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第2章

「皆で朝食」

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 店に着くと、ゴウがオレとミウを見て、可笑しそうに笑った。

「おー、ソラ。ガキどもすげーいっぱい居たな」
「あは。ミウ、大人気みたいだね」

 オレがそう言いながら、ゴウの隣に座ると、オレの隣にルカが座った。


「ミウは、この世界で一番人気がある魔物じゃないかな。普通魔物って怖がられるけど、ミウだけはね」

 キースも、ふ、と笑いながらそう教えてくれる。


「見てると癒されるもんね」

 リアもクスクス笑いながら、オレの膝に居るミウを見てる。

「ね、リア、この子も、リアの魔法で飛べるの?」
「飛べるよ。ただ、あたしの魔法の範囲内に居てくれないと飛べないから、ソラが抱っこしてるなら大丈夫。あんまり高い所を浮かばれてたら、無理だからね」
「分かった」

 なるほどー、と納得してると、ルカが「ソラ、ほら」と、オレの口に何かを近づけてくる。

「ちょっと辛いけど、うまい」

 自然と口を開けて、もぐ、と口に入れる。

「……わ。辛い! 何これ」
「そこまでじゃねえよ」

 クッと笑ってるルカ。


「……っそこまでだよっ」

 何これ何これ。

「辛……っっ」

 辛すぎて咳まで出てくる。
 けほけほしてたら、ルカはぷ、と笑って、水を差し出してきた。

「弱いのか? 辛いの。そこまで辛くねえけど」
「辛さによるけど……これはすごい辛い……」

「そうか? うまいけど」

 言いながら、それを平気な顔でモグモグ食べてる。
 意地悪したのかと思ったら、辛さに強いだけか。

 ルカの鈍感……。
 あ、涙出てきた。もう。

 その瞬間。オレの膝に座ってたミウが、ふわと浮いて。
 ぺろ、とオレの涙を舐めた。

「――――……」

 驚いてミウを見つめると。


「みゃ」

 と、めっちゃ可愛い顔してオレを見つめる。

 ずきゅーーーん。
 もう、心臓撃ち抜かれた感じ。


「可愛すぎー! ミウー」

 むぎゅ、と抱き締めてると。

 ――――……ルカがオレの頬を摘まんだ。


「お前あんまりミウミウ言ってると」
「え」

「……ミウ置いてくぞ」
「えっ」

 ルカのその言葉に、他3人はぷっと笑ってる。

「ミウに妬いてるみたいだね」
「マジか、ルカ」
「絶対マジよね、やばいわね、あれ」
 
 キースとゴウとリアの声が聞こえて、ルカが少しキツめの視線を向けてる。

「ミウ置いてくとか言わないでよ」

 そう言ったら、ちら、と振り返られた。

「……置いてったらどーする?」

「…………オレも置いてって」
「――――……無理」

 はー、とため息をついて、ルカがオレを見下ろす。


「離れたら守れねーだろ」
「――――……」

 守れないから、離れない。

 咄嗟にそんな事言う位は、守ってくれる気、あるんだなーと。
 ルカをじっと見つめてしまう。


「もういいからお前もミウも、飯食え」
「うん」

 自分も食べながら、ミウにも食べさせつつ。


「なんかさ、ミウの名前つけた方がいいのかなと思ってたんだけど……」
「ん」

「ミウ、が一番似合うから、もうミウでいいのかなあ? 呼ぶと返事してる気がするし。 良い? ミウ?」
「みゃ」

 返事してるんだかは分からないけど、みゃ、と言ってしがみついてくる。


「それでいいかなあ?」

 ルカ達の方を見て、聞いてみると、皆、いいんじゃない?と笑んでる。


「もうお前ずーっとミウミウ言ってるしな」

 ルカもそう言って笑ってる。


「じゃあ、ミウで」

 よしよし、とミウを撫でると。
 嬉しそうにしてる。めっちゃ可愛い。



「ルカ、今日はどこに行く?」

 キースがそう言うと、ルカは少し考えてから。

「ああ――――……今日は海の側の町」

 そう言った。

「シャオの町?」

 リアが聞くと、ルカは頷きながら、食事を進める。

「あぁ。なんか、話聞いてる時、魚の獲れる量が激減してるって話も聞いたから。海に何か居るんじゃねーのか?」
「なるほど」

「海の魔物かー。船出すことになるかな」
「ちょっと面倒だね」
「まあ、町で船借りて――――……」

 皆のそんな会話を聞きつつ、オレはミウとほのぼの食事をしていたのだけれど。ふと気になって。皆の会話が一通り終了してから、ルカを見上げた。


「あのー……」
「ん?」

「オレは今回は……?」
「――――……」

 恐る恐る聞いたのだけれど。

「連れてくに決まってるだろ」

 ルカがニヤ、と笑って言いきる。

 ちーん……。
 ……まあ。薄々は気付いてました。うん。

 落ち込んでるオレを見て、皆は、苦笑いしてる。



「またソラを奪ってくれたら、ルカが一太刀で終わらせてくれるかもな」

 ゴウが面白そうに笑う。

「やだよ。 一回死んだみたいな気持ちになるもん。無理」


 そう言うと、皆、可笑しそうに笑ってる。

 なんか、このメンバーでの食事風景も、なんだか当たり前のみたいに、見慣れてきたなあ、なんて思う。



 はー。
 海の魔物かー。

 …………タコとか?  イカとか??
 くじらとかみたいなのだったらどうしよう。



 ……うぅ。ドキドキしてきた。



 
 



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