63 / 299
第2章
「ミウ大人気」
しおりを挟むルカと一緒に宿屋の前に出ると、ほんとに子供達をいっぱい引き連れて、ミウがフワフワ浮いていた。子供たちが、頭上で浮いてるミウを、一生懸命見上げている感じ。
「ミウ」
なんか可愛くて、そう呼びかけると、ミウは「みゃ?」とこっちを見て、オレと目が合うと、ふわふわーと近づいてきて、オレの腕の中に、ほわん、と入り込んできた。
「何それー! すっげー可愛いー!」
「いいなーお兄ちゃんのミウなの?」
「どうやったら懐いたの?? えさあげたとか??」
オレの腕にひっついてるミウを撫でながら、子供達がめちゃくちゃ迫ってくる。
「え。どうやって??」
……どうやってって。
外でルカに、……とんでもないことされてたら。上を飛んでて。
終わって、キスされながら、探してたら、ふわふわと、降りてきて……。
――――……とてもじゃないけど、こんな、キラキラした瞳の子供達に、こんな事、言えない。
「どうやってとか、ない、かなあ…… ふわふわ、腕の中に入ってきたんだよ」
うん。嘘は言ってない。
そうだったよね。
特に何もしてないんだよな――――……。
そう言うと、リアがクスクス笑いながら、子供達に笑顔で言った。
「ミウは、優しい人に懐くから、君たちも、良い子で優しい子に育てば、いつか、懐いてもらえるかもよ?」
そんな風に言われると、ちょっと恥ずかしいけど。
「へーーーーー!」
「そうなんだー!」
「お兄ちゃん優しい人なんだねー!」
「あたしも優しい人になるー!」
……ああ、子供って。
素直だなあ。
「ねえ、お兄ちゃん、このミウの名前はなあに?」
元気な男の子がそう聞いてくる。
「まだ名前は決めてないんだ」
そう答えると、子供達、これから決めるんだね、とウキウキしてる。
名前やっぱりあった方がいいのかな……とオレが思ってると。
「お兄ちゃんもミウもこれから朝ごはんだから、皆おうちに帰って」
リアがそう言うと、子供達、はーいと、良い子な返事をして、帰って行った。
リア、子供の扱い、うますぎる。
「ありがと、リア」
「いえいえ~。ゴウたち、先に食べてるとか言ってたから、宿引き払ってきて。食べ終わったら町長に挨拶して、そのまま次の町に行こうって」
「うん。分かったー」
リアが先に歩いて行くのを見送ってから、くるっと振り返った。
「――――……思ってた以上に引き連れてきてたな」
宿屋のドアの横に背中を預けたまま、オレ達の様子を見ていたルカが、クスクス笑った。
「うん。ミウって。大人気なんだね」
「――――……まあ。可愛いからな」
そんなルカの言葉に、おや?と思わず見つめてしまう。
「ルカも、ミウの事、可愛いって思うの??」
「まあ。そのフォルムは、可愛いと思うだろうって事だけど」
「ルカはどう思ってるの?」
「まあ……可愛いんじゃねえの」
ふ、と笑いながらルカがそう言う。
「わー、意外。ルカも、可愛いって思うんだー、へー」
ルカみたいな奴でも、可愛いって思うんだー、へー、へー、
意外ー。
まあ。……めちゃくちゃ可愛いもんね、うんうん、分かる。
腕の中のにひっついてるミウを、よしよしと撫でていたら。
ふと思いついて。
「抱っこしたかったらいつでも言って、撫でてもいいよ、可愛がっていいよー? ……似合わないけど。ぷぷ」
なんて言って、クスクス笑っていると。
ルカにぐい、と引かれて。とん、と壁に背を押し付けられた。
え、と見上げたら。
「――――……っ……っ?」
そのまま、キスされて。驚いてる間に、舌が、ゆっくり絡んで。
びっくりして、ルカを見つめていると。
そっと唇が離れた。
「――――……オレは、お前抱く方が良い」
「…………っミウの真上で何するんだよっ」
「……ん? どーいう意味?」
「こんな可愛い、純粋な子の真上で、こんな……」
「……ミウって超長生きらしいし、こういう事知ってるだろうし大丈夫だろ。まあそいつが何才かは分かんねえけど。大体、最初にミウ見つけた時だって、オレ達――――……」
「わーわーわー!! ルカのバカ―!! デカい声で話すなー!」
ミウの耳を塞ぎながら叫ぶと。
ルカが、クックッと体を揺らして笑い出した。
「お前、ほんと面白……ちょっとオレ荷物取ってくるから、待ってろ」
オレの頭をぐりぐり撫でながら。
クックッとまだしつこく笑いながら、宿屋の中に、ルカが入っていく。
もう。
ルカのバカ!
……にしても、超長生き、なんだ。
こんな感じでのどかに長生きするのかーと思うと、それだけで可愛い。
……でも分かんないよね、このミウは、子供かもしれないし。
「ミウ」でも良いけど… 可愛いんだけど。
「……お前の名前、どうしようか? オレが決めてもいいのかな??」
そう話しかけると、ミウは、みゃ?とオレを見上げる。
ああ、もう、可愛いなぁ。
ルカが来るまでの少しの間、2人で見つめ合ったまま、過ごしてしまった。
124
お読みいただき、ありがとうございます♡
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
お気に入りに追加
4,701
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
「恋の熱」-義理の弟×兄-
悠里
BL
親の再婚で兄弟になるかもしれない、初顔合わせの日。
兄:楓 弟:響也
お互い目が離せなくなる。
再婚して同居、微妙な距離感で過ごしている中。
両親不在のある夏の日。
響也が楓に、ある提案をする。
弟&年下攻めです(^^。
楓サイドは「#蝉の音書き出し企画」に参加させ頂きました。
セミの鳴き声って、ジリジリした焦燥感がある気がするので。
ジリジリした熱い感じで✨
楽しんでいただけますように。
(表紙のイラストは、ミカスケさまのフリー素材よりお借りしています)
【完結】守護霊さん、それは余計なお世話です。
N2O
BL
番のことが好きすぎる第二王子(熊の獣人/実は割と可愛い)
×
期間限定で心の声が聞こえるようになった黒髪青年(人間/番/実は割と逞しい)
Special thanks
illustration by 白鯨堂こち
※ご都合主義です。
※素人作品です。温かな目で見ていただけると助かります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる