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第2章

「軽い……」

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「船出してほしいっつーなら、出してあげたいって気持ちはあるんだけどね……」


 そう言いながら、アランは、ぷかぷか浮いてるミウを見て。
 ふ、と笑ってる。


「なあ、ミウって誰かに懐かないと、人が居るとこに来ないんじゃなかったっけ?」

 そんなアランの言葉に、ルカが、オレを、親指で指した。

「そのミウは、ソラに懐いてる」
「へえ。――――……ソラね。よろしく」

 くす、とアランがオレを見て笑う。


「王子が男イケると思わなかった」
「あ?」

 クスクス笑って言われたアランの一言に、ルカが眉を顰める。


「しばらく城で船作ってる時、町で結構女の子と仲良くなったけど――――…… 王子がモテてんの実感したんだよね、女の子達皆、ルカ王子素敵、みたいな感じでさ。関係してる子も多かったでしょ」
「――――……」


 ちーん。
 思わぬところから、ルカの爛れた性生活が突然飛び込んできた。

 …………まあ、アランも同じくだけど。


 …………ていうか、その相手の女の子達も軽いし。
 やっぱり、皆軽いって事だよね。

 この数日で何度も実感してる事を、またまた実感。

 まあでも皆が軽くたって、そりゃ好きじゃないとしないだろうから、
 この2人とか、モテまくりすぎ、なんだろうけどさ。



「はは、あんだけ女としてて、何でそっから、男?」
「――――……その話、続けないとダメか」

 ルカがちょっと不機嫌そう。

 …………内心不機嫌なのは、まあ、ルカよりオレだと思うけど。

 ……ルカのどスケベ。
 ――――……どんだけ女の子としてんだ。
 …………ていうか、この目の前に居るこの人もだけど。


「いや、別にいいけど――――……」

 アランはくす、と笑ってオレを見下ろした。


「王子に飽きたら、オレとしてみる? さっきキスされてる顔見たら、オレも、初の男もありな気がしてき――――……」

 ルカが、オレとアランの間に入って。
 完全にオレを、アランの視界から、消した、というのか。


「これは、オレの。 手ぇ出したら、殺す」

 ドキ。

 …………ドキ?


 ――――……ていうか。ちがうちがう。

 ルカはいっぱい他の子に手ぇだしてんじゃん。
 オレが誰かとしたって、文句言われる筋合いはないじゃん!

 ムカムカ。
 ……するのだけど、一方で。

 そんな風に言ってくれた事に、どきどきして。
 ……ちょっと顔が熱いとか。……何でだ??

 ちょうどルカが背中に隠してくれているのを良い事に、顔の熱を冷ます事に集中していたら。


「まあその話は置いといて。ちょっと、きっついんだよね、この海は」

 アランが、すごく嫌そうな声でそう言ってる。

「どう見ても、普通の波じゃない。絶対何か波を起こしてる原因があって、不規則にも程があるから、波が読めないんだよ。あれはオレでも、転覆、するかもよ?」
「お前以外だと、転覆確実だとは聞いた」

「――――……オレでも、転覆するかも」
「かも、なんだろ?」

 ルカの、笑みを含んだセリフに、はー、と、アランがため息をついた。




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