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第2章

「何なんだ」

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「この袋は何??」

「こっち側に、何か持っておきたい物を入れて、こっち側は、金を入れとくとこ」


 袋を開けて、ルカが指さしながら教えてくれる。

 店主が、やっと計算が終わったみたいで、こちらに顔を上げた。


「156リロになります」
「あ、はい」

 リロ。ゲームの中で使ってた単位だな……。

 さっきルカが持たせてくれた銀貨を出す。
 そしたら、また違う、小銭たちが返ってきた。

「ルカ、おつり……」
「そん中、入れとけよ」
「え。この中?」
「ああ。あと、これも」

 言いながら、さっきの銀貨を3枚、渡される。


「いつかオレが居なくて必要があれば使っていいけど、オレが居る時はオレが払うから、そっちは持ってていい」
「持ってていいの?」
「模様が、気に入ったんだろ? 後で磨いたら? かなり綺麗になるから」
「――――うん。そうする。ありがとう」

 ……やっぱり、良い奴なのかな……。

 そんな事を思っている間に、ルカが買ったものを持ってくれた。


「違う店行くぞ」
「うん」

 出ようとした時、ふ、と振り返ると、服選びを手伝ってくれた女の子がこっちを見ていた。

「色々、ありがとうね」
 オレがそう言うと、彼女は、にっこり微笑んだ。

「はい! また来てくださいね」

 んー、また来るかな? 
 思いながら、曖昧に頷きつつ、先に出て行ったルカについて店を出た。


 あ、そういえば、夜、酒場に居るとか、言ってたなあ。

 店を出て、ふ、とルカを見上げると。


「ルカ、今日、この町に泊まったりする?」
「……何で? まだ決めてねえけど」

「酒場がある?」
「あるけど、何で?」

「さっきの子が、酒場に居るから、泊まるんだったら、来てくださいって言ってたからさ。一緒の人達に聞いてみるねって、さっき話してたんだ」

「――――……それって」
「ん?」
「――――……皆で来いって言ってたか?」

「さあ。その話する前に、ルカが来たから」

「――――……」


「約束した訳じゃないから良いんだけどさ。 あ、荷物、持つよ自分で。貸して?」
「別に良い。持ってる」

「でもルカ、話聞いたりするし、良いよ、オレ持つ――――……」

 言ってる途中に急に。
 肩に腕がかかって。ぐい、と引き寄せられた。


「……る、――――……」

 急に、深くキスされた。


「……っ……?」


 今は人、道に居なかったけど。普通に、町の、道路、なんですけど……。

「……っん……?」

 ゆっくり、唇が外れる。


「……な、に??」


 少し離れた顔を、ただ、見上げてそう聞くと。

「――――……別に」

 ふい、と顔を逸らされた。


「別にって……」

 何でこんなとこで、急にキスされンの……????


 眉を顰めて、ルカの横顔を見てると。
 ふ、と見つめ返してきたルカが、何だか少しムッとしてて。


「魔物倒したら、ベッド行くから」

「…………っ」


 いきなりのセリフに、一瞬意味が分からなくて。
 分かった瞬間、顔が熱くなって。


 疲れるから寝に行く。
 ――――……の意味であってくれたらいいのだけど。
 違うよね……。


 思いながら、ルカを見つめ返してると。
 なんか、ふ、と笑ったルカに、腕を引かれた。


「てことで早く倒しに行くぞ」


 ……行くけどさ。

 …………何なのかな。もう。


「……荷物、持つよ」
「いい。お前非力そうだし」

「非力でも、服くらい持てるよっ」
「良いって」


 クスクス笑うルカに、軽くあしらわれる。

 

 くー。
 何なんだ、もう!



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