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第2章

「プロポーズ?」

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「まあいいんじゃねえ、自由な方が。楽しいし。な、ソラ?」


 ルカがそんな風に言って、笑う。

 ほんと、ルカは、自由だよな。
 いいなあ、こんな風に生きれたら。

 確かに楽しそう。
 そう思って、頷くと。


「ソラ」
「ん?」


「――――……オレらも結婚する?」

「……は?」

 固まりに固まって、ルカを見上げていると。


「嘘、ルカ、今突然プロポーズしたの?」

 リアが信じらんない、と笑ってる。

「お前結婚しないって言ってたじゃねーか」
「ソラが石像みたいになってるけど……」

 ゴウとキースの笑い声も、聞こえてくるけど、反応できず。


「……ソラ?」

 目の前で、ルカが大きな手を振ってくる。


「……何だこれ、目開けたまま気絶か?」

 ルカが呆れたように言って。周りの3人が笑ってるのも分かるけど。
 何て言っていいのか分からなくてただ、ルカを見上げてると。

 頬に触れられて、さっきよりも、長く、キスされた。


「…………っっ」


 固まってるとこ、口が塞がれて、息が出来なくて、変な風に、ひゅ、と息を吸い込んで、けほっ、とむせる。


「大丈夫か? ソラ?」

 クスクス笑うルカが、オレの頬に触れる。


「――――……そこまで驚かなくて良くねえ?」


 答えられないオレのかわりに。

「驚くでしょ」
「驚くわ」
「驚くよね……」

 リアとゴウとキースが、ほぼ同時にハモって言った。


「そうか? 結婚て、相手が自分のものだっていう、単なる宣言だぞ?」
「え」

 ……あ、そうなの? 
 宣言するだけだというなら、
 いっつもルカって、オレのだオレのだ言ってるな。

 やっと、考えられて、そうなんだ、と思っていると。

「周りの奴にそう宣言するってだけだけど? さっきみたいな式をして、宣言する奴も多いけど、しない奴らも多いし……」

「……戸籍は?……」
「何だ?」

 はい。戸籍ない。
 なんだかちょっと可笑しくなってきた。

 じゃあ結婚て、何?


「……家同士で挨拶とか……」
「……そりゃ周りの奴に宣言するから、挨拶くらいするけど。結婚は本人次第」

「……何の為にするの? 結婚て」
「だから、相手が自分のもんだっていう、宣言」

「ルカ、言い方」

 リアが呆れたように言う。

「ルカの言い方はあれだけど、『生きてる限りずっと一緒に居たいって思ってます』っていうお知らせをする感じだよ?」

「だから。ソラはオレのだって、オレ言ってるじゃんか。結婚しても変わんなくねえ?」

 その部分は変わんないけど。
 ……うーん?

 
「オレはルカのって、いつもルカは言ってるけど――――……」


 別に、ルカは、オレのじゃないじゃんか。
 お城に帰れば、相手、いっぱいいるみたいだし。

 ……でも何かそれ言うと、オレが気にしてるみたいで嫌だ。
 言わないでいると。


「結婚て、片方だけの宣言じゃないんだよ、ソラ。ルカが宣言しても良いって言うなら、ルカもソラのって事になるんだよね」

 リアがクスクス笑う。

「ね、ルカ?」

 そんなリアの言葉に。

「ああ」
 ルカは平然とした顔で、頷いてる。

「――――……」


 ――――……ルカも、オレのってこと……?


「オレはいつでもいいけど」

 くす、と笑って。ルカはオレの頭をぐしゃぐしゃ撫でる。


「つか……オレがルカのなのは」
「ん?」

「――――……魔王倒すまでか、オレが帰るまで、だろ」


 オレがそう言ったら。
 ルカは、数秒黙ってから。


 意志の強そうなまっすぐな瞳で、オレを見つめて。
 ふ、と微笑んだ。



「お前は帰らず、魔王倒しても――――……オレので居れば?」

「――――……」



「って、オレ、これ言うのは、初か」



 はは、とルカは笑い出した。



「――――……ま、考えとけよ、ソラ」


 笑いながらそう言い終えた所で、ルカは町の人に呼ばれて、ふと振り返る。



「食事どうぞだってよ、行こうぜ」


 ルカに言われて、皆、歩き出す。



 なんかものすごく軽く、
 ものすごい事、言われた気がするんだけど。



「ほら、ソラも、行くぞ」


 くしゃ、と髪を撫でられて。
 見上げると。

 ここ数日で、これでもかという位に、ずっと側にある。
 ルカの笑顔。


 なんだか。
 心臓が――――……ドクドク……までは、行かないか。


 うーん。 トクトク?? 


 なんか、とにかく、少し、脈が速いというのか。

 ――――……よく分かんないけど。
 ほんと変なの。






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