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第2章
「お揃いって概念」
しおりを挟むオレが見ていた棚を見てから、ルカがオレを見下ろした。
「アクセサリー、欲しい?」
「んー……向こうではそんなにつけなかったけど。なんか変わったのがあるから見てた」
日本にあった、ミサンガに似た、手作りっぽいブレスレットや、どうやって作ってるんだか分からない、金色のアクセサリーたち。
この世界は、機械とかITとか、そんなのとは無縁な気がするけど。
思うよりも、色んなものが揃ってる気もする。
「いーよ、何か選べば? 手首とかなら邪魔にもなんねえだろ」
「んー……どんなのつけるのが普通なの?」
さっきの女の子に聞いてみようかなと、振り返ろうとしたら。
ルカが、オレの手首を引いた。
「?」
ブレスレット系のアクセサリーを、3本、引いた手首にのせられた。
「普通とかじゃなくて、お前が好きなのでいーし。どれが好き?」
「んーと……じゃあこの、青いやつが良い」
青以外のをルカが棚に戻した。もう1本青いのを手に取って、手首に乗ってたのと合わせて2本、持たされた。
「2本買うの?」
予備??
「オレも付ける」
ん? おそろい?
「あ、うん」
戸惑いながらも、頷いたところで、ルカがオレの手に、何かをのせた。
「これで足りると思うから。買ってきな」
「うん、ありがとう」
あ、お金か。
なんか、ルカが年下だと思うと、ルカに買ってもらうとか。
変な気がするけど。
まあ。
しょうがない。
お金ないし。
そう考えてみると、日本で持ってたあらゆる、全てのモノ。
何一つ持ってなくて、身一つなんだなーと思うと。
でも、何も無くても、結構生きていられるんだなー……なんて思ったりして。
まあ。ルカと一緒に居るから生きていられるっていうのは分かるんだけど。
欲しくて集めたものとか。便利だから買ったものとか。ごちゃごちゃ色々持ってたけど。
何一つ無くても。こうして、生きてられるというか。あそこらへんのものが、今欲しいとは思わないというか。
そう思うと。
いらないもの、いっぱい持ってたかも。
戻れたら、ちょっと家、整理しようかなあ……。
こんな、編んだだけのブレスレットみたいな、たったひとつのモノでも。
なんかこんなにちょっと、ワクワクするんだなあと思ったら、大事なものだけ持つっていうのもいいなあ、なんて思ったりもして。
……まあ、かなりのカルチャーショックを受けてるだけかもしれないけど。
あんまり今まで思ったような事も無い事を考えながら。
店主が、いくらか数えてくれてる間、ルカに渡されたお金をじっと見つめる。
なんか、凝ってるなあ。
銀貨?なのかな。綺麗。繊細な、模様。これってどうやって作ってるんだろう?
じー、と眺めて、不思議がってると。
ルカが近寄ってきて、オレを見下ろした。
「――――……そんなに面白いか? それ」
「うん。綺麗。凝ってて」
言ったら、ふ、と笑った。
「その模様、オレの城」
「え」
言われて、改めてじーーっと見つめると。
あっ、ほんとだ! そう思った。 危うく口に出そうで、何とか止めたけど。
だって、オレが知ってるのおかしいもんね。
「すごいね、お城。カッコいいなー、このお金」
ぷ、と笑ってから、店内を見にルカが離れていった。
少しして戻ってきたルカが、店主に、これもと渡したのは、紐がついてる、ポシェットみたいな袋。
「これとこれは、もう着けてく」
店主に断ってから、ルカがオレの首にそのポシェットの紐を通して、斜めに掛けさせた。
「手首出して。どっちがいい?」
少し考えて、利き手じゃない左手を差し出すと、縛って、つけてくれた。
やっぱりミサンガなのかなあ。これ。
「ルカも、付ける?」
「ん」
受け取って、左手に、縛った。
おそろいって、概念、あんのかなあ……??
なかなか、男同士で、お揃いってしないけどな。
「――――……」
なんか。すごく仲良しみたいで。
ちょっと笑える。
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