65 / 299
第2章
「いつも近くに」
しおりを挟む町長達に挨拶をした後、オレ達は、リアの魔法でシャオの町に飛んだ。
もちろん、ミウは、超ぎゅっと抱っこして。
オレが抱くと、ミウもひしっと抱き付いてくるので、めちゃくちゃ可愛いと思いながら。オレの肩には、いつもみたいにルカの手が乗っかってた。
なんか。
気づくとルカはいっつも、オレに触れてる。
こういう時は囲うみたいにしてるし。
山というか崖みたいなの登ってた時も、いつ落ちても大丈夫な感じですぐ近くに居たし。実際落ちてもすぐ助けてくれて。
食事とかで座ってる時も、超近くに居るし。
……でもって、なんか。
それが当たり前になってる事に気付いたのは。
――――……昨日の、宴の席。
ルカが、偉い人の席に居て、すごく離れてた。
ミウも居たし、何となくオレは端っこに座ろうと思って、離れて座った時、オレの方を見て何か言おうとしてたルカは、すぐに町長や、女の子達に囲まれた。
あれは、隣に座れって事だった、のかなあ。
……敢えて、聞いてはいないけど。
なんか。
ルカがすぐ近くに居ないという事実のせいで。
いつも触れる位に近くに居るって事に気付いた。
離れているのを少し寂しいと思う位には、近くに居る事が当たり前になってる事にも、気づいてしまった。
「何だよ?」
リアの魔法が解かれて、町の前に立って、手を離したルカを見上げると。
ルカがオレを見て、ふ、と笑んだ。
偉そう、なんだけど。
もうなんか慣れてしまって。
最初は偉そうに笑われると、怖かったのに。
もう全然……嫌な感じは、しない。
「ううん」
言って、オレはミウを抱き締めていた手を解いた。
ふわふわ、と浮かんだかと思ったら。
ぽよ、と肩の上に乗っかった。
全然重くはないので、肩のすぐ上で、浮いてて、ちょこっと触れてる、位。
「あはは。並んでると、なんかすごく可愛いー」
リアがオレとミウを見て、笑う。
すぐ横にあるミウと見つめあって、ふふと笑ってしまう。
うん。ミウ、可愛い。
ルカはゴウ達と、海の方に目を向けている。
そんな3人を何となく、後ろから眺める。
3人並んでると、すごく頼もしくて、カッコいい。
皆、背が高い。
一番高いのは、ゴウ。で、ルカとキースは同じ位かな。
大きくてがっちりしてるのはとにかくゴウ。シルエットにしたら、熊、て感じ。腕もぶっといし。ほんと、強い剣士っていうのが、ぴったり。
ルカも鍛えてるのがすぐ分かる筋肉してるけど、ゴウほどめちゃくちゃぶっといとかじゃなくて――――……なんていうんだろう。
綺麗な筋肉、かな。
ごついってよりは、しなやか。
二の腕は太いけど――――……なんか引き締まってて。カッコいい。
めちゃくちゃ、足長いしな。 現代日本に行ったら、即モデルとかできそうだと思った位だし。
褐色の肌が、強そうで。
……頼りがいがありまくりな、見た目。
これで、身分が王子なんだから――――……そりゃ、人が下に、集まるよなあ。
キースは、王子様みたい。
2人ほどはごつくない。剣士という言葉より、騎士という言葉が似合う気がする。もちろん剣を使うんだから、強いんだろうけど。
優しそうで。落ち着いてて。癒す方の白魔法を使うところも、キースのイメージにぴったり。
「ぼーとして、どしたの、ソラ?」
隣で、クスクス笑うリアは。
黒髪、色白、瞳の大きな、美人さん。色気がある人だと思うけど、オレに構う時は、なんだかすごく楽しそうでコロコロ笑ってて逆に可愛く見えて、色気とかそっちは封印してる気がする。封印というか、オレに色気使う意味がないんだろうなと思う。あ、あと、あの3人にも。
「……なんか、皆、カッコいいなあと思って」
「ん?」
「皆、色々鍛えて、強くて。 人のために、戦って」
そう言ったら。
リアは、ふ、と笑んだ。
「ルカの周りにはねー、色んな人達がいっぱい集まってるんだよ」
ふふ、とリアが笑う。
――――……うん。
多分。
オレは、知ってる。
城や町には、ルカを慕って集まってる人達がいっぱい居る。
なんか。
……あまりに近すぎて意識しないでいるけど。
ルカって、この世界で、一番、偉い人、なんだよね。
124
お気に入りに追加
4,705
あなたにおすすめの小説
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
異世界で騎士団寮長になりまして
円山ゆに
BL
⭐︎ 書籍発売‼︎2023年1月16日頃から順次出荷予定⭐︎溺愛系異世界ファンタジーB L⭐︎
天涯孤独の20歳、蒼太(そうた)は大の貧乏で節約の鬼。ある日、転がる500円玉を追いかけて迷い込んだ先は異世界・ライン王国だった。
王立第二騎士団団長レオナードと副団長のリアに助けられた蒼太は、彼らの提案で騎士団寮の寮長として雇われることに。
異世界で一から節約生活をしようと意気込む蒼太だったが、なんと寮長は騎士団団長と婚姻関係を結ぶ決まりがあるという。さらにレオナードとリアは同じ一人を生涯の伴侶とする契りを結んでいた。
「つ、つまり僕は二人と結婚するってこと?」
「「そういうこと」」
グイグイ迫ってくる二人のイケメン騎士に振り回されながらも寮長の仕事をこなす蒼太だったが、次第に二人に惹かれていく。
一方、王国の首都では不穏な空気が流れていた。
やがて明かされる寮長のもう一つの役割と、蒼太が異世界にきた理由とは。
二人の騎士に溺愛される節約男子の異世界ファンタジーB Lです!
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる