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第2章
「お菓子作り」4
しおりを挟む「これ位でいいかなあ……」
なんとか生地は、作り終えた。
もう感覚のみ。
濃すぎな砂糖とミルクは控えめで、卵とバターでしっとりさせて。
途中で、美味しくできたら皆にも配ろうと思って、いっぱい作ってもいい?とジェイに聞いてみた。そしたらジェイが、材料買ってくれるならいくらでも作っていいよと言うので、すぐに、ぱっとルカを見つめたら。
ルカが、ぷ、と笑って。好きなだけ作れば、と言ってくれた。
なので、でっかいボールに、かなりの生地の量。
筒状にして包丁で切って、形整えるのが一番楽だなと思って、少し硬めの生地にした。
生地をまとめてから、筒状になるようにのばしていくと。
「何だそれ、何するんだ?」
ルカが少し離れた所から楽しそうに言ってくる。
見ててね、と言って、作業に没頭。
あ、なんかすっごく、楽しい……。
ウキウキ丸めて並べ終わって、それから包丁を借りて、輪切りにしていく。
それを可愛い感じにちょっと潰して丸く整形して、鉄板に並べていく。
……クマさんを作ろう。
小さい子も食べてくれるかも。
ちょっと大きな丸に、卵の黄身で小さい耳を重ねて付けて、串で顔を描いたり。
ていうか、クマっているのか?
「ルカ、クマって居る?」
「居るよ。山奥とかにな。襲われんなよ」
「ルカと一緒にしか行かないから大丈夫……」
居るにしても、そのクマをこんな可愛い感じには、作らないのかな。
まあよく分かんないけど、いいや。クマって分からなくても、何となく可愛ければ食べてくれるだろう。
はっ!
ミウも作ろう。
わくわくわくわくわくわく。
クマと少し変えて、耳とか替えて。
「ルカ、これなんだか分かる?」
「――――……ミウか?」
おお分かってくれた!
大喜びしていると。
「……お前が作ってるって事と、オレも知ってるって事で、予想しただけだけど……」
ルカは、クッと笑いながらそんな風に言う。
そんなからかいは無視して、オレは、クマとミウを大量生産して、あとはもう丸いのをひたすらつくって並べていく。それから最後に、チョコの実を混ぜた生地で同じように丸いのを作る。
チョコチップクッキーのつもり。だけど。これ焼いたらどうなるんだろう。
美味しく焼けたらいいけどなあ。
ウキウキしながら、最後に黄身をスプーンで塗っていく。
「なあソラ、それ何で黄身を塗るんだ?」
ジェイに聞かれる。
「ツヤツヤに焼きあがるんだよ。……多分。 窯で焼いた事ないからちょっと分かんないけど」
「いつもは何で焼いてるんだよ?」
「オーブン……」
「オーブン?」
「……ていうものが、あるの」
「ふうん……」
「この1枚だけ黄身塗らないで焼いてみるね。比べてみよ」
「おう。もう焼いていいのか?」
「うん! お願いします」
「ん」
ジェイが大きな鉄板持ち上げて、窯の蓋を開けて、中に入れる。
隣でウキウキ見守っていると。
「すぐ焼けるのか?」
椅子に座って足を組んでたルカが、立ち上がって窯の近くに歩いてきた。
「どうだろ……薄いから、すぐかもな」
「焼けるまで見てる……」
中がのぞけるので、じーっと見てると。
直接火があたるとかじゃなくて、熱で焼いてく感じなのかな……。
なんかもう、良い匂いがしてきたんだけど。
甘い匂い。
「良い匂い……」
美味しく焼けてくれるといいなー。
……ていうか、こんなに大量に作って、まずかったらどーすんだって、話だけど。
1回試しに作ってから、大量に作れば良かったかなあ……。
と今更な事を考えながら。
でも、良い匂いが漂ってるので、うきうきわくわく期待感いっぱい。
ジェイも隣で見てて、ルカはすぐ後ろにまた座ってて。
3人でひたすらクッキーが焼けるのを待つだけって。
なんか変な空間に、ふ、と笑ってしまいながら。
オレは、焼き上がりをただひらすら待った。
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