6 / 299
第1章
「町のレストラン」
しおりを挟む「何、気に入ったのか、リア?」
剣士が笑いながら言う。
「そーいう意味じゃないよ。でも可愛いなーと思って」
なんか、近くで見ると、すっごい綺麗この人。
長い黒髪、白い肌、大きな瞳。
独特な衣装とアクセサリーに紛れて、ちゃんと見てなかったけど。
めっちゃ美人さんだった。
多分、年は、オレよりは上だと思うけど。
「でもなんか、君、変わった格好してるね?」
ゲームやってた時のまま。
白いセーターに、ジーンズ。
確かに、こんな格好、この世界には無い。
オレからしたら、この人達の格好がおかしいんだけど、
この世界に来ちゃうと、オレの方が、絶対変だ。
……明日、色々連れてってもらった後で、目覚めて、帰れるといいけど……。
と、すっかり、「いますぐ」から、「明日」になってる自分に、ちょっと苦笑い。
というのも、だって、さっきのめっちゃ怖い洞窟じゃなくて、今ここは、大きな町の目の前で、明るい雰囲気が漂ってて、全然怖くないから。
少しの間、ゲームの世界に居るのも楽しいな、なんて思ってる、ゲーム大好きなオレ。
よく考えたら、大好きなRPGの中で、話せて動けて色々見れて、しかも魔法で飛べるとか! パラダイスな気がしてきた。
1日位、満喫してからでもいいなあ~、なんて思うオレは。
綺麗なお姉さんに、可愛いなんて言われて、明日遊びに連れてってくれるといわれて、ご機嫌になっていた。
が。
不意に。
勇者にぐい、と腕を引かれた。
え?
「飯食いに行くぞ。腹減った」
だからなんでこの人は、オレの腕を引いて…というか、ちょっと持ち上げて? というのか。 どうしてこんな風に歩くんだろう。
引かれなくても、別に逃げないのに。
日本では標準体型のオレだけど。
……なんか、もう、勇者と言い、剣士と言い、逞しすぎる。
腕太すぎ……。もう見ただけで、戦う気すらそがれるというか。まあ戦うはずないけど。
なんかひどい扱いで、まるで浮いてるように引きずられようが、逃げようという気すら起きない。
そこ行くと、騎士は、そこまではがっちりではない。
でも、肩幅は広くて、引き締まってて。
この人は、王子様みたい。金髪に白い肌。回復魔法や、戦いの時も補助する魔法を得意とする優しい人。剣も使えるから、トータルバランスに優れた、素晴らしいキャラだった。ダントツ、「美しい」イケメン。
剣士は、もう見るからに、ごっつくて。まあイケメンではある。ごっついイケメン?
黒い髪、太い眉。まっすぐな眼光。
……こんな人に斬られたくない……と思う。
もうこのキャラは、ほんとにまっすぐで、歯に衣着せぬ、直情型。
でも、気持ちが良い位、信用できるタイプ。
勇者は。――――……オレが、めっちゃ色んな事させて、色んな事覚えさせたから、ほんっとに色んな事が出来る、なはず。王子だから、言葉遣い荒くても、なんか、たたずまいが気品があるというか。カリスマっぽいオーラが、漂ってるというか。
なかなか日本では、会った事がないタイプ。
……まぁ、この人達が、本当に、オレが育てたキャラ達なら、そういう人たち。
でもきっと、そう、だよね??
さっきの魔王とのシーンも、オレがやってたゲームのシーンだよね?
ていうか、あの白い光って、何だったんだろう。
爆発したのかな。
熱いとかは無かったけど。
え゛? オレまさか、爆発で死んで、ここに居るとか?
そうすると戻れないんじゃ……。
いやいや、そんなはずはない。
死んだら、ゲームの世界に行くなんて聞いた事ないし。
オレ、寝てるんだよね、きっと。
夢だよね?
この世界で、寝たら、もしかして、向こうで起きるのかな???
色々考えながら、ほぼ浮いてるみたいに、引きずられたまま進み、
町の中の、レストランみたいな所に入る。
もう、オレ、全部に興味しかない。
全部、木で出来た、建物。
現代日本にある物とは、全然違う。
風情があって、超いいなー。
勇者の隣に座らされて、キョロキョロ見回していると。
多分店員の人が、水を持ってきた。
服装とかが全然店員ぽくないから、よく分かんないけど。
「とりあえず酒と食べ物、どんどん持ってきて」
勇者のセリフに、なんていう注文の仕方なんだろう。と、眉を顰める。
こんなんだったっけ、ゲームの世界……。
あー、注文するシーンまでは出てこなかったっけ。
入って、店の中の人と話して、食べる真似事して……。
そっか、注文するとか、ちゃんと食べるとことか。
ていうか、酒飲んでたんだ、知らなかった。
…………ていうか、知らなかったとかそういう話でもないよな。
知る訳ないわ……。
この状況、どう、受け入れれば良いんだろう。
やっぱり、夢としてかな???
152
お読みいただき、ありがとうございます♡
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
お気に入りに追加
4,705
あなたにおすすめの小説
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜
白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)
BL
『ここ、どこ??』
蔵の整理中、見つけた乳白色のガラス玉。
手にした瞬間、頭に浮かんだ言葉を言った。ただ、それだけで……
いきなり外。見知らぬ深い森。
出くわした男たちに連れ去られかけた眞尋を助けたのは、青銀の髪に紺碧の瞳の物凄い美形の近衛騎士隊長、カイザー。
魔導と聖獣を持つ者が至上とされる大陸、ミネルヴァ。
他人の使役聖獣すら従えることができる存在、聖獣妃。
『俺、のこと?』
『そうだ。アルシディアの末裔よ』
『意味、分かんないって!!』
何もかも規格外な美形の騎士隊長の溺愛と、かっこよくて可愛いモフモフ聖獣たちに囲まれての異世界転移生活スタート!!
*性描写ありには☆がつきます
*「彩色師は異世界で」と世界観リンクしてますが、話は全く別物です
R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)
黒崎由希
BL
目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。
しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ?
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
…ええっと…
もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m
.
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる