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第2章
「宴」
しおりを挟むそれからすぐに町長の家に入って、宴の席に通された。
うわー。ほんとに「宴」だー。
何か。何だろう。この感じ。よく分かんないけど、「宴」っぽい。
この世界にきてからの食事はほとんどテーブル席だったんだけど、絨毯がひいてある部屋に通された。
ほんとに、「宴」といったらこれかなと思うものが全てあるというか。
やっぱり茶色めだけど、わりと木の実とかで色が飾られていたり、オレンジの飲み物が出てきてたり。(リアの特製ジュースじゃない筈……)
わりと豪華なお皿に、料理が山と積まれて、酒も大量。
宴席みたいな、ステージみたいなところでは、綺麗なお姉さんたちが、踊ったり、楽器を弾いたり。
ほんとに「宴」なんだー!
なんかすごーーーい!!
わくわくしちゃうな、ゲームの中の、宴とか。
……うたげうたげ言ってるけど、オレはこういうのに出るのは初めてで。
ルカはやっぱり王子様だからなのか、1人偉そうな感じで、一番前に座ってる。オレは、ルカから一番離れた席で、快く入れてもらえたミウと一緒に座ってた。ミウはオレの膝に乗ってて、オレがあげる食べ物を手から食べてる。
ペット入れるとかも、自由なんだ、良い世界だ。
……ていうか、ほんとにこの子、めっちゃ可愛い……。
食べ方までなんか、可愛いし。
ちっちゃい手で押さえながら食べてるとか。
愛しさが全開……。
「ソーラ、メロメロすぎなんだけど」
隣のリアに、クスクス笑われる。
「あんまりミウにばっかり構ってると、ルカが怒るんじゃない?」
「――――……そんな馬鹿な……」
こんな可愛い物に怒る訳ない。
それに今ルカ、エライ人の席に居るし。
……それに、さっきから色んな女の人にお酒つがれたりして楽しそうだし。
……オレの事なんか、見てないし。
ていうか、オレはミウを見てたから、そんなにはルカの方、見てないんだけど。
目に入る度に、違う女の人が隣に居るし。
誘われてるんだろうなあ。と。思うけど。
……まあカッコいいしな。
意地悪だけど。
……まあ……たまに優しいしな。
大体横暴だけど。
……めちゃくちゃそういう事好きだしな。
外でまで手ぇ出してくるほどだし。
…………女の子にモテるんだろうけど。
オレ、今日1人になるなら、ミウと寝ようかな。
は。ミウミウ言ってるけど。
そういえば、名前……。
「お前、名前、何がいい?」
「みゃ?」
ミウは、オレが話しかけると、つぶらな瞳で、見上げてくる。
「リア、ミウって、言葉分かるの??」
「……どうだろう。魔物の中には喋れるのも居るから……でもミウは、ずっとみゃあよね。しゃべれないけど、言ってる事は分かる……のかなあ?」
リアは、ミウを見ながら話してたけど、最後の方は、クスクス笑いながらミウを撫でた。
「あー、可愛い。なんかソラと居ると、余計可愛く見えるのは何でかな?」
どういう事? 何それと首を傾げていると、「いいのいいの、ソラが可愛いって話だから」 クスクス笑いながらリアがそう言う。
「んー、さっきからソラが話しかけると、みゃあみゃあ言ってるから、自分に話しかけられてるのは分かってそうだけど……そもそも、ほんと、ミウがレアなのよ、あんまり生態知られてないよ」
リアがミウを見つめて笑った。
「そうなんだね……」
オレを見上げてるミウをよしよしと撫でながら。
「名前、ミウのままの方がいい?」
聞くと、ミウは、「みゃ?」と首を傾げる。
分かってるのか分かってないのかは、分かんないけど――――……。
「……めっっっちゃ可愛い……」
すりすり頬を摺り寄せていると。
「その子ってもしかして、ミウちゃんですか??」
踊ってた女の子達が出番を終えて降りてきて、オレとミウの近くに座る。
ステージみたいなところでは、また別の出し物が始まってる。
こんな町に、こんなに踊ったり色々できる人達、良く居るなあ。
と思いながら。
「あ、うん。そう。ミウだって」
答えると、きゃあきゃあ騒ぎだす女の子達。
「可愛すぎー!」
「触らせてくださいー!」
ミウはふわりと抱き上げられて、普通に抱かれてる。
あ、嫌がる訳じゃないんだ。特別にはなかなか懐かないってだけなのかな。撫でられて、可愛い顔見せてるし。
さっきルカが、周りの人にも可愛がられるって言ってたもんね。こういうとこかな。
ほんと、可愛いな。
ミウがめちゃくちゃ人気あるのを、クスクス笑いながら見ていたら。
隣に座ってた女の子が、「お酒どうぞ」と差し出してきた。
「あ、オレちょっとでいいから」
「そうなんですか? 一緒に飲みましょうよ?」
「でも……」
あんまり飲むと、なんかルカに言われそうな……。
……ふとルカを見ると。さっきから同じ女の人が隣にいるし。
……あの人になってから長いなー。
気に入ったのかな。
……じゃあ、いっか。
「じゃあちょっとだけ」
差し出してくれたお酒を受け取って、一口飲んでみる。
「わ、これ美味しい」
「この地方の果物のお酒ですよ。甘くて美味しいでしょ?」
「うん。飲みやすいし」
「もっと飲みますか?」
「うん、ありがとー」
それから、ミウがいっぱい可愛がられてるのを見ながら、
どんどん注いでくれる甘いお酒を飲みながら、とっても楽しい時間を、過ごした。
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