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第2章
「せっかく離れたのに」
しおりを挟む「……のぼせてきたー」
熱くなってきて、そう言うと、リアとキースが笑う。
「ちょっと外に座って、風にあたりな?」
「お茶も飲んでね」
「うん」
お茶と共に温泉から上がって、周りにある岩に腰かける。
……あっつい。
うわー、すごいあったまるお湯なのかも。温度がちょっと熱いからかなあ。
体、めっちゃ赤くなってる。
腕とか見て、おお、と驚いていると、ふと、胸についたキスマークに目が留まる。
――――……ぴら、と、服の胸の部分をめくって中を確認すると、いつのまにつけられたのか、なんかいっぱい痕がついてて。
これは、もう絶対、下だけとかありえなかったなーと、ため息。
――――……昨日は、あんまり記憶が、無い。
最後の方は覚えてるけど、あの時は、キスマークつけてるとかじゃなくて、もうほんとに激しく、された、から。
――――……っ。
エロいこと、考えたくなくて、安らかに温泉に入るためにルカから離れたのに。
ずーっと一緒に居させられてた、ルカと。
せっかく。離れたのに。
…………抱かれてる時の事、考えるとか。
ほんと。何考えてんだ、オレ。
ぶんぶん、と首を振って、はー、とため息。
キースとリア、よくずっと入ってられるなあ……。
ルカとゴウは、どこ行ったのかなあ。
――――……ルカ、嫌いって言ったから怒ったのかな。
いつもなら、置いてかない気がするけど。
…………って、何でオレはさっきから、ルカのことばっかり。
はあ。
もう。
……お茶飲もう。
美味しい。美味しいんだけど、何のお茶なんだろう。日本では飲んだことのない風味のお茶。 紅茶の仲間かなあ。香りはそんな感じ。
コーヒーってあるのかなあ。
……飲みたい。
母さんが淹れた、カフェオレ、あまい奴、美味しかったなあ。
――――……母さん、元気かなあ。
会いたいなあ。
ホームシックかも……。
大学生になって一人暮らしをしてから、長い休みくらいしか帰らなかったけど。
……なんか今って、ちょっと特殊で。 帰れるかも分からないって思うと。
なんか実家が懐かしくなってしまう。
父さんも兄貴も、元気かなあ……。
今度会えたら、オレ、デカい鳥の足に挟まれたこととか。
……変な花にぱっくりすいこまれた事とか。 話そう。
きっと、何言ってんだーとか、笑われて終わるんだろうけど……。
――――…………。
……元気、かなあ。
とりとめもない事を、ぼー、と考えていると。オレの前に足。
顔を上げると、キースが目の前に来てて、少し心配そうに、オレを見つめた。
「大丈夫? 気分悪い?」
「ううん。平気。でもなんか、体熱くて。なかなか冷めないかも」
「すごく、ぬるめのお湯があるってリアが言ってたから、そっちに行こうか」
「あ、うん。リアは?」
立ち上がって、キースと並ぶ。
「リアはもう少し熱いお湯が良いって」
「あ、そうなんだ」
振り返ると、リアがにっこり笑いながら、バイバイ、と手を振ってる。
笑い返して、キースについて歩き始める。
「ソラがオレらと居るようになってまだ少しだけどさ」
「うん?」
「なんか、すっかり一緒に居るのに慣れてきた」
「ほんと? うん、でもオレも、皆と居るのが、当たり前になってて、すごく不思議」
「不思議だよね。ルカが連れてくって言った時は、驚いたんだけどさ」
「そうなの?」
そう言う話は初聞きかも。
なんか随分すんなりと、皆が受け入れてくれて不思議だった気は、したけど。
「ん。ルカがソラと最初の一晩過ごした朝さ、違う世界から来たっていうのはほんとだと思うから、帰る方法があるのか、行き来できるのか調べる、とか……他の奴には言うなよ、とか。とにかく戦う時とかも連れてくけど、守るから。お前らも守って、とか言ってさ」
「――――……」
他の奴への口止め、は聞いた気がするけど。
……お前らも守って、とかは知らなかった。
……帰る方法だけでなく、行き来できる方法も、調べようとしてたの??
――――……行き来できるとか。考えた事は無かった。
「ソラを戦闘の場に連れてくとか、驚いたんだけど――――…… 離れてる間に消えたら困るとか言ってさ。ほんとちょっと驚いたよ」
クスクス笑って、キースがオレを見下ろす。
「あ、ソラ、ここ。ぬるいお湯」
「うん」
足をゆっくり入れると、隣にキースが並んだ。
ルカって。
――――……出会って一晩過ごした段階で、そんな事、言ってたんだ。
…………そういえば、朝起きた時から、ご飯食べさせてくれたり、服、着させられたり。
なんか、甘々に世話されてたような。
……守ってくれるなら、ルカのものになる、なんて言ったのに。
なんか守る以上の事、されてたような。
――――……だから余計に、オレの感情も、
意味が分からないものになってって。
………何だかなあ。
ぼー、と考えながら、ふと周りを見回すけど。
ルカとゴウは見えない。
どこに居るのかな……。
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