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第2章

「ルカのくせに」

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「ねー、素敵だったでしょ? 旅してると何回かこういう機会があって、まあ大体似たような事をルカがするんだけどね。今日はお花がいっぱいあったから、余計に綺麗だったかも……」

 リアが、ふふ、と笑ってオレを見つめる。

「うん。ルカのくせにね。すごいね」

 くす、と笑ってそう言うと、リアが、ぷ、と笑った。

「ほんとそう思うでしょ、いつもあんな人なのにねー?」
「うんうん、ほんとに」

 2人でクスクス笑いあってると、キースも笑い出した。

「でも、ルカはこういう事平気でやるから、ほんと好かれるんだよね」
「確かになー。今日の新郎新婦達にとったら、もう神様なんじゃねぇ?」

 ゴウも笑う。


 確かに、自分の結婚式で、あんな事してくれた、王子様。
 ――――……神様、かもね。うん。


 めちゃくちゃ感謝されまくり、拍手されながら、もーいいから、みたいな動作をしつつ、ルカが戻ってきた。


「おかえり、神様」

 リアが笑いながら言うと。


「あ?」

 いつも通りのルカが、何言ってんだ?て顔をする。

 さっき降ってきた花びらを乗せた手を何となく握ったままにしていたら、気づいたルカが、ふ、と笑いながらオレの手首を掴んだ。

「何握ってンだ? ソラ」
「あ」

 優しい仕草で、開かれた先にピンク色の花びらを見つけて。


「さっき飛んできた?」
「うん。――――……すっごい、綺麗だったよ? なんかルカが、すごい人に、見えた、かも」

 思い出して、笑うと。

 ぷに、と頬を摘ままれる。


「オレは元々すごい人、だけどな?」
「――――……」

 すごい自信すぎて、ただ見上げてしまっていたら。
 ぐい、と引き寄せられて、ちゅ、とキスされる。


「……っ……」

 皆真横にいるんだけど! と、ばっと離れると、ルカはクスクス笑いながら、手を離す。


 っこういうとこだよ、こういうとこが、
 さっきみたいな事、しそうにないんだっつーの。


 もう。
 さっき、ほんとにすごいなーと思ったのに。


「ああ、リア、レストランはやってないらしいんだけど、この式が終わったら、お祝いの宴があるからぜひ食べて行ってくださいだって」

「やったー、じゃあご馳走じゃない」

 ラッキー、とリアが喜んでる。


 むむむむむ。
 なんで皆の前でキスするのかなあ。もう。


「お前さー、ソラ」

 ゴウが隣に来てて、ひょい、と覗かれる。


「何?」
「結構ルカとヤってるし、オレらがそれ知ってるのも分かってんのに、何であんな軽いキスで真っ赤になる訳?」
「何でって……っっ」

 当たり前じゃんかー!
 なんで、男同士でキスしてんの、周りの皆に見せないと、いけないんだよーっっ。もうーー!!


「……あ。そうだ。あのさ、ゴウ」
「ん?」

「……男同士の結婚て……」
「ん、なに?」

「……良いの?」
「良いのって?」

 オウム返しで聞かれる。不思議そうな顔で。
 あ、もう分かった。良いんだ。というか、良くないなんて発想が、無いんだ。

「何だよ?」

 不思議そうなゴウに、説明しようかと口を開きかけた時。


「ソラの世界には、男同士は無いらしいぜ?」

 ルカがそんな風に言いながら、ゴウに視線を流してる。


「無くはないと思うけど……オレが住んでた国は、結婚は出来ないから」
「へえ。そうなんだ。なんでだ?」

 ゴウに聞かれて、一瞬答えられなくて、固まる。


「何で……? んー……誰かがそう、決めたから、かなあ」

 昔の日本人の誰かが、婚姻届けは男女だけって決めたんだよな。
 誰?? ……知らない。

 違う国は許されてるとこもあるもんな……。

 
「ふーん。まあここは、ルカがルールだからな。自由だよな」
「オレが決める前から、そこら辺は 自由だったろ」


「そうだっけ? お前が王子として出てきてから、余計色んな事が自由んなった気がするけどな」


 そんなゴウの言葉に、ルカは、そうか?と笑ってる。


 ……知らないけど、絶対そうだと思う。





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