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第1章

「交換条件」

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「オレのモノになるなら、ここでの生活は保証してやる。かわりに、お前、オレの好きにさせろよ」

「……っなんで……」

 息が、上がって、熱い。



「っちょ……無理……1回、抜いて……」



 腰、もぞ、と動かすと。面白そうな顔をしながらも、ルカが指を中から抜いてくれた。

 抜かれる感覚に、ぞく、と震える。その感覚に耐えながら、どうしても聞きたい事を、聞いてみた。



「……どうしてオレに、こんな事、すんの?」

 聞いたら、ルカは、クッと笑い出した。



「そんなの、マジで聞きてえ?――――……こんな欲に、ロクな理由なんかねえだろ」

「…………っ」



 ロクな理由じゃないって何。

 そんなのの為に、オレ、今から、衝撃の初体験をしなきゃいけないの?



「……まあしいて言うなら、さっき魔王に怯えて涙目だったお前見てたら、勃ちそうになって――――……連れてきたけど、隣に座ってても、泣かせたくてしょうがなかった、とか?」


 ……っほんっとにロクな事じゃなかった!!


 ていうか、あんな態度で連れてこられて、こんな事になって、もし、好きだからとか言われても、全く信じられないから、だからいっそ、この理由を言われた方が、清々しいのかもしれない……。けど。



 オレの泣き顔に、勃ちそうになった、て事……?

 ……わーん……変態勇者ーーー!!!!



「――――……欲しいと思ったもんは、手に入れるために動く。お前の世界がどうかしらねえけど、ここはそういう世界だ」

「――――……っ」



「明日戦って死ぬかもしれないのに、こんな類の事に、遠慮も我慢も必要ねえだろ」

「――――……」



 いやいや、必要だろ、必要だと思う、絶対、明日死ぬにしたって……!



「……つか、お前が死んでも嫌なら、しねえけど。――――……薬使わなきゃ良かったな。ちょっと感じすぎなんだよな……」

 そんな事を言いながら、ルカがオレの首筋に触れる。

 ぞくん、として、震えてしまう。


 ち、と舌打ちしてるが、そもそも、手渡されてたとは言え、飲ませたのは、自分じゃんかっ!


 あ――――…… もう、だめだ、オレ。

 体、疼くの――――……どうしようも、ない。


「……ルカ……オレ」

「ああ」



「……っもとに戻れるまではここで、死にたくない、から……あんたのものになる、から」

「――――……」



「……絶対、守ってくれる、なら」



 もうオレここまできたら、絶対、今から、抱かれてしまうのだろうし。


 ――――……今オレの体が、それを、求めちゃってるのも分かるし。

 なんかもう、熱くて。
 ……どうしようもないし。


 ……だとしたら。

 かわりに、絶対、守ってもらう。 オレが、戻れるまで。

 どうやったら戻れるのか分かんないけど。

 次の瞬間、目が覚めたら、戻ってるとかもありえるけど。



 でも、ここに来て、多分、体感的には、2時間位は経ってる。

 てことは。すぐ帰れるかどうか確信もない。



 …………っいいよもう。

 ……ルカのする事、悔しいけど、気持ち、良いし。



 ……夢の世界、体なんか、くれてやる。

 

 そのかわり、戻れるまで、死なないように守ってもらうから。

 そう思って言ったら、ルカはしばし、じっとオレを見つめた。それから、ふ、と笑う。



「は。生意気――――…… オレのものになるから、そのかわりに、守れって?」

「……じゃなきゃ、絶対、やだ」



 ふーん、とか言いながら、なんか、ニヤニヤしてる。

 

「――――……いいぜ。そのかわり、マジで、オレのもんな?」

「……うん」



 頷いた瞬間。



「交渉成立、な」



 にや、と笑うルカは。

 ……なんか、ほんとに。壮絶に色っぽくて。


 なんか――――……今の自分の発言を、一瞬にして後悔する位。ちょっと、怖い。







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