【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変。

悠里

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第2章

「頭痛い」+「ルカside」

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「……う……ン……」


 ――――……頭。痛い……。


 すごい、ガンガンする……何で?


 俯せに、オレは寝ていた。

 頭が痛すぎて、起き上がれない。


「……痛、い……」

 思わず、呟く。
 すると。

「どこが?」

 そんな声が近くから、聞こえて。

「……あたま……」

 答えると。
 そっと、撫でられる。


「しょーがねえな……」

 …………あ、これ――――…… ルカ、か……。

 声のする方になんとか顔を向けて、うっすら瞳をあけると。
 片肘をついて、こっちを向きながら、ルカが隣に寝てて。
 空いている手で、頭に触れていた。

「――――……飲みすぎなんだよ。あの果実酒、甘いけど、オレが飲んでた酒より、強いんだぞ……」

 そうなんだ……つよかったんだ……ジュースみたいに飲んじゃった……。


「バカだなほんとに。飲んでて分かんねえのかよ……」

 そんな声が聞こえるけど――――…… 頭が痛すぎて……。
 
 呆れたみたいな言い方だけど。
 手が優しくて、うとうと、する。

 
「……みう……は?」
「お前、口開けば、ミウミウって……」

 すごい苦笑いしてる気がする。

「そこ、浮いてる」

 そこって、どこ……?
 頭は痛いし、体は重いし、まったく動きたくないけど、ミウ見たさで、必死で、動かす。上を見上げると、何だか、丸まった白い物がほわほわ浮いてて。

 ……ああやって寝るんだ…… かわいー……。


 死ぬほど、頭痛いけど、笑っちゃう。



「かわい……」

 
 そのぽわわんとした可愛い姿を映したまま。
 仰向けのまま、またふと、記憶が途絶えかけて――――……。


「……ソラ?」

 ルカの声。
 頬に触れる手。


 ――――…… あったかい……。


「……る、か――――……」
「――――……」


 なんか、ほっぺ、ぷにぷに摘ままれてる。

 なに、すんだよー……。
 言おうと思うけど――――……もう声、出ない。


 そのまま、落ちた。




◇ ◇ ◇ ◇



【side*ルカ】


「また寝た……」


 ……今夜はダメだな、これ。


 触れてた指で、結構強く、頬をぷにぷに摘まんでみるけれど。
 ぴくりとも動かない。


「ミウミウって、うるせえっつーの……」

 まあ。最後にオレの名前呼んだから……まあ。許すけど。

 
 にしても、こいつ、絶対ぇ酒弱いな。
 飲ませるの、1杯までにさせるか……。
 特に果実酒注意だな。

 ……甘いからって、こんななるまで飲むとか。


「バカなのか? お前……」

 言いながら。
 何だか、笑ってしまう。


 頭が痛いと言っていた。今、眉が寄ってるのもそれか?
 少し起き上がって、ソラの顔の横に腕をついて、ソラを下に囲う。


「――――……」


 無邪気なツラして。
 ――――……しらねえ世界で、よくこんな前後不覚で眠れるよな。

 ……やっぱりバカなのか?
 思うけれど、やっぱり、笑みが浮かんでしまう。


 ゆっくり。ソラに、口づける。
 少し開いてる口に、舌を挿し入れて、ぺろ、と舌を舐めたら。ん、と声が漏れて。少しだけ、応えてきた。

 けれどすぐに力を失って、すー、と眠り始める。

「――――……」

 唇を離して、少しの間見つめてから、ソラの上からどいた。
 隣でまた片肘をついて横向きで、ソラを見下ろす。


 ――――……は。……なんなの、お前。

 ――――……こんなバカなの。可愛いとか。オレも、意味わかんねえな……。

 

 こいつ置いて――――…… 
 ……女のとこ、行っても良いんだけど。



 スヤスヤ寝てるソラと。
 プカプカ浮いて寝てるミウと。順番に目に入ってくると。



 ……最初にミウが降りてきた時にも思ったけど。


 なんか、こいつら似てる。

 自然と、ぷ、と笑ってしまう。



 ――――……まあ……今日は、いいか。これで。
 



 そのまましばらくソラを眺めて。
 いつの間にか、眠っていた。







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