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第2章

「探してほしい」

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 ルカの……これは、ヤキモチって言うのかな。
 とにかく、よく分からない。

 今、居ないじゃん。その対象は、ここに。
 誰かも分かんないのに、居ないのに、ヤキモチって。


「……その、2つなら――――……オレ、今誰かと居たいとかは全然思ってないよ。そもそも、誰か1人を思って言ってた訳じゃないし」

「――――……つまり? 何?」

 あ。少し、声が、緩んだ。


「つまり……ルカとずっと居たい……??」

 ……って思ってた訳じゃないんだけど。
 こっちの答えで合ってるのか、疑問形になってしまう。


「居たい?? とか聞くな。ちゃんと言えよ」

 ルカの指がオレの頬に触れる。


「……ルカみたいにしてくれる人と……一緒に居たいって、思う人は多いんだろうなって思うよ?」

「――――……違うっつーの。ほんとに馬鹿だな、ソラ。オレが今それを聞きたいと思うか?」

 呆れたようにルカが呟いて。
 ゆっくり、近づいてきた唇に、キスされる。


「……お前は? オレとずっと居たい?」
「――――……」


「……誰かとかじゃなくて、お前の話をしろよ」

  
 ――――……キスしないって、言ってたのに。
 何度か、重ねるだけのキスをしながら、オレを見つめる。



「……分かんないよ、ルカ」
「――――……」


「……いつまで居れるかも分かんないし……」
「――――……」


「ずっと居たいなんて、簡単に言えないんだけど……」


 思ったままに言うと。
 ルカは少し黙ってから。オレを抱き締めた。



「……簡単じゃないの分かってても、言えよ」
「――――……ルカの側には…………ちょっとは居たいよ」

「……ちょっとって。お前、ほんと……」

 ルカ、苦笑しながら、ちょっとため息をついた。


 それから、触れるだけのキスをして。
 ――――……ルカは、オレを見つめて、ふ、と笑った。
 


「お前がオレと居たいなら」
「――――……」


「お前がいなくなっても、絶対探してやるから……」
「――――……」


 出来るのかな、そんなこと。
 ……どこからどう来たかも分かんないのに。
 夢だったら……絶対無理だろうしさ。



 そう思うんだけれど。


「――――……ん……」


 なんだかルカなら、探してくれそうな気がする。なんて思ったら。

 自分がどれだけルカを頼ってるんだろうと。信じてるんだろうと、不思議で。
 思わず、ふ、と笑ってしまった。 


「――――……じゃあ、居なくなったら……探して?」
「おう。――――……任せとけ」

「うん。……任せる」


 クスクス笑ってしまうと。ルカが、もう一度キスしてから。
 オレを起こした。



「そろそろ行くか?」
「――――……」



 離れようとしたルカの胸の辺りの服を摘まんで、ちょっと引いた。
 近づいたルカの唇に、少し下から、キスをした。



「――――……もすこし……」
「……いーけど。出れなくなるぞ」

「……それはやだけど。だからキスだけ」
「――――……わがまま、ソラ」



 クスクス笑うルカに、深くキスされる。

 キスされながら。
 溶けていきそうな頭で、さっき自分が言った言葉が、浮かぶ。



 ――――……探してほしいのかあ、オレ。
 ルカに……。


 何にも考えず。
 ……自然と頷いてしまった。







  
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

後書きです♡

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

リクエスト第2弾(^▽^)

◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『ルカにこんな感じで言わせてほしいです^ ^
「お前がいなくなっても探してやるから安心しろよ」
ソラの返事は悠里さんにお任せしたいです!!』
◆ ◆ ◆ ◆ ◆

探してやるから♡ いいなあ♡と思って
採用させて頂きました。ありがとうございました(*'ω'*)



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