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第2章
「守る?」
しおりを挟む「ルカが甘すぎて、意味わからん」
ゴウが苦笑いしながら、オレを見てくる。
うん。オレも。ルカのこの態度は意味が分からないけどね。
思いながら、うんうん頷いてると、ゴウは可笑しそうに、クックッと笑い続けてる。
ルカはもうそこらへんには返事はしない事にしたらしく、せっせと剥いてくれてる。
かと思ったら、ふ、とルカが顔を上げた。
「……ああ、ソラ」
「ん?」
「やっぱり船を出すと、長く離れる事になるだろうし。――――……ソラも連れて行く」
ルカが、そう言った。
こないだも、離れてる間に居なくなったらとか言ってたし、何となくそういう事を言いそうな気は、していたんだけど。
「でもさ、ルカ達が戦う邪魔に、ならない?」
どうしても気になって、そう言ったら。
「お前が大丈夫か、離れて気にしてる方が気合入んねえから。――――……危ねぇかもしれないけど、ついてこいよ。守るし、助けるから」
まっすぐ見つめてそんな風に言われて。
もう何も返せない位 心臓が、うるさくなる。
もう、咄嗟に、うん、と頷くと。
ルカはまたチョコの実剥きを再開して。
まわりの皆は、クスクス笑ってる。
――――……オレはといえば。
なんか、すごくドキドキしたままで。
何を考えていいのかもよく分からないまま。
ルカの男っぽいけどキレイな指を、ただずっと見つめてしまった。
「結構剥くの時間かかるんだから、そんな見てんなよ、待ってろっつの」
チョコの実を待ってるって、勘違いされたみたいで。
ルカに、ぷ、と笑われてそんな風に言われて。
違うのにとまた複雑。
なんか気持ちがあっちこっち、色んな所にウロウロしてて。
またまた大分、疲れた。
……しかも、ドキドキは、したまま、だし。
「……あれ、ミウは?」
そうだ。オレ、昨日のあれから、ミウに会ってない。
まあミウは、もともと結構自由な魔物だし大丈夫だって、ルカが言ってたけど。
「朝まであたしの部屋に居たんだけど、窓開けたら飛んでっちゃったんだよね」
「ちょっとだけ外見てくるね? ごはん食べるかも」
ルカに言うと、ん、と頷いてる。
宿屋兼レストランのドアを開けて外に出る。
空を見上げるけど、ミウは浮いてない。
子供達と居たりするかなあと思って、町を少し歩いてみるけど、居ないなあ。
そういえば、昨日、花に引き込まれてたオレがどこにいるかをルカに教えてくれたのは、ミウなんだった。どうしてミウには、オレが中に居る花が分かったんだろ。オレの気配みたいなの、ミウは、感じられるのかなあ。
「ミウ―?」
おーい、と呼んでしばらく。
ぴゅーと飛んでくるミウか見える。
あんな遠くにいるのに、聞こえたの?
めっちゃすごい能力が隠れてそう、ミウ。
あんなポワポワしてるのに。
飛んできたミウが、ぽふ、と腕の中に入ってきた。
「昨日ありがとうね、ミウ」
みゃ、と返事をしたような気もしつつ、抱き締めたままルカ達の元に戻る。
「あ、ミウ居たの?」
「うん。呼んだら、結構遠くからぴゅーんて飛んできた」
「あは、可愛いねー」
「うん」
ふふ、と笑いながら、ルカの隣に座り直すと。
「ソラ」
口にぱく、と食べさせられる。
「美味し……」
ふふ、と笑ってると、下からじーっとミウが見つめてくる。
「ルカ、いっこちょうだい?」
「ほら」
向いた実を手にのせられる。
あーん、とミウに食べさせる。ミウも、美味しそうな顔してる。
ああ、可愛い。
「だから――――……そっくりなんだけど。お前ら」
くっ、とルカが笑う。
「え?」
ミウを見てたオレは、ふとルカを見上げた。
同じタイミングで、ミウも、「みゃ?」と言いながら、一緒にルカを見たみたいで。
「動きも一緒とか、マジでやめろ」
ルカが肩を震わせて笑ってるし。
リアなんて、「かわいすぎなんだけど、もう」と、むぎゅー、と抱き締めにわざわざ歩いてくるし。
「似てる?」
ミウに聞くけど、ミウ、首を傾げて、「みゅ?」と言ってる。
「――――……」
きゅん、と胸が締め付けられる。
ああ、もう可愛い。
ていうか、オレ、こんなに可愛くないぞ。
似てないぞ。
ミウは、めちゃくちゃ可愛い。
なんだろう、この愛しい生き物は。
「ミウも一緒に、海に出る?」
よしよし、と撫でながら、ご飯を与えてると。
やっと笑いを収めたルカが頷いた。
「ああ、連れてく。――――……いざとなったら、ソラ連れて、船から上に飛んでてもらってもいいし。なかなか重宝するよな、ミウ。お前の事は守ってくれそうだし」
オレってば、ミウに守ってもらうのかー。
オレが守ってあげたいんだけどなあ、ミウ。
無邪気にご飯食べてるミウを見つめながら。
可愛くて、くすくす、笑ってしまった。
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