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第2章

「だから、デリカシー」

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 着慣れない服を着て、足元スースーしながら、階段をルカと一緒に下りて行くと、昨日食事をした店に、3人が立っていた。


「あれ、ソラも行くの?」

 リアが微笑む。頷くと。くす、と笑われた。


「ルカ、激しすぎだよね? 体、平気?」

「――――……っ」


「お前の声、ずーっと聞こえてたからなあ。なんかムラムラして、酒場に繰り出したわ」


 ゴウが笑いながら言う。

 ……ふー。ほんとにさ。どーなの……。


「あたし早々に、聞こえないように結界張って寝ちゃったから。ほとんど聞いて無いから安心してね」

 リアが言うけど。
 安心って……。


「大丈夫だった? 絶対初めてなんだからって最初に言っといたのにね」

 キースも、涼しい顔して、触れられたくないとこに、突っ込んでくる。


「まあでも、悲鳴とか叫び声だったら、やめさせに行ったんだけどさ。オレも結界張ったから、そこらへんだけ確認して、寝ちゃった」


 ……悲鳴とか叫び声だったら、やめさせに行ったけど。
 …………来なかったってことは。


「気持ちよさそうな喘ぎ声だったから来なかったんだろ?」

 まるで普通の事のように、ルカが答えた。


「オレが抱いてて、そんな訳ねーだろーが」


 3人は、はーやだやだ、という顔をして、ルカを見やる。


 …………っっこ、こういう話って。
 こんなに大勢で、店のど真ん中で、結構大きい声で、普通にするもの……?


 ……な訳あるかー!!


 何なんだ、この世界。

 性関係に、デリカシーってものは、ないのか??? 




 それとも、この人たちに、無いのか?


 わーん、こんなのが、勇者御一行様、なんてー!!
 そんな馬鹿な―!!


 清廉潔白な勇者像は、どこ行ったー!


 ……っても、そもそもこのドS勇者に、そんなものは求めてはいなかったけど。

 そもそも、セクシーでエロいって、女子達が泣いて喜んでたんだし。そういうキャラなんだよな。でもゲームの世界ではそんなこと……??
 


 …………いやいや、もう、何考えてんだか、自分でも全然分かんない。

 今すぐ、日本に帰りたいよう……。


 オレから、返答する気力をすべて奪い取った、デリカシーのない方達は、全然気にせず、行き先の相談を始めてる。
 

「どこから行く?」
「さっきは南に行ったから、西か?」
「あ。オレさっき気になる事聞いたんだった。東の町の外に、結構強い魔物が出てて被害が出てるって」

「じゃあそっち、先に行こうぜ」

 ルカの一言で、行き先が決まった。


 リアの周りがまた光って、周囲に居たオレ達を包み込む。

 ふわ、と軽くなって。
 目を開けたら、もう違う町の外にいた。



「うわ……」

 2度目だけど。
 すごいよー!! 

 あ、日本に帰るの、もう少し先でもいいかも。とりあえず町巡りしたい。


 まわりを見回しながら、ものすごく上がった気持ちに、ワクワクしていると。

 リアがまた、おかしそうに笑った。


「可愛いんだけど、ソラ」

 よしよし、と撫でられる。


「もう、魔力が続く限り、移動魔法使ってあげたいわー」

 そんな風に言われる。

 え。いいの? それは楽しすぎる……。

 ウキウキしてると。横でゴウが、笑い出した。


「リア、移動魔法嫌いだろうが。いっつも、疲れる疲れる言うじゃんか」

 ゴウのセリフに、リアは、分かってないなー、とため息を吐いた。


「あんたたち連れて飛ぶの、結構魔力も使うし、疲れるのよ。しかも運んでもらって当然みたいな感じだし? でも、ソラ、こんなに楽しそうにしてくれると、滅茶苦茶可愛いし。 それに、ソラとあたしだけなら、軽いからそんなに疲れないし」

 リアが、くす、と笑って、オレを見つめてくる。


「今度2人で色んなとこ行こっか。綺麗なとことか連れていってあげるよ」

 わーほんとに?

 めちゃくちゃ嬉しい。
 しかもこんな綺麗な人と。

 と思った瞬間。


「ダメ」

 ぐい、と引かれて、ルカの腕の中に収まる。



「行くならオレも行く」


「やあよ! ルカが居たら、重いのよ」




「じゃあその話は無し」






 思い切り、バッサリと切られて、オレは、逆らう気力も無くなった。





 
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