78 / 299
第2章
「祝福を」
しおりを挟むアランを探してる間にもう結構いい時間になっていて、お昼を先に食べようって事になった。
近くに良いとこないか聞いてくるーなんてリアが言って、すぐに慌てたように帰ってきた。
「なんか隣の町で2組のカップルが一緒に結婚式してるんだって!」
「へえ。2組。めでたいね」
キースがふふ、と笑う。
「ルカに祝福もらえたら喜ぶんじゃない? あ、ちなみにその町のレストランが美味しいらしいわよ。でも結婚式してるからお店がやってるかは分かんないけど。行ってみる?」
そんな風にリアが言い、ルカも、良いぜ、と笑う。
祝福?? 何するんだろ。
分からなかったけど、もう皆すぐ移動モードになったので聞けず。
リアの近くに集まった。
「じゃ行くよー」
リアが移動の魔法を唱えて。オレは、ミウを抱き締めて。
――――……いつものように、ルカが、オレの背に、手を置いた。
別に、ミウみたいに飛んじゃったら困る訳でもないし、触れてないと飛べない訳でもないのに。ルカは、オレに触れてるなあ、とまた思う。
新しい町の入り口に降り立って、ぎゅと抱き締めてたミウを離してあげると、ふわふわと頭上を飛んだ。
町の中から楽し気な音楽が、流れてきていた。
中に入ると、教会の前に人がたくさん居て、多分、今まさに、式が行われている所。
花びらがふわふわ、皆が投げてるのが見える。
フラワーシャワーだっけ? こっちの世界でも、同じ事するんだー。
キレイだなあ、なんて思いながら、近づいていくと、皆の中心に居る人達が見えてきた。
2組の新郎新婦。
……と思ったら。
…………1組の新郎新婦と、1組の新郎新郎???
オレは1人で目をぱちくりさせていたのだけれど。
お祝いしてる人達は普通で、まあそっちは同じ町の人達だから、皆納得の上なのかな、とも思ったけど、ルカ達も皆、全然普通で。
ルカが真ん中に近づいてくと、皆、一瞬不思議そうにルカを振り返っていたけれど。誰かが、「ルカ王子」と名を呼んだら、一気に盛り上がった。
「王子、祝福をいただけますか?」
教会の神父さまが、ルカに言った。
何、するんだろう、と思ってたら。
リアが、隣で、クスっと笑った。
「すっごい素敵だから、ずっと見てて?」
「ん……」
なんだろ。
2組の夫婦が、ルカの前に並んだ。
ルカが、何かを唱えてる。
オレ達は、少し離れた所で見守ってるから、何を言ってるかは聞こえないけど。
新しい夫婦たちは、ルカをまるで眩しいものでも見るように、まっすぐ見つめてる。
ルカが、4人の頭に手をかざした瞬間だった。
辺りが、ぱあっと、光って、
ふわっと、風が吹いたと思ったら。
まわりの人達が持っていた花びらたちが風に乗って、最初に4人の周りを舞って、そこに居た皆の周りも舞って。
心地良い花びらの風と、優しい光に、数秒、包まれて。
その花びらが、全部一度に上に集まったと思ったら。
今度は、花びらの雨、みたいに、皆の頭上に降ってきた。
歓声が上がって、皆、すごく嬉しそう。
――――……そりゃそうだ、すごい、綺麗だった。
…………ルカのくせにさ。
これよりロマンチックな事なんてないんじゃないって位の、光景だった。
いっつもエロエロなのに。
――――……ルカなのに。
オレ達の所にもひらひらと舞い落ちてきた花びら。
とっさに手を出したら、手に乗っかった。
キレイだった、なあ。
――――……ルカ、すごい。
もう素直にそう思って、ふ、と笑ってしまう。
124
お気に入りに追加
4,652
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる