【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

「温泉の町」

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「ソラの世界にも温泉はあるんだ?」

 キースに言われて、うん、と頷く。

「同じなのかは分かんないけど。ルカがさっき色んな効き目があるって言ってたから、同じかも」

「温泉て、ここと、ほんの数か所しかないみたいだけどね」
「こっちも温泉が出るとこは決まってたよ」
 
 そんな話をキースとしていたら、ルカがリアを呼んだ。


「リア、行った事あるんだろ? 飛べるか?」
「飛べる飛べる! すごい久しぶり、楽しみ。 行くよー?」

 嬉しそうに笑うリアの周りが、いつもの如く、光る。
 肩の辺りで浮いていたミウを抱き締める。と同時に、ルカに、ぎゅ、と肩を抱かれる。


 新しい町につくと、独特の温泉地の匂いがして。
 入り口には「温泉の町ミロへようこそ」なんて看板がかかっていた。


 すごく賑やかなのが外からでも分かる。
 町の中に入ると、すぐ近くで、受付みたいな人達が居て、服を売っていた。


「ソラ、薄衣つけて入って良い事になってるんだ。買おうぜ服」

 ルカに腕を引かれて、うん、と頷く。


「ミウはお湯には入れないから。どっか行って遊んで来い」

 ルカの言葉を聞いて、ミウは、オレを見た。


「待っててくれる?」

 そう言うと、ミウはほわん、と、楽しそうな感じで飛び去って行った。


「ミウっていつも1人で何してるんだろ?」

 その後ろ姿が消えていくのを見つめながらオレが言うと、ルカが、ぷ、と笑いながらオレを見下ろした。


「大丈夫だぞ。 あいつ、ソラよりずっと強いから。とりあえず、結界があるから、誰も危害を加える事は出来ないし」

「じゃ大丈夫なんだね」

 頷くルカに安心しつつ。

 あんな可愛いのに、オレより強いって。
 て、オレは誰になら勝てるんだろう??


 ……複雑。

 

「あたし、着替えてくるねー」

 もう服を選んだらしいリアが、楽しそうに言って消えていった。
 ゴウとキースも一緒に男物の服を選ぶ。

 ああ、なんか、水着を着て温泉入るとことか、日本にもあったな。
 おんなじようなものか。……でっかい滑り台とかは……さすがになさそうかなあ。でも、なんか、すごい。楽しそう。


「ソラは上まであるの着ろよ」
「え。何で? 下だけがいい」

「だめ、こっちから選べ」
「だって、服が体に張り付いて気持ち悪そうだし」

 見渡すと、大体の男は下半分しか着てないし。

 何でダメって言うんだ。
 膨れてルカを見ると。


「体に痕ついてるから。良いなら良いけど……って、ダメだ。他の奴に見せんな」
「――――……っっ……」

 痕ってなんだと思った瞬間に理解して、かああっと赤くなる。


「っなんでそんなに痕つけるんだよっっ」

 小声で言うと、ルカってば、すごく楽しそうな顔で、ニヤリと笑う。

 は、しまった。
 絶対、余計な事、聞いた。絶対恥ずかしいこと言われる……っ!

 そう思ったから、かなり警戒して、身構えたのに。



「オレのもんだって印と――――…… 吸い付くと、ビクビク震えて、すげえエロくて、可愛いから」

「――――……っっっ」


 オレのもん、までは言いそうだから耐えられたんだけど。
 次のセリフは、想定よりきつくて、オレは一気に真っ赤になった。


「……っもう、ルカ、嫌い!!!」
「はー? お前が聞いたんじゃんか」

「でもそんなの、絶対からかって言ってるじゃん!」
「まあそーだけど。 いちいちそんな反応するお前が悪いだろ、誰だってからかうに決まってる」

 いけしゃあしゃあと、自分を正当化してるルカに、
 さっきまで太陽みたいなんて思っていた事は、もう遠くの方に掻き消えた。

 真っ赤になった顔が熱い。
 それが余計にムカムカする。



 もう、このデリカシー無し、エロエロ王子ーー!!

 からかってばっかりの、意地悪勇者ーー!!!




 恥ずかしい分、めっちゃムカムカするー!





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