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第2章
「邪魔じゃない?」
しおりを挟む「今日どうする?」
キースがルカに聞くと、ルカはんー、と少し考えてから。
「シャオの街に戻って、アランの様子見にいくか。行ってから考えようぜ」
その言葉に皆頷いてる。
「まあ、海に居る何かが、どっか行っちゃってくれて、波とか収まってたらいいけどねえ」
リアの言葉に、ルカが「それじゃまた違う所に被害が出るからダメだな」と言った。
「分かってるけどほら、海のど真ん中とかで勝手に生きててくれるならさあ」
「戻ってくるかもしれないだろ。原因は断つのが一番早い」
……うん。たしかに。
確かにそうだね。うん。魔物なら倒してしまうのが、確実。
で、そこで、ものすごく、気になるのが。
「あのさ、ルカ」
「ん」
「――――……それ行く時、オレ、つれてく?」
「――――……」
皆がオレを見る。ルカもオレを見ながら、珍しくすぐに返事をしてこない。
「……オレ、なんか居るだけ邪魔じゃない? 捕まったり、吸い込まれたり、なんか邪魔してる気がして……」
怖いってのもあるけど、なんか居ると、ルカの邪魔になっちゃうんじゃないかと思ってしまうんだけど。
「……邪魔とは言わないけど、確かに戦えないソラが立ってると、狙われちゃうみただよね」
リアも肘をついて、うーん、と考えてる。
「今まで、ソラみたいな子を一緒に連れて戦う事って無かったから、分からなかったけど。標的になってる感じはするよね」
キースもそう言う。
「まあでもソラが捕まると、大体ルカがキレて1人で倒してて、楽だけどな」
はっはっはっと、ゴウが笑ってる。
ゴウって……まあ確かにそうなってはいるみたいだけど……。
キースとリアも、確かに、楽ちん、とか言って笑ってる。
この人達は、ほんと自由で。
……なんかいいなあ。ゆるーくて。
「どうすっかな…… ああ、ソラもう飯はいいのか?」
「うん、もう大丈夫」
「チョコの実、食べる?」
「それは食べる」
頷くと、ふ、と笑って、ルカが剥き始める。
数秒後、皆がぷっと一斉に笑い出した。
「……ンだよ」
ルカが、ジロ、と3人を睨むと。
「なんか、ソラの為に実を剥いてるルカが、恒例になってきてて」
あははは、とリアが笑う。
「そもそもお前、剥くの面倒だから実なんか食べねえっつってたのになー」
ゴウがそんな事を言ってきて。ルカは、ち、と舌打ち。
え。そうなの??と、びっくりして ルカを見上げていると。
ルカが、何だかものすごく嫌そうな顔をして、オレを見下ろす。
「ンだよ、その顔」
皆がクスクス笑ってるのを聞きながらも。
「……毎日剥いてくれるから、こういうの剥くの元々好きなのかと、思ってた……」
言った瞬間、ぷーーっとリアたちが噴き出してる。
「あっは――――……そんな訳ないよ、結構ルカ、面倒くさがりなんだからねー」
あー面白い。そう言っておかしそうに笑って、「面倒くさがりだよねえ?」と、ルカに同意を求めてる。
ルカが結構ムッとしてるから、キースとゴウは笑ってるだけなんだけど。リアはそこらへん、ほんとメンタル強いのか、全然気付いてないのか、ものすごーく楽しそうに笑いながら、ルカをからかってる。
「……ほら」
リアには特に何も言わずに、ルカが、オレの口にチョコの実をぽい、と食べさせる。
「美味し……」
どんな複雑な気分の時でも美味しい。
「オレが好きなのは剥くのじゃねーから。ソラが美味そうに笑うから剥いてんだけど。――――……まさかこんな面倒くせー作業が好きだと思われてるとか。 意味わかんね」
ルカの言葉。
……やっぱり複雑。
「いいよ、そんな剥くの嫌なら、オレ自分で剥けるから、貸して?」
手を出すと、ルカが、はあ?とオレをちょっと睨む。
「話聞いてた? オレがお前に食べさせて美味そうな顔するから、やってんだって。 わかんねーな、ソラ。 ほんと馬鹿」
馬鹿とかまた言われてムカつくんだけど。
――――……でもなんか。
よく分かんないけど。
……ルカがせっせと剥いてくれてる姿がちょっと可愛いのと。
オレが美味しいって言った時の、ルカの、ふ、と緩む瞳が好きなのと。
――――……ついでに、今。
剥くの面倒なのに、オレに食べさす為には、そんなに楽しそうに剥いてくれてるんだ、という、なんだかよく分かんない、ちょっと嬉しい気持ちも合わさって。
ルカから、チョコの実を奪うのは、やめた。
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