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第1章
「泣かなければ?」
しおりを挟む「…………ん、ん……」
こんなにだるかった事、無い。そう思う位、だるくて。
何とか、目を開けて。ぼんやり、していたら。
「――――……目ぇ、さめたか?」
すぐ近くから――――……ルカの、声。
「……ルカ――――……」
腕の中に、居たんだ、オレ。
……道理で、あったかいなと思った。
「もー……夜だけとか……にしてくんない?」
「あ?――――ああ、そういうことか。……無理」
無理って。
…………オレの方が、無理なんだけど。
絶対、どう考えたって、オレの方が、ダメージあると思うんですけど。
ルカが無理とか、言わないで欲しいんですけど。
「……だって、昨日そのまま寝て、起きて、ご飯食べたらそのままで、また……オレ、昨日と今日って、それしかしてない気がする」
「――――……毎日そんな事はしねえから」
くす、と笑って、よしよし、と頭を撫でられる。
そうやって、時たま、優しいんだよな。
でもきっとこれ、動物を撫でるとか、それ系の意味しかない気がするしな……。
「ていうか……何でさっき、急にあんな事に……」
「ああ。……まずいの飲んで、泣いてるの見たら、その気になったっつーか」
「――――……」
あぁ、オレ、絶対ルカの前で、涙浮かべるのやめよう。
どんなにクソまずい物を飲んでも食べても、泣かないで耐えよう。
誓いながら、そういえば、昨日変なこと言ってたなーと、後ろのルカを振り返る。
「ていうかさ。あのさ……ほんとに、魔王のとこで半泣きしてたオレ見て、た……勃ちそうに、なったの……?」
正直、情けないしかないんだけど。
…………でもなー。オレの世界の人達は、あれを間近で見て平気で笑ってられる人は居ないと思うんだよね。魔物自体居ないのにさ。魔王は、強そうだしでかいし、怖いし、絶対、皆泣くと思う。
半泣きで留めた自分をほめてあげたい位だし。
「ん? ああ。――――……まあちょっと語弊があるな。さすがに、あの場でそんな気分になった訳ではねえんだけど」
「――――……」
「泣いてる顔見た時、急に気に入ったのは、間違いないな」
……ルカって、じゃあ、オレが泣いてなければ、オレには興味ない?
じゃあ、泣かなきゃいいのでは。
ていうか、オレ、当たり前だけど、普段泣かないから。
魔王が怖すぎたのと、ルカも怖かったし。なんか昨日はちょこちょこ泣きそうになったけど。
中学位から、ほぼ泣いて無いし。
「オレ、泣かなければ、オレにそんな気にならない?」
ウキウキしながら、そう聞いたら。
じっとオレを見つめたルカは。ニヤっと笑って。何かと思ったら。
背を枕に沈められて、顎を捕らえられて、急に、深くキスされる。
「……っん? ……んん、ん? ……っ」
意味が分からなくて、思わず、引き離そうと藻掻いた手首を掴まれて、顔の横で括られる。
「や――――……」
首を振って、離れようと思ったら、手首は軽々片手で、頭の上に括られて。
顎を押さえられて、深い深い、キス。
「……んんっ……」
手、全然動かせない。
この馬鹿力……!
「……ふ……っ」
離された時には、完全に息が上がって、もう、涙が滲んで。
なんか悔しくて、き、と睨む。
「なんなん、だよ!! もう!」
ぱ、と手を離されたけど、ぐい、と引き寄せられて、仰向けになったルカの上に、抱き込まれた。
顔に手を掛けられて、まっすぐ正面から見つめられ、涙を拭われた。
「――――……そうやってすぐ泣くの分かってるから。泣かないとか、前提、無くねえ?」
「…………っ」
お前のキスが、きつすぎんだよ! もう……!!!! この変態勇者!!!!
うわーん、もう、ほんと、こいつ、嫌だー!!!
何とも言えない気持ちに、また本気で泣きそうになってしまう。
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