【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

「アラン」

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「……ん、ん……」

 胸が締め付けられるって。これは一体何なんだろうと。
 目を少し開けると。

 凛々しいルカの、瞳を伏せた顔面のアップ。

 何でオレは、ルカと、こんな、キス、何度も繰り返してるんだろ。
 何でルカは、オレに、こんなに、キス、ばっかり……。


「――――……」

 見上げたルカの向こうに、ミウがふわふわ浮いてるのが見える。

 そういえば、ミウと初めて会ったのも、こんな風に、木のとこで、ルカと、キス……だけじゃなかった、あん時は、全部してたっけ。

 ……ていうか、外でとかありえないし……っ。
 何だか思い出して、急にまた恥ずかしくなってきた時、だった。


「――――……??」


 あれ? なんか。ミウの飛び方が……?
 何かに、向かってる、みたいな。 ただいつもみたいにフワフワしてるだけじゃなくて。

 何かの方を、向いてるというか、見てる、というか。


 ――――……何か、木の上に、居る……?


「……ん、んっ!」
「――――……?」

「ん、か……るか、あの――――……」
「も少し」

「……っン……っ」

 じゃ、なくて。
 ちょっと……!!

「……る、か、あの」
「んだよ、もう少し」

 囁きながら、またキスしようとしてくるけれど。

「待、って、あの、上……」
「んだよ?」

 とっても不機嫌そうに唇を外して。
 ルカが、上を見て。


 ミウの向きと飛び方に、ルカも、ちょっと疑問に思ったらしく。


「ミウ、なんか居んのか?」

 ルカは、オレの事は離さず抱いたまま、ミウにそう言った。 

「みゃー」

 ミウが、大きな枝の根本の所にふわふわーと近づいていく。

 なんか。もう絶対、あそこに誰か居る。


「そこに誰かいんのか?」

 ルカの声に。
 ちょうどミウが居たあたりの、太い枝の所から。

 ふ、と誰かが顔を出した。


 ルカが呆れたように。


「何してんだ、そんなとこで」
「何してんだって――――…… ここ、オレの昼寝場所」


 木の上で昼寝って……。
 変な人。


 ちょうど、木の上に太陽があるせいで、逆光になって、完全に影になってて、顔は見えない。
 声は若そうな、男の人だってことだけは分かるけど。


「下でコトが始まりそうだったから、終わるまで寝てようかと思っただけなんだけど?」

 クックッと笑って、そいつが言う。



 ――――……っっ 聞かれてたってこと? 見られてた??
 うわ、ものすごい、恥ずかしすぎるんだけど……。


 なのに、ルカは全く平気な顔して、「ふざけんな」とか言ってる。

 ……ふざけんなはむしろ、外でこんな風にしてた、オレ達だけどね。ていうか、ルカだと思うけどね。

 でも、ルカも、相手も、全然気にしてない。
 
 この世界の人達って。
 ……ほんとうに、そこらへん。緩い……。

 外で、しかも男同士で、こんな真昼間……いや、割と朝に近い時間から、あんな事してたのに、特別な事でもないような感じの反応で。

 会う人会う人、皆緩いと、オレが気にしてるのがおかしいのかなって思ってきてしまう。けど。


 ……違うよね? ――――……悩む……。



「なあ、これ、ミウだよな、こんな近くで見るの、珍しい」

 彼はそんな事を言って。ミウは、差し出された手に近寄ってく。

 ミウを撫でた後、すっと立ち上がり、枝を伝って、上手に降りてくる。最後なんて、かなり高い所から、ジャンプして降り立った。

 鍛えられてそうな良い体の、長身の男。
 強気な瞳が印象的だった。その瞳が、ルカを見て、あ、と面白そうに緩んだ。なんだか、人懐こいイメージに急に変わる。

「もしかしてルカ王子?」
「……何でそう思う?」

「刀についてる紋章。前に、城に行った事があって、見かけたから」
「……城に?」
「そう。船を作りに行った。あん時王子は出てて、顔は見れなかったけど」

 あ。
 ――――……この人の、髪って。
 一瞬黒っぽいけど――――…… 緑、だ。


「――――……お前、アランか?」
「え?……てか、そっちこそ、何でオレの名前?」

 アランは、不思議そうな顔をして、ルカを見つめた。

「お前を探してたんだよ」
「――――……あーもしかして、海に出たい?とか?」

「話が早いな、お前」

 ふ、とルカが笑う。







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