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第4話 ※
しおりを挟む外の明かりが窓から入ってるのでそこまで真っ暗ではないが。
え?
事態が分からなくて、固まってるオレの前で、涼真が着ていたTシャツを脱ぎ捨てた。
男っぽい、体。なぜか、心臓が、ドキン、とした。
え。――――つか、何で、脱いでんの。
強張ってるオレに、近づいてきて。涼真はオレを、ベッドに座らせてそのまま、押し倒した。
「翼、なんか、趣味悪いな」
「……っ?」
ちょっと怒ってるみたいに見える。
「翔の真似とか、すんなよ」
――ずき。
なんか胸が痛い。
硬直してるオレに触れて。
……いや。翼の体に、触れて。 涼真は、服を脱がせてきた。
え。何これ……。
固まりすぎてて。抵抗も出来ないまま。上半身裸になっていた。
閉じられた窓、消された電気、服を脱いだ涼真にベッドの上に押し倒されて、服を脱がされて。
……翼が言ってた、全部納得済みって。
大好きだから、関係壊すなって。
……全部、体は翼のだから、って…… え。こういう、意味?
え、オレに、これを、耐えろって、言ったの??
――嘘、だろ……?
呆然として、動けないオレ。
ふいに、涼真の唇が、首筋に這う。驚いて、びくん!と体が勝手に跳ねた。
「……そんなに首、弱かった?」
ふ、と笑われて見つめられる。……男っぽい、涼真から、目が離せなくなる。
涼真が、何度も首筋にキスしながら、体の色んな所に、触れて。刺激して。
強張って戸惑ったまま、体の熱だけがどんどん上がっていく。
「……ん、……ふっ……」
声が、勝手に、漏れ始めた。
なん、だ、これ。
涼真と翼……こんなこと、して、たの?
オレと離れたのは……翼のこと好きだったから?
……最近二人が会うようになってたのは、こういう関係になったから?
「……っあ……!」
涼真の手が、オレに……じゃなくて。翼のそれに、絡んで。激しく刺激する。
こんな状況でも感じるのは、翼の体が、涼真に慣れてるからなんだろうか。
勝手に声が上がって、こらえようと唇を噛みしめる。
「……んんぅ……ふっ」
「……いつもみたいに、言わねえの? エロい言葉」
……っ言えるかよ……ばか……!
唇を手の甲で塞いで、涼真から顔を背ける。
「……翔っぽくしてンの?」
そんな風に言う涼真の声は、少し、怒ってる気がする。
急に激しくされて、あっという間に達してしまった。
「早いな、今日」
「――――……っ」
ほんとは、蹴り飛ばして、逃げたい。
でも。
翼が、大事にしてるから、絶対壊さないでと言ってたのと……。
――――違う。それじゃない。
もう分かってる。オレは馬鹿だって。本当、死ぬほど馬鹿だって、分かってる。
こんな風に、オレに……翼だけど、でも、今は、オレに。
触れて、見つめてくる涼真に……。
…………抵抗、できない。
翼の、かわりでも。
一度だけ、でも。
馬鹿すぎる自分に、涙が滲む。
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