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第1章

「オレのモノって、そういうこと?」1 ※

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「ソラ、頑張って。明日元気だったら、出かけようね」

 リアが言う。


「ご愁傷様」

 ゴウも、言う。


 何? どういう意味?


「ルカ、これ使って。ソラにひどくすんなよ」

 店の奥から持ってきた何かを、キースがルカに渡してる。


「……要らねえけど、こんなもん」

「絶対初めてだから。可哀想だよ」


「――――……」

 ため息を付きながら受け取ったルカが、店員に声をかけける。



「上、宿屋だよな? 借りるぞ」

「はい、奥の部屋をどうぞ」


 ルカは、見た目以上に、とんでもなく逞しいみたいで。

 オレをまた軽々抱えたまま、階段を軽々と上っていく。



「自分で、歩けるんだけど……っ」

「じっとしてろよ。暴れたら放り投げるぞ」

「…………っ」



 もう。何なの、この人、ほんとに。

 いちいち、優しくないんだよっもう。


 2階につくと、ルカは奥まで進み、ドアを開けた。


 ――――……ベッドがある。
 ていうか。ベッドと、ちいさいテーブルしか無い、というのかな。

 宿屋でもあるんだ、ここ。



 ――――……ていうか……。

 ……このベッドしかない所に、オレは、何で、連れてこられたんだろう。


 逞しい腕に簡単に抱え上げられていたオレは、ベッドに放られた。


 後ろに手をついて、体を起こす。

  ……何だ、この状況。
 さっきのリアたちの言葉も、何?

 なんだ、嫌な予感しかしないけど、それを信じたくなくて、
 どうにか、ここに連れてこられた、別の理由を思いつきたい。


 動けずにいるオレの前で、色々着てたり、飾り付けられていたりするものを、ルカはどんどん外していくと。

 ぐい、と上の服を脱いで、上半身裸になった。



 思わず見惚れる位、良い体。

 腕や胸は筋肉がしっかりついてて、腹筋は完全に割れてる。引き締まってて、理想的な体。な気は、するけど。


 つか、この人、何で、脱いでんのーーー????

 もうなんか、さっきからする嫌な予感を増長させるだけなんだけどっっ。



 ベッドしかない所に連れてこられて、ルカは、服を脱いで。

 さらに、ベッドの上に放られたオレに、上半身裸のルカが近付いてくる理由。



 …………そんな理由って、 この、嫌な予感の理由以外に、ある……?


 嘘だよね、オレ、まさか今から――――……。
 ち、違う、よね……?



 ルカが膝を立てて、ベッドをぎし、と軋ませながら、オレの隣に来て、さっき、キースから受け取ってた、ふたつの小瓶の裏側をじっと見ている。



「まずこっちか。んなの無くても、その気にさせるけど――――……まあ、いっか。最初だけ、な」
「――――……」



 その気って。
 ……その気にさせるって。


 ……なんなの、その、ピンクの怪しい、小瓶、2つ。


 世界は、違うけれど。

 ピンクの怪しい小瓶。

 ……嫌な予感を、倍増させるものでしか、ない。


 ひとつを枕の横にぽい、と投げた。
 手に残ったひとつの蓋を開けると、ルカがオレを見下ろした。



「ソラ、飲め」
 口に、当てられる。

「……っ」

 得体の知れない、嫌な予感しかしないもの、飲みたくない。

 口を閉じたまま、首を小刻みに、振る。



「飲ませて欲しいか?」
「……いや、だ」

「お前、オレのモノになるっつったろ」
「……っそれって、どんな、意味――――……」



「オレのモノに何しようが、自由だよな?」

「……っやっぱり、やだ」

 こいつの側が一番危険な気がしてきた。


 無理。やっぱり無理。

 こんなSな傍若無人な勇者……。

 ……そうだった! オレ、嫌いだったんだ! 2巡目悩むくらい、嫌だったんだ。
 もう、オレの事は、この町に置いていってもらおう。


「オレ、やっぱり、1人で生き――――……」

 言いかけたオレの唇は、その液体をぐいっとあおって自分の口に入れた、ルカの唇に塞がれた。



「……っぐ」

 嫌だ、
 何、飲ませようとして……。

 口をひたすら閉じて耐えていると、鼻を、ぎゅ、と摘ままれた。


「――――……っっ」


 息、できな――――……。


 少し耐えたけれど、ぷは、と口を開いた瞬間。

 ルカが液体を流し込んできて。
 そのまま舌が、口の中に、遠慮も無く、入ってきた。

 思っていたよりも、甘い、どろっとした、液体。

 ごく、と、飲んでしまった。


 飲ん、じゃった。
 何、これ。

 甘い。



「……んっ……」


 そのまま、後頭部をでっかい手に押さえつけられて。めちゃくちゃ激しいキスをされる。



「……っは、ぁ……っ……ん……っ」


 激しすぎて、息が、まともに、出来ない。

 何なの、このキス――――……乱暴、すぎる。



 ……なんか――――…… 頭の芯が、痺れる。

 息が、あがる。 苦しい。 おかしい、なんか――――……感覚が……。



「……っ……ん、……ふ……っ」

「――――……ソラ」



「――――……っあ……っ」


 耳元で囁かれて、ゾクゾクして震える。

 あの変な飲み物のせい、なのか。
 キスがやばいから、なのか。




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