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第2章

「気だるげ??」

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 なんか。
 ちょっと、反応しちゃってるかも――――……落ち着け、オレ……。


「……ちょっと飲み行く前に、トイレ行ってくるね」
「ん」

 ルカは、脱いでいた靴を履いて、紐を縛っていた。


 トイレのドアを閉めて。
 はーーー、と息をつく。


 おちつけーおちつけー、マジでおちつくんだーー。
 深呼吸を繰り返して、何だか、唇を、ごし、と拭ってしまう。

 ルカの唇が触れてる感覚が残ってて、空気だけで感じるような。
 ごしごししつつ、深呼吸。


 で。
 やっと落ち着いて、トイレから出て。

 待っててくれたルカに、「なんかぽわんぽわんしてんな?」と頭を撫でられて。心の中で、「誰のせいだよっ」と叫びながら。

 やっとのことで、ここまで、歩いてきた所。

 もう、下半身、反応はしてないし、
 唇にルカが触れてる感覚も、残ってはいない。


 でもなんか、頭の奥の方がしびれてるみたいな。
 甘い、麻痺みたいな感覚が、残ってる気がする。


 ……ふとルカを見るけど。
 ルカは全然平気そうで、先に来てたアランの所に行って、何か楽しそうに話してる。

 ……あんなキスしても。
 ……ルカは全然平気なんだなあ……。

 慣れてるから?

 これ以上してたら無理とか言ってはいたけど。
 とりあえず、あんなキスしてても、ルカは、全然、平気そう。

 なのに。
 ……オレがダメじゃん。これ。


 はあ、とため息を付いていたら。
 リアが、そっと手を伸ばしてきて、オレの頬に触れた。


「え?」

 リアを見つめると。


「ソラ、なんかちょっとヤバいね」
「?」

「なんか ――――……色っぽいよ?」

 クス、と笑われる。

「あそこの王子のせいかなー?」
「――――……っ」

 かああ、と赤くなってしまう。
 何がとかがバレた訳じゃないけど、何かしらを感じ取られたんだ思うと、めちゃくちゃ恥ずかしい。


「なんか、オレ、見た目、変?」
「見た目は変わんないよ」

 何言ってんの、とリアが笑う。


「何だろう、今のソラはねえ…… なんか、気だるげな感じ。なんか色々持て余してそうな」
「そういうのって、見て分かるの??」
「……うーん。今のソラは分かる、かなあ。 ルカと何かあったんじゃないの? あたしの気のせい?」

 言われて、オレは、はー、とため息をついた。

「…………なんかめちゃくちゃキスされて、離された」
「あー、なるほどー」


 リアがクスクス笑う。


「まあ。お酒ちょっと飲んじゃえば? 忘れちゃえ」
「……うん。そーする」

 そうしよう。忘れよう。うん。


 そんな風に思ってた時、ミウがフワフワ飛んできて、オレの腕の中に納まった。


 ああ、なんか。
 エロいルカと、正反対の、存在な気がする……。

 何なの、この可愛さは。
 むぎゅー、と抱き締めていると。

「ソラはミウと居ると、一気に幼くなるね。 もう、気だるさとか感じないわ」

 リアにクスクス笑われて、そんな風に言われた。


「……ん。ミウといると、すっごい和む」
「あたしはミウとソラが並んでると、すっごい和む」

 よしよしと、またしても、リアに撫でられる。
 本当このお姉さんは、よくオレを撫でる。

 弟みたいに思ってくれてるんだろうなあ。
 こんな僅か数日なのに。

 ここが居心地いいのって、なんかこっちの人達が皆優しいからな気がする。
 しかも、こんなにずっと一緒に移動するとか、なかなかないもんね……。







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