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第2章
「ルカとアラン」
しおりを挟む船の改修がどこまで進んだかとか、2人が話してるのを聞きながら、あれミウは?と目で探す。さっきルカとアランがオレを潰してる間に、ふわふわと飛んでしまったんだった。
ぐる、と見回すと、少し離れた所に居る、リアと、リアの周りの女の子達の間で、めちゃくちゃ撫でられてるミウに気付く。
うわ、めちゃくちゃ可愛がられてる。
楽しそうな顔をしてるミウを見ていると、遠くからでもなんだか可愛すぎて、微笑んでしまう。
何て可愛いんだろう。
実は魔物じゃなくて、天使の属性とかなんじゃないのかな。
「何見て笑ってンだよ」
ルカがオレを見て笑って、その視線の先にミウを見つけると、苦笑い。
「そんな好きか、ミウ」
「うん。だってすっごい可愛くない? ルカはミウ、可愛くないの?」
ルカにそう聞いてみると。
「まあ、あれは誰から見ても可愛いんじゃねーのって、言ってるだろ。まあ特にお前に張り付いてるんだから、お前は特別可愛いって思うんだろうし」
そんなルカの言葉に、アランが、ははっと笑い出した。
「ンだよ?」
「どーせ、ルカはソラの方が可愛いんだろ?」
「……つかオレ可愛くないし」
ごくごく普通の男ですけど。
何でルカがこんな風にオレの隣に居るかも、よく分かんない位だし。
「ほんと、アランて変な事ばっか言うよね」
「そーかー?? オレ、あってると思うけど」
「アランはさ、可愛いとか、寝てみようとか、んな事ばっか軽ーく言ってるから、どこの女の子んとこか分かんないとか、めちゃくちゃな事言われるんだよ??」
「……まあ。確かに決まった子居ないから、そーいう事もしてるし、そんな話にもなるかもしんないけど」
クスクス笑って、アランがオレを見る。
「でも、ルカにキスされてるソラは、ほんとに結構好きだけど」
「は?」
「だってすげートロンとしてて可愛いし。だから、別に軽く冗談で言ってるわけじゃ――――……痛った!!!」
ルカが、テーブルの下で、アランの足を蹴飛ばしたらしい。
「うっわー、何なの、ルカ、ひっど……」
「お前、ほんとにいい加減にしろよ」
キツイ視線に、アランはため息をしながら擦っていた足を離した。
「じゃあ勝負再開しよっか、ルカ」
「……ソラ、酒、頼んで来いよ」
なんか低い声で言い合って、ルカはオレに酒を頼んで来いと言う。
この流れで酒飲もうって、まったく意味が分からない。
「……もう飲むの、やめたら?? いーじゃん、2人ともすごい強いのは、もう、周りの皆が分かってるよ」
そう言っても、ルカはちら、とオレを見て一言。
「いーから早く頼んで来い」
再度言われて、はー、とため息を付きながら、オレは酒を頼みに立ち上がった。
完全にアランは面白がってる……。
ルカ、そういう冗談は、受け入れないんだなあ……。
別にあんな冗談、無視しちゃえばいいと思うのに。
ほんと、自慢じゃないけどオレ、男にモテた事なんか無いからね。
そんな雰囲気になった事も無いし。マジで絶対無い。
ルカが、オレの涙が……とか変なフェチを発動しなかったら、ルカだってきっとオレに興味なかったと思うし。
お店の人に、あんまり強くないお酒で、と、お願いしながら、ふとルカとアランを遠くから見ると。
さっきのままにらみ合ったまま、なんかぼそぼそ喋ってて、怖いし。
おかげで周りの誰も、あの席に寄って行かない。というか、寄って行こうとした人達が回れ右をしている姿も、ここからだと見て取れる。
ほんとあの人達は、何をしてんだろ。
あそこに戻りたくないなあ……。
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