32 / 299
第2章
「意地悪」
しおりを挟む「ねえねえ、ソラ?」
「うん??」
ルカと反対隣に座ってたリアに呼ばれて、振り返ると。
「ゴウとキスしちゃったってホント?」
「――――……」
リアの前に座ってるゴウを見ると、べ、と舌を出して、ニヤニヤ笑う。
……うぅ。
確かにしちゃったけど。
ていうか、男とのキスなんて、別に、オレにとっては、ノーカウントって言うか。
正直、完全に記憶の彼方へ、忘れてしまいたい出来事だけど。
「ソラは、男同士って、今まで考えた事もなかったの?」
「うん。無かったよ」
……ていうか、今だって、出来たら、無しにしたいけど。
「じゃあ、ルカとの事、衝撃だった?」
あまりに周りが騒がしいから、リアに耳を寄せないと聞こえない位で。
多分、リアとは反対側に座ってるルカには、何も聞こえてないだろうと思って。
「うん。衝撃……どころの話じゃなかったけど……」
「ふふ、そっか~。大変だったね」
クスクス笑うリア。
大変だったね、て軽いなー。と、笑ってしまう。
「でもさ、ルカって、上手でしょ?」
「――――……」
クスクス笑ってそう言われて。
散々乱された記憶がよみがえって、そういえば、リアにも声、聞かれたんだ、と思ったら。
顔に熱が集まってきてしまった。
「…………っっ」
恥ずかしすぎる……。
「あはは、かーわいい、ソラ。ルカはモテるから慣れてるだろうし、素直に任せとけばいいんじゃない?」
「……リアも、ルカとしたの??」
「あたしは、ルカ、タイプじゃないから、無いよ。でも、まあ王子だしね、そうでなくても、モテるから。 城に帰ったら相手は他にも居るし、ソラも、すこしは自由になれると思うよ?」
「あ、そうなんだ」
まあ。そっか。
モテる、よね。うん。
「前だったら、こういう所でも、相手見つけて消えてたけど――――……ソラにはりついてるから、今日は行かないかな」
そんな台詞に、なるほど、いつもはそうなんだ、と納得。
じゃあ、オレがルカのものとか言ってるのも、城に着くまでの間なのかな。
ふーん、そっか、と頷いてると。
「まあ、それまでは、いっぱい可愛がってもらっとくと良いよ」
「……っっ」
オレ、別にそれ望んでないのだけど……。
そう思いながらも、すごく恥ずかしいし。
リアも、結構ここらへんの会話、ゆるいなー……。
やっぱり、この世界が、ゆるいのかな。
「ソラ、飯来たぞ」
そんな声と共に、不意に後ろから回ってきた腕に、肩を抱かれて、引き寄せられた。
「? ――――……何赤くなってンの、お前」
「……何でも、ない」
……ルカに可愛がってもらっとけとか言われて、なんか恥ずかしくて赤くなったとか、絶対言いたくない。
言わないからか不満げなルカから視線を逸らし、目の前に置いてある、見慣れない食べ物に目を向ける。
「……この食べ物、何??」
「……肉。 食う?」
不満げだったけど、ルカは答えてくれて、そう聞いてくれた。
「うん……食べ、よう、かな……」
歯切れが悪くなってしまうのは、その形状。
なんか……すごく、でかい……。丸焼き…とまではいかないんだけど。
何の肉なんだろう…… これは、考えないで食べた方がよさそうだな。うん。
なんか、やっぱり、基本、茶色いんだよなー、食事……。
やっぱり、食事の色どりって。
絶対大事だったなー…なんて、思いながら。
フォークに刺された肉を、ルカに渡されて。
一瞬、ちょっとためらいながらも。
いただきまーす、と言って、ぱく、と食べてみる。
「――――……あ、美味しい」
良かった、美味しかった。
安心しながら言うと、ルカが、ふ、と笑った。
「まあ、生きてる時はグロイんだけどな、これ」
「っっやめて、言わないでよ、 せめて、飲み込んでからにして! 無理!!」
ぷ、とルカが笑ってる。
意地悪!!!
ルカが何か言う前に飲み込んでしまおうと、めっちゃモグモグして、飲み込んだ。
99
お気に入りに追加
4,705
あなたにおすすめの小説
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
異世界で騎士団寮長になりまして
円山ゆに
BL
⭐︎ 書籍発売‼︎2023年1月16日頃から順次出荷予定⭐︎溺愛系異世界ファンタジーB L⭐︎
天涯孤独の20歳、蒼太(そうた)は大の貧乏で節約の鬼。ある日、転がる500円玉を追いかけて迷い込んだ先は異世界・ライン王国だった。
王立第二騎士団団長レオナードと副団長のリアに助けられた蒼太は、彼らの提案で騎士団寮の寮長として雇われることに。
異世界で一から節約生活をしようと意気込む蒼太だったが、なんと寮長は騎士団団長と婚姻関係を結ぶ決まりがあるという。さらにレオナードとリアは同じ一人を生涯の伴侶とする契りを結んでいた。
「つ、つまり僕は二人と結婚するってこと?」
「「そういうこと」」
グイグイ迫ってくる二人のイケメン騎士に振り回されながらも寮長の仕事をこなす蒼太だったが、次第に二人に惹かれていく。
一方、王国の首都では不穏な空気が流れていた。
やがて明かされる寮長のもう一つの役割と、蒼太が異世界にきた理由とは。
二人の騎士に溺愛される節約男子の異世界ファンタジーB Lです!
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる