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第2章
「本気か冗談か」
しおりを挟む――――……なんか、大分日本の結婚とは違いそうだけど。
籍とか無いみたいだし。
籍入れるって、日本の結婚ではかなり大きい部分な気がするけど。
緩すぎて、いまいち、よく分かんないけど。
……結婚しようって、言われた。
魔王倒しても。
……オレは帰らないで。
ずっとルカのでって。
初めて言ったかって、ルカ、笑ってたけど。
――――……考えてたってこと? って、会ったばっかりなのに。
――――……なんだかな、ルカ。
何言ってるんだろう。
自由過ぎるにもほどがあるっつーの。
嬉しいと喜ぶには、なんだか色々あんまりにも複雑で。
でもなんか。
――――……何となく、ちょっと、笑んでしまうような気分なような。
ほんと。変なの。
「ソラ、これ食べる?」
「うん、食べる」
リアに聞かれて頷く。
「ソラが食べたいの持って、テーブルに行ってて、私ここらへんのデザートぽいの持ってくから」
「はーい」
どうやら、バイキングみたいなパーティらしい。
中心部は皆、楽しそうに騒いでるので、食べ物飲み物を皿に取ったら、食べたい人は、中心を大きく囲うように置かれてるテーブルや椅子の所で食べれば良いみたい。
町の人達は、飲み物を片手に、中心でしゃべってる人達が多い。
ルカは引っ張って行かれて、そこで、皆と何か喋ってる。
――――……堂々としてるから、カッコいいのかなあ。
何か、ルカだけがやたら目立って見える。
……背、高いからだな、うん。それだけだ、うん
「ソラ、酒飲むか?」
ゴウに聞かれて、ぷるぷる首を振る。
「ここのお酒強いから良いや……」
「これ、強くねえぞ。祝いの席だし、飲んだら?」
……そっか。お祝いの席か。
「ほんとに強くない?」
「ああ、飲んでみな」
手渡されたコップで、一口。
うん。……そこまでアルコールの味は強くないけど。
「今日はもうどこも行かない?」
「どこもって?」
「何か倒しに行くとか、そういうのしない?」
そう聞くと、ああ、とゴウが頷いて、ルカの方に視線を向けた。
「今ルカがあそこで話聞いてるから、それから決めるんじゃねえかな。でも、あいつも今飲んでるし。至急の案件はねえと思うけど」
「じゃ飲もうーと」
このお酒も甘くて美味しいし。
なんか、この世界のお酒はすっごく、オレ好みかもしれないー。
果実酒も美味しかったしなあ。
ゴウから受け取った酒を持って、テーブルにお皿を置いて椅子に座る。
すぐ、リアも大きな皿に色々持ってきて、隣に座る。
「ソラ、乾杯ー!」
「うん、かんぱーい!」
「美味しいねえ、お酒」
「うん」
2人で並んで、美味しいお酒を飲んでると、リアが、クスクス笑い出した。
「結婚しようと来たね、ルカ」
「……意味わかんないね」
「あはは。ほんとよねー。さすがにびっくりした」
「うん」
「ソラ、石化の魔法掛かってるみたいだったもんね」
可笑しくてたまんないって顔でリアが笑ってると、キースが隣に座りながら、ふ、と笑んだ。
「さっきのルカの事?」
「うん。てか、ソラが石化の魔法にかかったみたいだったなーって」
リアが笑いながら言うと、キースも、ああ、と頷いて笑う。
「まあ本気なんだろうけどね」
「……本気で言ったと思うの? キース」
「あの言い方で冗談だと思うの、ソラ?」
「……うーん……」
「まあ大体にしてルカて、本気か冗談か分かんない時多いよね」
「うん……」
リアのセリフに、ますます唸ってる所に、ゴウも座ってきた。
「ゴウはルカのプロポーズ、本気だと思う?」
キースの言葉に、ゴウはぷ、と笑いながら。
「前は結婚しねえって言ってたけどなー、あいつ」
……そうなんだ、と思ってると。
ゴウは、オレを見て、ぷ、と笑った。
「女とすげえ会ってる時に、結婚しねえとか言って、ソラと居る時に結婚しようとか、マジで面白ぇよな」
面白いとかじゃないけどね。
ふ、と息を付きながら、中心に居る、やたら目立つ人を目に映しながら。
美味しいお酒を、ごく、と飲み干した。
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