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第6話「恋の行方は」

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 事が終わって落ち着いたら、とんでもないことをしたことに気づく。

 翼の体で、涼真と寝ちゃった、とか。
 人として無理な気がする。何してんだ、オレ。もう無理……。

 涼真が部屋を出て行って、オレは、起き上がると、とりあえず服を着た。ちょうど着終えたところで、涼真が戻ってきて、ペットボトルの水を渡された。
 ジーンズだけ履いて上は裸の涼真。

 オレ……涼真に抱かれたのか。……翼の、体で……。
 何だか、感極まって、目頭が熱くなる。
 なんてこと、したんだろう。

 人生で、最大の汚点になりそう……。


「翼、大丈夫か?」
「…………」

 ……もう。何がなんだか分からない。

 涼真と翼がこんな関係なのにも驚いたのに。

 なのに、オレ……涼真のことを、好きだと思い知って。一度だけでもいいとか。
 何しちゃってんの、オレ。その事実だけでも、十分いっぱいいっぱいなのに。

 最中、涼真が、何でか「翔」と呼んでて。
 もう、何か、バレたのかと気が気でない。

 翼の中に入って、涼真に抱かれたオレ。

 ……すごく気持ち悪いよな。
 しかもオレ、ずっと涼真と、全然仲良くできてなかったのに。
 オレ今、翼なのに。
 翔と呼ばれたまま、めちゃくちゃ激しく抱かれてしまった。

 …………どういうことなんだろう?
 全然意味が分からない。

 意味も分からないのに、抱かれるとか。
 オレは、どうしようもないくらい、バカだ。


「何で翼、今日はオレの名前呼んだんだ?」
「……え?」

 ……どういう意味??
 思わずぽかんとして、涼真を見上げたオレに、涼真は苦笑い。

「いつも好きな奴の名前呼ぶのに」
「……?」

 好きな奴の名前を、呼ぶ?
 え。……翼が好きな奴は、別にいるってこと……?

 ――何それ。
 ああ、もう、意味、分かんない。もうだめだ。
 オレは、ベッドから降りて、涼真の横を通り過ぎた。

「ごめん、今日は帰る……!」
「翼?」

 オレは涼真の部屋を急いで出ると靴を履いて、玄関から飛び出した。隣、翼の待ってる自分の家につくと、玄関のドアを開けて駆け込む。

「翼!!!」
 入ると同時に大声で名を呼んだ。シン、と静かな家の中。少しして、二階のドアが開いて翼が出てきた。

「うるさいよ、翔……涼真の家、出てきたのは分かったから、上で待ってたのに」

 翼が、すごく嫌そうな顔でオレを見下ろしている。

「上がっといでよ」
 そう言われて、オレは靴を脱いで、二階に上がった。
 近くで顔を見たらとっさに何も言えず、ただ、翼を見つめる。

 だってオレ。
 翼の体で、涼真と……。
 こんなこと、ありえない。




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