんとどんだけ強いんだか。


「皆歩いて帰れるのかなー?」

 オレには、支えられないけど。歩いて帰ってもらわないと。
 そう思って言ったら、ルカがリアを見て「リア、移動魔法使えるか?」と聞いた。

「んー、無理かもー」

 そんなリアの返事に、無理なの?と聞くと。

「うん、酔ってると、どっかとんでもないとこ飛ばしちゃうかも」

 うわー怖い……。
 苦笑いしつつ、皆で歩いて帰ろうと心に決めつつ、テーブルの反対側に居るキースの隣に近付いた。

「キース、起きて?」
「……ん」

「キース? 宿に帰ろう?」

 今までキースが飲んでるとこも結構見たけど、キースも多分強くて、全然顔に出ない人なのに。あの毒みたいな酒がよっぽど強かったんだろうなあ……。

 飲まなきゃいいのに、皆悪ノリしすぎだよね。
 キースなんて絶対とばっちりだったし。付き合わされて可哀想に……。


「キース?」
「……そら?」

 あ、目、開いた。

「あれ、オレ……寝てた?」
「うん。寝てた」

 珍しい。なんか。
 キースが、すごくぼーーっとしてる。

 珍しすぎて、くす、と笑ってしまう。


「もう終わりにして、帰ろうって。立てそう?」
「ん……」

 立とうとしたキースは、ゆら、と揺れて。
 一旦テーブルに手をついた。

「あ、一旦座る? キー…わわっ」

 座らせようと支えようとしたら、なんか変に掴まれて。オレには当然、支える事も出来ず、変にバランス崩したまま、下にばた、と倒れた。


 上に押し乗られる感じで、ぺちゃんこにされた。


「おも……」
「あ、ごめん、ソラ……」

 一旦焦って、起き上がろうとしてくれたみたいだけど、次の瞬間、頭を押さえて、オレの上にもう一度崩れた。

「すっごい、くらくら……」

 そんな風な呟きが耳のすぐ脇で聞こえる。

「キース……大丈夫?」

 重くて、抜け出れそうにない……。
 ちょっと、そこの、酔っ払いたち、こっちに気付いてよ……。

 目の端に映ってる、ゴウとジェイとアランにそう願うけれど、大騒ぎしててこっちにまるで気づかない。

 ていうか、隣で倒れたのに全然気づかず大騒ぎってどういう酔っ払いだよ……。ルカは、テーブルの反対側に居るんだけど、多分、倒れたとこを見てないと、もう視界から消えちゃってて、気づいてないのか、助けに来てくれない。


「キース、寝ちゃった……?」
「ん……ごめんな、今起きる……」

 あ、良かった、起きてはいる。


「……立てそう?」
「んー……なんか、こんななるの、初かも……」

「困ったね……」

 と、その瞬間。
 やっとゴウたちがこっちに気付いた。


「はー? 何してんの、お前ら」

 ゴウの声。 

「早く、起こして……」
 
 というオレの声をかき消して。

「わー、なにこんなとこでおっぱじめてんだよー?」

 アランが面白そうに騒ぐ。


 もう、バカなの? 違うから!! 早くキースを起こしてよー!!


「ルカ、ソラが浮気してるぞー」

 ……ジェイもバカだった。
 3人は面白がって騒ぐだけで、全然キースを起こしてくれない。


「キースを、起こしてあげてってば……!」

 言うけど、キースが乗っかってて、重いし、そもそも3人がうるさすぎて、全然聞いてくれないし。

 わーん、もう!! この酔っ払い3人めー!!





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