【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第1章

「町のレストラン」

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「何、気に入ったのか、リア?」

 剣士が笑いながら言う。


「そーいう意味じゃないよ。でも可愛いなーと思って」


 なんか、近くで見ると、すっごい綺麗この人。


 長い黒髪、白い肌、大きな瞳。
 独特な衣装とアクセサリーに紛れて、ちゃんと見てなかったけど。


 めっちゃ美人さんだった。
 多分、年は、オレよりは上だと思うけど。



「でもなんか、君、変わった格好してるね?」

 ゲームやってた時のまま。
 白いセーターに、ジーンズ。

 確かに、こんな格好、この世界には無い。


 オレからしたら、この人達の格好がおかしいんだけど、
 この世界に来ちゃうと、オレの方が、絶対変だ。


 ……明日、色々連れてってもらった後で、目覚めて、帰れるといいけど……。


 と、すっかり、「いますぐ」から、「明日」になってる自分に、ちょっと苦笑い。

 というのも、だって、さっきのめっちゃ怖い洞窟じゃなくて、今ここは、大きな町の目の前で、明るい雰囲気が漂ってて、全然怖くないから。


 少しの間、ゲームの世界に居るのも楽しいな、なんて思ってる、ゲーム大好きなオレ。

 よく考えたら、大好きなRPGの中で、話せて動けて色々見れて、しかも魔法で飛べるとか! パラダイスな気がしてきた。


 1日位、満喫してからでもいいなあ~、なんて思うオレは。

 綺麗なお姉さんに、可愛いなんて言われて、明日遊びに連れてってくれるといわれて、ご機嫌になっていた。



 が。
 不意に。

 勇者にぐい、と腕を引かれた。

 え?


「飯食いに行くぞ。腹減った」


 だからなんでこの人は、オレの腕を引いて…というか、ちょっと持ち上げて? というのか。 どうしてこんな風に歩くんだろう。

 引かれなくても、別に逃げないのに。


 日本では標準体型のオレだけど。
 ……なんか、もう、勇者と言い、剣士と言い、逞しすぎる。

 腕太すぎ……。もう見ただけで、戦う気すらそがれるというか。まあ戦うはずないけど。
 なんかひどい扱いで、まるで浮いてるように引きずられようが、逃げようという気すら起きない。

 そこ行くと、騎士は、そこまではがっちりではない。

 でも、肩幅は広くて、引き締まってて。
 この人は、王子様みたい。金髪に白い肌。回復魔法や、戦いの時も補助する魔法を得意とする優しい人。剣も使えるから、トータルバランスに優れた、素晴らしいキャラだった。ダントツ、「美しい」イケメン。


 剣士は、もう見るからに、ごっつくて。まあイケメンではある。ごっついイケメン? 
 黒い髪、太い眉。まっすぐな眼光。

 ……こんな人に斬られたくない……と思う。

 もうこのキャラは、ほんとにまっすぐで、歯に衣着せぬ、直情型。
 でも、気持ちが良い位、信用できるタイプ。


 勇者は。――――……オレが、めっちゃ色んな事させて、色んな事覚えさせたから、ほんっとに色んな事が出来る、なはず。王子だから、言葉遣い荒くても、なんか、たたずまいが気品があるというか。カリスマっぽいオーラが、漂ってるというか。

 なかなか日本では、会った事がないタイプ。


 ……まぁ、この人達が、本当に、オレが育てたキャラ達なら、そういう人たち。


 でもきっと、そう、だよね??
 さっきの魔王とのシーンも、オレがやってたゲームのシーンだよね?


 ていうか、あの白い光って、何だったんだろう。
 爆発したのかな。

 熱いとかは無かったけど。

 え゛? オレまさか、爆発で死んで、ここに居るとか?
 そうすると戻れないんじゃ……。


 いやいや、そんなはずはない。

 死んだら、ゲームの世界に行くなんて聞いた事ないし。


 オレ、寝てるんだよね、きっと。
 夢だよね?

 この世界で、寝たら、もしかして、向こうで起きるのかな???



 色々考えながら、ほぼ浮いてるみたいに、引きずられたまま進み、
 町の中の、レストランみたいな所に入る。




 もう、オレ、全部に興味しかない。


 全部、木で出来た、建物。

 現代日本にある物とは、全然違う。


 風情があって、超いいなー。

 勇者の隣に座らされて、キョロキョロ見回していると。

 多分店員の人が、水を持ってきた。
 服装とかが全然店員ぽくないから、よく分かんないけど。


「とりあえず酒と食べ物、どんどん持ってきて」


 勇者のセリフに、なんていう注文の仕方なんだろう。と、眉を顰める。


 こんなんだったっけ、ゲームの世界……。


 あー、注文するシーンまでは出てこなかったっけ。
 入って、店の中の人と話して、食べる真似事して……。



 そっか、注文するとか、ちゃんと食べるとことか。
 ていうか、酒飲んでたんだ、知らなかった。


 …………ていうか、知らなかったとかそういう話でもないよな。

 知る訳ないわ……。



 この状況、どう、受け入れれば良いんだろう。

 やっぱり、夢としてかな???






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