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第2章
「ルカが守る物」
しおりを挟む「お酒、あの2人の所にお願いします」
お酒を持ってきてくれた人に、ルカとアランの所を指さして。
そっとその部屋を出て、外に出た。
店から出て、建物の外にあるベンチに座った。
2階の窓から騒がしい声がするけれど、でも、ここは、静か。
空を見上げると、星と月。
たくさん星が見える夜空。
「――――……綺麗だなー……」
ゲームもスマホもテレビも何もないけど。
暇だなとか、思わないなあ。
――――……毎日、なんか、楽しい。
ふ、と微笑んでしまう。
左手首のミサンガに気付いて、じっと見つめる。
誰かから見えないように、結界が張ってある?
ルカのと繋がって?
これくれたのって、初めてルカと夜過ごした次の日だったよな……。
何かに連れ去られたりしないように、守ってくれてるってこと、なのかな。
ほんとにちゃんと、守ってくれてたんだな……。こんな知らない所でまで。
でもよく考えれば。
ルカが守ってるのは、オレだけじゃない。
崖みたいな山に登るのも。
変な黄色い花を調べに行くのも。
何がいるか分かんない海に出るって言ってるのも。
……この世界の人達の為だもんね。
いっぱい色んな人、守って生きてるって、ほんとすごい。
それも、「してやってる」とか、全然そんな感じもなく当たり前みたいに。
ルカにとって、誰かを守るって、当たり前なんだろうな。
それと同じように、オレの事も、守ってくれてる。
優しい、というのか。……ほんとに、すごい。としか思えない。
そんな事を思いながら、満天の星を見上げる。
すぐ後ろで、店のドアが開いた。
振り返ると、知らない男の人。何か飲み物を持ってる。
頭に三角巾みたいな物を巻いてるし、エプロンみたいなのしてる、てことは、料理を作ってる人かな。
「……何してんの、ここで」
「え。 あ、ちょっと休憩……」
「酔ってんの?」
「いや……熱気がすごくて」
「ああ、そーなんだ。な、そこのベンチ、オレの休憩場所なんだよね。 少し退いてくれる?」
「あ、うん」
少し端に移動すると、その人は隣に座った。
同じくらいの年かなあ。
若そう。
「――――……王子の仲間?」
「……まあ。一緒にいるけど」
「王子ってすげー飲むな? アランと張る奴、初めて見た」
――――……あ、そっか。ここ、アランの町だもんね。
「……アランの仲良し?」
「まあ。この町の仲間だからな。なあ、ほんとに海に何か居るのか?」
「んールカ達はそう言ってるけど」
「どーにかできんのかね」
「……うーん…… でも、ルカなら何とかするんじゃないかな」
「王子かー。王子ってそんなにすごいのか?」
すごいのかと聞かれると。
「オレ、まだ一緒に居て、そんなに経ってないんだよね」
「あ、そうなんだ」
まだそんなに一緒に居る訳じゃないから、言える事は少ないのだけど。
「……でも、ルカ達は、すごいと思う。オレは何が居るかも分からない荒れた海なんか、怖くて出れないし。――――……覚悟みたいなものがすごいから……何とかしちゃうんじゃないかなあって」
そいつは、話してるオレをじっと見ていたけれど、その内、ふ、と笑いながら持っていた飲み物をあおった。
「じゃあ特別、うまいもん作ってやろうかなー」
そう言って立ち上がる。
「あはは。お願いします」
「名前何?」
「ソラ」
「あー……お前がソラか。 なるほど。オレ、ジェイ」
「……? お前がソラかって、どういう意味?」
「ん、それは――――……」
ジェイがそう言いかけた時。
また、店のドアが開いた。
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