109 / 299
第2章
「ルカの腕枕」
しおりを挟むしばらく、そのままルカにくっついたまま、瞳を閉じてた。
腕枕って。
……なんか、ほんと暖かくて、安心するものなんだなー……。
オレ男だけど。
……最初は抵抗あったけど、その抵抗が無くなってしまえば、すごく良い気がする。
「ルカ……」
「ん?」
「――――……カジノ、行かないの」
「……いつでも行けるし」
静かな声。
――――……こういう時のルカって、穏やかで。
結構いいな……。
「……ルカってさ」
「――――……ん」
「…………こうやって、腕枕、ずっとしてきた?」
「……ん?」
「……オレ、あんまり、してあげてこなかったからさ……」
「――――……」
隣には寝てたけど。
腕枕って。した事ないかも。
別にすごく嫌だったとかじゃなくて、しようっていう気持ちが無かったのかも。
こんなに気持ちいいなら、してあげれば良かったなあ。
何人か、一緒に寝てた子達が浮かんでくる。
でもまあ。なんか……あれだけどね。
ルカみたいに逞しいと、乗っかってても安心するというかそんな感じだけど。
オレがしてても、もしかしたら、寝辛くて退けられてたかもしれないとか、ちょっと思っちゃうと、ぷぷっとおかしくなってしまうけど。
「……誰の事考えてンだよ」
「ん? ああ……昔、一緒に寝てた子達」
「――――……」
「……こうやってたら――――……もっとずっと居たかなあとか思って」
別に、別れた事を今悲しむ程の付き合いは出来ていなかったけど。
ルカがオレにしてくれるみたいに、優しくしたり、世話してあげたり、こんな風に抱き締めてたり、してたら。
もっと誰かとずっと居たかもなー……なんて思うんだよね。
ルカってあれこれ横暴だったりするけど。
そういうとこ除いて、いいとこだけ真似したらモテそう……。
「……なんだそれ」
「え?」
「――――……誰かとずっと居たかったて言ってんの?」
抑揚のない声で、ルカがそう言う。
「それとも――――……」
不意に少し起き上がったルカに、背中を枕に沈められて。
斜め上から見下ろされる。
「……お前が、オレとずっと居たいって言ってんの?」
「――――……」
「どっち? ――――……答えによったら、お前、宴、出れないけど」
「え? え、どういうこと……」
「とにかく、どっち?」
強い、まっすぐな視線。
宴出れないって。どういうこと?
オレ今何かまずいこと、言ったっけ。ルカ、怒りかけ……なのかな??
えーっと……。
「誰かとずっと居たかった」って言ってるか、
「ルカとずっと居たい」って言ってるか?
どっちっていうか……どっちも違う気がする。
オレ今そんな風には、何も考えてなかった。
ルカみたいに、こういう風に女の子と接してたら、別れるとか無かったのかなあ。と。過去の自分をちょっと反省してたというか。それだけだったんだけど。
「……あのさ、ルカ」
「――――……」
「ルカみたいにしてたら、モテるだろうなって、思ってただけで」
「――――……」
「今ルカの言った2つは、考えてなかった、んだけど……?」
だめだ、全然、納得してくれてない。
この答えじゃダメみたいだ。
じっと見つめられてる。
94
お読みいただき、ありがとうございます♡
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
お気に入りに追加
4,704
あなたにおすすめの小説



俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
異世界で騎士団寮長になりまして
円山ゆに
BL
⭐︎ 書籍発売‼︎2023年1月16日頃から順次出荷予定⭐︎溺愛系異世界ファンタジーB L⭐︎
天涯孤独の20歳、蒼太(そうた)は大の貧乏で節約の鬼。ある日、転がる500円玉を追いかけて迷い込んだ先は異世界・ライン王国だった。
王立第二騎士団団長レオナードと副団長のリアに助けられた蒼太は、彼らの提案で騎士団寮の寮長として雇われることに。
異世界で一から節約生活をしようと意気込む蒼太だったが、なんと寮長は騎士団団長と婚姻関係を結ぶ決まりがあるという。さらにレオナードとリアは同じ一人を生涯の伴侶とする契りを結んでいた。
「つ、つまり僕は二人と結婚するってこと?」
「「そういうこと」」
グイグイ迫ってくる二人のイケメン騎士に振り回されながらも寮長の仕事をこなす蒼太だったが、次第に二人に惹かれていく。
一方、王国の首都では不穏な空気が流れていた。
やがて明かされる寮長のもう一つの役割と、蒼太が異世界にきた理由とは。
二人の騎士に溺愛される節約男子の異世界ファンタジーB Lです!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる