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番外編
番外編【夏祭り】17 *奏斗
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いっぱい遊び尽くした後、潤くんがもう一回、かき氷を食べたいと言い出した。
「暑いもんね、オレも食べたいから買いにいこっか」
「うん!」
「瑠美さんと四ノ宮は食べる?」
二人はいらないと言うので、側にあった飲食スペースに座って待っててもらうことにした。潤くんと手を繋いで、かき氷の屋台に並ぶ。
「潤くん、抱っこしよっか」
なんかちっちゃくて、踏みつぶされそうでこわい。言うとすぐに、両手を万歳してくるのが、可愛い。
「潤くん、浴衣、似合うね」
「ユキくんも、にあう」
「はは。ありがと」
二人見つめ合って笑ってると、四ノ宮が隣にやってきた。
「オレが抱っこするよ。ほら、潤。奏斗が疲れたら、やだろ?」
「平気だよ? 潤くん、軽いし。瑠美さん一人じゃつまんないんじゃない?」
「姉貴も、行ってこいって」
平気なのにと思うけど、潤くんも手を伸ばしてさっと四ノ宮の方に移っていった。
「……奏斗が疲れるのが嫌なの?」
四ノ宮が潤くんに聞くと、潤くんは、うん、と頷いた。可愛くて、きゅん、としてしまう。
「偉いな、潤」
四ノ宮がクスクス笑いながら、潤くんの頭を撫でる。
「ちなみにさ、潤。オレが疲れたらどうなの?」
「ヒロくんは強いから! 大丈夫!」
満面の笑みで言った潤くんに、四ノ宮がクッと笑い出す。
オレは強くないってことなのかなとちょっぴり複雑な気持ちになりながらも、まあ、四ノ宮と比べたら体格とか身長とか色々違うから、潤くんも自然とそう思うんだろうなあと、ひとり納得。
「潤くん、かき氷の味は?」と聞くと、もう速攻で「カルピスがいい」と言う。決めるの早いなぁと思いながら。なんか、そういうとこも、四ノ宮に似てる感じがする。
「兄弟みたいだよね。なんか、ほんと似てる」
「潤、ヒロくんに似てる?」
「うん。似てるなーて思うよ」
ふふ、と笑いながら、可愛いくりくりの瞳でオレを見つめてくる潤くんを、ナデナデしていると、潤くんは四ノ宮を見上げた。
「似てる?」
そう聞かれた四ノ宮は、「似てるかもな」と微笑んだ。すると。「そっかー」と言いながら、潤くんがなんだかめちゃくちゃ嬉しそうに笑った。
その顔を見て、四ノ宮とオレは、同じタイミングで顔を見合わせて、ふっと笑い合う。
「かわいいね」
潤くんは「可愛い」があんまりみたいなので、声に出さず、唇だけで言って見せると、四ノ宮も肩を竦めながら頷いた。四ノ宮に似てるの、そんなに嬉しいんだなーと思うと。なんかほんとに可愛らしい。
かき氷を買って、瑠美さんのところに戻る。抱っこしてたまま、四ノ宮の隣に潤くん、オレは瑠美さんの隣に座った。
「潤、今度は何味?」
「カルピス」
「ユキくんは?」
「ブルーハワイです。どんな味なんだっけと思って買ってみたんですけど」
「どんな味だった?」
「……懐かしい味??」
考えながら言うと、四ノ宮が、ぷ、と笑う。
「ブルーハワイって、何味なの? ちょうだい」
ほれ食べて、とカップごと渡すと、食べた四ノ宮が「ああ」と笑った。
「ソーダ??」
「……かなあ??」
「奏斗、ベーってして」
言われるまま舌を見せると、潤くんが「青いー!」とキャッキャッ楽しそうに笑う。
「そんな青い?」
「ん」
ふ、と目を細めて笑う四ノ宮に、なんだか急に、どき、とする。ごまかしてかき氷をひたすら食べていると、瑠美さんがオレを見て、微笑んだ。
「潤って、大翔に似てると思う?」
瑠美さんに聞かれて「兄弟みたいってさっきも言ってて……」と笑いながら答えると、四ノ宮と潤くんも、顔を見合わせて笑ってる。
「見る人によってはパパに似てるって言われるんだけど、パパを知らないと、潤と大翔がそっくりに見えるらしいの。ユキくん、まだパパに会ってないからね。あ、でも、パパと大翔は似てないわよ? 今度、主人に会ってやってね」
瑠美さんが、ふふ、と笑うので、オレはなんだか嬉しくなって頷いた。
瑠美さんの旦那さん。本当なら、オレには関係ないはずの人なんだけど。
……関係あるって思ってくれての、セリフなんだろうなあと思うと。
もう、ただ、嬉しい。
「仕事してる時は堅そうだけど、面白い人だから」
「楽しみにしてます」
なんとなく瑠美さんが選ぶ人は、すごそう……と思いつつ、そう言うと。
不意に、目の前の潤くんが、ふわ、とあくびをした。
「暑いもんね、オレも食べたいから買いにいこっか」
「うん!」
「瑠美さんと四ノ宮は食べる?」
二人はいらないと言うので、側にあった飲食スペースに座って待っててもらうことにした。潤くんと手を繋いで、かき氷の屋台に並ぶ。
「潤くん、抱っこしよっか」
なんかちっちゃくて、踏みつぶされそうでこわい。言うとすぐに、両手を万歳してくるのが、可愛い。
「潤くん、浴衣、似合うね」
「ユキくんも、にあう」
「はは。ありがと」
二人見つめ合って笑ってると、四ノ宮が隣にやってきた。
「オレが抱っこするよ。ほら、潤。奏斗が疲れたら、やだろ?」
「平気だよ? 潤くん、軽いし。瑠美さん一人じゃつまんないんじゃない?」
「姉貴も、行ってこいって」
平気なのにと思うけど、潤くんも手を伸ばしてさっと四ノ宮の方に移っていった。
「……奏斗が疲れるのが嫌なの?」
四ノ宮が潤くんに聞くと、潤くんは、うん、と頷いた。可愛くて、きゅん、としてしまう。
「偉いな、潤」
四ノ宮がクスクス笑いながら、潤くんの頭を撫でる。
「ちなみにさ、潤。オレが疲れたらどうなの?」
「ヒロくんは強いから! 大丈夫!」
満面の笑みで言った潤くんに、四ノ宮がクッと笑い出す。
オレは強くないってことなのかなとちょっぴり複雑な気持ちになりながらも、まあ、四ノ宮と比べたら体格とか身長とか色々違うから、潤くんも自然とそう思うんだろうなあと、ひとり納得。
「潤くん、かき氷の味は?」と聞くと、もう速攻で「カルピスがいい」と言う。決めるの早いなぁと思いながら。なんか、そういうとこも、四ノ宮に似てる感じがする。
「兄弟みたいだよね。なんか、ほんと似てる」
「潤、ヒロくんに似てる?」
「うん。似てるなーて思うよ」
ふふ、と笑いながら、可愛いくりくりの瞳でオレを見つめてくる潤くんを、ナデナデしていると、潤くんは四ノ宮を見上げた。
「似てる?」
そう聞かれた四ノ宮は、「似てるかもな」と微笑んだ。すると。「そっかー」と言いながら、潤くんがなんだかめちゃくちゃ嬉しそうに笑った。
その顔を見て、四ノ宮とオレは、同じタイミングで顔を見合わせて、ふっと笑い合う。
「かわいいね」
潤くんは「可愛い」があんまりみたいなので、声に出さず、唇だけで言って見せると、四ノ宮も肩を竦めながら頷いた。四ノ宮に似てるの、そんなに嬉しいんだなーと思うと。なんかほんとに可愛らしい。
かき氷を買って、瑠美さんのところに戻る。抱っこしてたまま、四ノ宮の隣に潤くん、オレは瑠美さんの隣に座った。
「潤、今度は何味?」
「カルピス」
「ユキくんは?」
「ブルーハワイです。どんな味なんだっけと思って買ってみたんですけど」
「どんな味だった?」
「……懐かしい味??」
考えながら言うと、四ノ宮が、ぷ、と笑う。
「ブルーハワイって、何味なの? ちょうだい」
ほれ食べて、とカップごと渡すと、食べた四ノ宮が「ああ」と笑った。
「ソーダ??」
「……かなあ??」
「奏斗、ベーってして」
言われるまま舌を見せると、潤くんが「青いー!」とキャッキャッ楽しそうに笑う。
「そんな青い?」
「ん」
ふ、と目を細めて笑う四ノ宮に、なんだか急に、どき、とする。ごまかしてかき氷をひたすら食べていると、瑠美さんがオレを見て、微笑んだ。
「潤って、大翔に似てると思う?」
瑠美さんに聞かれて「兄弟みたいってさっきも言ってて……」と笑いながら答えると、四ノ宮と潤くんも、顔を見合わせて笑ってる。
「見る人によってはパパに似てるって言われるんだけど、パパを知らないと、潤と大翔がそっくりに見えるらしいの。ユキくん、まだパパに会ってないからね。あ、でも、パパと大翔は似てないわよ? 今度、主人に会ってやってね」
瑠美さんが、ふふ、と笑うので、オレはなんだか嬉しくなって頷いた。
瑠美さんの旦那さん。本当なら、オレには関係ないはずの人なんだけど。
……関係あるって思ってくれての、セリフなんだろうなあと思うと。
もう、ただ、嬉しい。
「仕事してる時は堅そうだけど、面白い人だから」
「楽しみにしてます」
なんとなく瑠美さんが選ぶ人は、すごそう……と思いつつ、そう言うと。
不意に、目の前の潤くんが、ふわ、とあくびをした。
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