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第2章
「祝福を」
しおりを挟むアランを探してる間にもう結構いい時間になっていて、お昼を先に食べようって事になった。
近くに良いとこないか聞いてくるーなんてリアが言って、すぐに慌てたように帰ってきた。
「なんか隣の町で2組のカップルが一緒に結婚式してるんだって!」
「へえ。2組。めでたいね」
キースがふふ、と笑う。
「ルカに祝福もらえたら喜ぶんじゃない? あ、ちなみにその町のレストランが美味しいらしいわよ。でも結婚式してるからお店がやってるかは分かんないけど。行ってみる?」
そんな風にリアが言い、ルカも、良いぜ、と笑う。
祝福?? 何するんだろ。
分からなかったけど、もう皆すぐ移動モードになったので聞けず。
リアの近くに集まった。
「じゃ行くよー」
リアが移動の魔法を唱えて。オレは、ミウを抱き締めて。
――――……いつものように、ルカが、オレの背に、手を置いた。
別に、ミウみたいに飛んじゃったら困る訳でもないし、触れてないと飛べない訳でもないのに。ルカは、オレに触れてるなあ、とまた思う。
新しい町の入り口に降り立って、ぎゅと抱き締めてたミウを離してあげると、ふわふわと頭上を飛んだ。
町の中から楽し気な音楽が、流れてきていた。
中に入ると、教会の前に人がたくさん居て、多分、今まさに、式が行われている所。
花びらがふわふわ、皆が投げてるのが見える。
フラワーシャワーだっけ? こっちの世界でも、同じ事するんだー。
キレイだなあ、なんて思いながら、近づいていくと、皆の中心に居る人達が見えてきた。
2組の新郎新婦。
……と思ったら。
…………1組の新郎新婦と、1組の新郎新郎???
オレは1人で目をぱちくりさせていたのだけれど。
お祝いしてる人達は普通で、まあそっちは同じ町の人達だから、皆納得の上なのかな、とも思ったけど、ルカ達も皆、全然普通で。
ルカが真ん中に近づいてくと、皆、一瞬不思議そうにルカを振り返っていたけれど。誰かが、「ルカ王子」と名を呼んだら、一気に盛り上がった。
「王子、祝福をいただけますか?」
教会の神父さまが、ルカに言った。
何、するんだろう、と思ってたら。
リアが、隣で、クスっと笑った。
「すっごい素敵だから、ずっと見てて?」
「ん……」
なんだろ。
2組の夫婦が、ルカの前に並んだ。
ルカが、何かを唱えてる。
オレ達は、少し離れた所で見守ってるから、何を言ってるかは聞こえないけど。
新しい夫婦たちは、ルカをまるで眩しいものでも見るように、まっすぐ見つめてる。
ルカが、4人の頭に手をかざした瞬間だった。
辺りが、ぱあっと、光って、
ふわっと、風が吹いたと思ったら。
まわりの人達が持っていた花びらたちが風に乗って、最初に4人の周りを舞って、そこに居た皆の周りも舞って。
心地良い花びらの風と、優しい光に、数秒、包まれて。
その花びらが、全部一度に上に集まったと思ったら。
今度は、花びらの雨、みたいに、皆の頭上に降ってきた。
歓声が上がって、皆、すごく嬉しそう。
――――……そりゃそうだ、すごい、綺麗だった。
…………ルカのくせにさ。
これよりロマンチックな事なんてないんじゃないって位の、光景だった。
いっつもエロエロなのに。
――――……ルカなのに。
オレ達の所にもひらひらと舞い落ちてきた花びら。
とっさに手を出したら、手に乗っかった。
キレイだった、なあ。
――――……ルカ、すごい。
もう素直にそう思って、ふ、と笑ってしまう。
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