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第2章

「のどか?」

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 朝食を終えて、リアの魔法でシャオの街に戻った。

 地下に続く階段を下りて行くと、すごく大きな船があって、少し奥に海に繋がってるらしい、これまたものすごくでかい扉があった。

 おー、なんかすごい、秘密基地みたい。カッコいいなー。
 ワクワクしながら歩き進んで、見回していると。

「おう、ソラじゃんか」
「あ、アラン」

 ちょうど海への出入り口付近、船の先端部分にアランが居た。


「あっちにルカ達来てるよ」
「ああ。そういや、お前ら昨日夜、ここに帰ってくんのかと思ってた」

「あ、多分そのつもりだったんだと思うけど……」
「……なんかあったの?」

「うん。まあ………色々」
「ふうん?」

 不思議そうにされながら、ちょっと笑顔で誤魔化していると。
 気づいたルカ達がオレとアランの方に歩いてきた。


「船どうだ?」
「ってまだ1日経ってないからな。5日って言ったろ」

 呆れたように言うアランに、ルカもまあな、と頷いてる。

「でもお前だって、早く漁に出たいだろ?」
「そりゃそうだけど、船が無理だと出れねえし」

「つーか、なんでこんなにバラしたんだよ」

 ルカが船を見上げて、呆れたようにため息。

「だからもうしばらく出れそうにないから、いい機会だからやりたかった手直し全部しようと思ったんだって。王子たちが来るなんて、知らねーし」

 そんな会話を聞いてると、なんか笑ってしまう。


 王子、と呼んで、崇めるみたいな人もいれば、 ルカの事を知らない人達も居るし、アランみたいに知っても、完全タメ語の人も居るし。

 それをルカは、全部、普通に受けとめてる。
 相手に合わせて。

 なんかアランとルカなんて、昨日会ってちょっと話しただけなのに、なんか、ずっと昔からの友達みたいな話し方。

 やっぱりなんかちょっと似てる。
 面白いなあ。
 
 
 ルカがこういう人だから、皆、好きなようにルカを好きなんだな。
 ――――……ぶっきらぼうだったり、偉そうだったりもするのに。


 ……オレには、意地悪だったり、からかったり、死ぬほど色々されたり、するけど。 なんか。根っこはものすごく優しいのかも……な気もするし。


 こんな人、今まで、会った事が、ない。


 まあ居ないよな。
 この世界で、たった一人、魔王を倒せる王子で。
 色んな事決める権限と責任を持ってる、一番、偉い人。
 一番偉いのに先頭切って、色んなとこ行って、戦ったり。

 こんな立場の人、普通の日本には居ないもんな。

 ……大変だと思うのに。
 大変だと思わせない感じで、やるのが当然みたいな顔してて。


 ルカは――――……うん。
 イイ男、なんだろうな。モテるの、ほんと分かってきた。


 そんな事を考えながら、ミウと一緒に、海からの波が入ってきてる側にしゃがんで、波に触れる。

 ここほとんど波が入ってこないような作りになってるみたいなのに。
 波が荒いからなのかなあ。結構しぶきが飛んでる。


 ぴちゃ、とミウの顔に雫がとんだら、なんかものすごい嫌そうな顔してる。

 ぷ。めっちゃ可愛い。


「ミウ、おいで、拭いてあげるから」

 みゅうう、と腕の中に入ってきて、服の端で顔をふきふきしてあげる。


「冷たかった?」

 ああ、可愛い。なんでこんなに可愛いかなあ、愛しすぎる。
 クスクス笑ってしまいながら、ミウのふわふわを整えてあげていると。


「お前はほんとのどかだな……」


 すぐそばに立ったルカに、そんな言葉と共に見下ろされる。




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