103 / 296
第2章
「頭と体」
しおりを挟むキースと笑いあっていたら、「のぼせたー」とか言いながら、リアが合流してきた。
肌に張り付くような布ではなくて、濡れてもある程度形を保ってくれるみたいな布だから、ばっちりラインが出る訳ではないんだけれど。
なんか、やっぱりいつもよりも、肌が出てて、色っぽいなーと思ってしまう。
リアって、超キレイだよなあ。
年上の、キレイなお姉さん、て感じ。
うん。オレは、やっぱり、女の子の方が、好きなんだよ。うん。
絶対そう。
ただ、何か。
――――……もしオレ今。
あ、そんな事ないのは分かってるんだけど。
もしも、今、リアとそういう雰囲気とかになって誘われるとかあったとして。
……誘いに乗るかって言われたら。
……多分、乗らない。
――――……それは何でかって。
……ルカが怒るかなーっていうのもあるんだけど。
なんだろ。乗り気がしない。
キレイなリアを見て、可愛いなあキレイだなあ、女の子はいいなあって、思うのに。
……そういう対象にならないみたいで。
これはやばい傾向なんじゃないだろうか。
……かといって、横に、王子様みたいなキースが居るけど。
この人としたい、とも思わない。
……いや、キースとリアだったら、断然リア。
……男は嫌。
…………だけど、リアも……違う。
――――……ああ、もう。これ、ここからは、言葉にしたくない。
したくないけど。
……多分今、オレのそういうのは。…………あのエロ勇者と直結してる。
体が、なのかな。
……すっかり、組み敷かれる事に慣れて。
キスを、「される」事に慣れて。
快感を、「与えられる」事に……慣れちゃってて。
「はあああーーーーーー……」
大きなため息とともに、温泉の縁の方を向いて、腕を伸ばして倒れ込んだ。
「やだ、どうしたの、ソラ」
クスクス笑って、リアが言う。
「……あんまり考えた事なかったんだけど」
「うん」
「今までは、大体、体と気持ちって、勝手に連動してたんだよね……」
「……?? うん、それで??」
「……今してないの。多分生きてきて、こんなに、連動してないの、初めて」
リアとキースが、きょとんとして、顔を見合わせてる。
「気持ちと体が通じてないの?」
「通じてない……」
「どっちが正しいの?」
「正しい……? 気持ち、かなあ……」
オレは男だしって思う気持ちの方が、正しい気がする。
……男同士なんてさ。 ほんとは、今だって、無いと、思うし。
ルカと寝るのはやめて。
ルカは他の人とすればいいし。
……ルカは、他にもいっぱいモテて、きっと、他の人ともそういう事、するんだろうし。
……お城に帰ったら、相手はいっぱいいるから、休めるよって。
リア、言ってたし。
…………頭ではそう思うのに。
何でだか――――……ずきずき。する。体のどっか奥の方。
ほらね。
……こうやって、なんか。
――――……頭で考えてる事とさ。
………なんか、体の反応が全然、違うんだよね。
頭では、ルカと寝たくないって思うのに。
今だって。ルカは、女の子達に囲まれてるし。
――――……この世界の貞操観念ユルユルな女の子達だからきっと、今からだって、そんな事になりそうな感じもするしさ。
……今見たら、ルカ、もう、誰かと消えてる、かも……だし。
「――――……」
ちら。とそっちの方を見ると。
あれ。ほんとに居ない。あれ。ゴウも居ない。
…………まさかほんとに。
ズキズキズキ。
その瞬間。
「湯に入ってんの、飽きた」
不意に、すごく近い所で。
ルカの、声。
――――……あ。ルカ。と、ゴウ。
見上げると。ちら、とオレを見つめる、ルカ。
どき。
胸が震える、気がする。
75
お気に入りに追加
4,600
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜
Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、……
「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」
この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。
流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。
もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。
誤字脱字の指摘ありがとうございます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる