【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

文字の大きさ
上 下
101 / 299
第2章

「せっかく離れたのに」

しおりを挟む


「……のぼせてきたー」


 熱くなってきて、そう言うと、リアとキースが笑う。


「ちょっと外に座って、風にあたりな?」
「お茶も飲んでね」

「うん」

 お茶と共に温泉から上がって、周りにある岩に腰かける。

 ……あっつい。
 うわー、すごいあったまるお湯なのかも。温度がちょっと熱いからかなあ。

 体、めっちゃ赤くなってる。
 腕とか見て、おお、と驚いていると、ふと、胸についたキスマークに目が留まる。

 ――――……ぴら、と、服の胸の部分をめくって中を確認すると、いつのまにつけられたのか、なんかいっぱい痕がついてて。

 これは、もう絶対、下だけとかありえなかったなーと、ため息。

 ――――……昨日は、あんまり記憶が、無い。

 最後の方は覚えてるけど、あの時は、キスマークつけてるとかじゃなくて、もうほんとに激しく、された、から。


 ――――……っ。


 エロいこと、考えたくなくて、安らかに温泉に入るためにルカから離れたのに。


 ずーっと一緒に居させられてた、ルカと。
 せっかく。離れたのに。


 …………抱かれてる時の事、考えるとか。

 ほんと。何考えてんだ、オレ。


 ぶんぶん、と首を振って、はー、とため息。



 キースとリア、よくずっと入ってられるなあ……。


 ルカとゴウは、どこ行ったのかなあ。
 ――――……ルカ、嫌いって言ったから怒ったのかな。

 いつもなら、置いてかない気がするけど。



 …………って、何でオレはさっきから、ルカのことばっかり。
 

 はあ。
 もう。

 ……お茶飲もう。


 美味しい。美味しいんだけど、何のお茶なんだろう。日本では飲んだことのない風味のお茶。 紅茶の仲間かなあ。香りはそんな感じ。

 コーヒーってあるのかなあ。
 ……飲みたい。


 母さんが淹れた、カフェオレ、あまい奴、美味しかったなあ。

 ――――……母さん、元気かなあ。
 会いたいなあ。
 ホームシックかも……。

 大学生になって一人暮らしをしてから、長い休みくらいしか帰らなかったけど。
 ……なんか今って、ちょっと特殊で。 帰れるかも分からないって思うと。
 なんか実家が懐かしくなってしまう。

 父さんも兄貴も、元気かなあ……。

 今度会えたら、オレ、デカい鳥の足に挟まれたこととか。
 ……変な花にぱっくりすいこまれた事とか。 話そう。

 きっと、何言ってんだーとか、笑われて終わるんだろうけど……。


 ――――…………。


 ……元気、かなあ。



 とりとめもない事を、ぼー、と考えていると。オレの前に足。
 顔を上げると、キースが目の前に来てて、少し心配そうに、オレを見つめた。


「大丈夫? 気分悪い?」
「ううん。平気。でもなんか、体熱くて。なかなか冷めないかも」

「すごく、ぬるめのお湯があるってリアが言ってたから、そっちに行こうか」
「あ、うん。リアは?」

 立ち上がって、キースと並ぶ。

「リアはもう少し熱いお湯が良いって」
「あ、そうなんだ」

 振り返ると、リアがにっこり笑いながら、バイバイ、と手を振ってる。
 笑い返して、キースについて歩き始める。


「ソラがオレらと居るようになってまだ少しだけどさ」
「うん?」

「なんか、すっかり一緒に居るのに慣れてきた」
「ほんと? うん、でもオレも、皆と居るのが、当たり前になってて、すごく不思議」

「不思議だよね。ルカが連れてくって言った時は、驚いたんだけどさ」
「そうなの?」

 そう言う話は初聞きかも。
 なんか随分すんなりと、皆が受け入れてくれて不思議だった気は、したけど。


「ん。ルカがソラと最初の一晩過ごした朝さ、違う世界から来たっていうのはほんとだと思うから、帰る方法があるのか、行き来できるのか調べる、とか……他の奴には言うなよ、とか。とにかく戦う時とかも連れてくけど、守るから。お前らも守って、とか言ってさ」


「――――……」

 他の奴への口止め、は聞いた気がするけど。
 ……お前らも守って、とかは知らなかった。

 ……帰る方法だけでなく、行き来できる方法も、調べようとしてたの??
 ――――……行き来できるとか。考えた事は無かった。



「ソラを戦闘の場に連れてくとか、驚いたんだけど――――…… 離れてる間に消えたら困るとか言ってさ。ほんとちょっと驚いたよ」


 クスクス笑って、キースがオレを見下ろす。


「あ、ソラ、ここ。ぬるいお湯」
「うん」


 足をゆっくり入れると、隣にキースが並んだ。




 ルカって。
 ――――……出会って一晩過ごした段階で、そんな事、言ってたんだ。



 …………そういえば、朝起きた時から、ご飯食べさせてくれたり、服、着させられたり。
 なんか、甘々に世話されてたような。



 ……守ってくれるなら、ルカのものになる、なんて言ったのに。

 なんか守る以上の事、されてたような。





 ――――……だから余計に、オレの感情も、
 意味が分からないものになってって。



 ………何だかなあ。




 ぼー、と考えながら、ふと周りを見回すけど。
 ルカとゴウは見えない。



 どこに居るのかな……。








しおりを挟む
感想 270

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

処理中です...