【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

文字の大きさ
上 下
539 / 557
番外編

番外編【夏祭り】12 *奏斗

しおりを挟む


「今度は、大翔の恋人として、皆に会ってやって。もちろん、行こうって思えた時でいいんだけどね。多分、お母さんなんて、今日、ユキくんに会ったって言ったら、ずるいって大騒ぎすると思う」

 ふふ、と笑う瑠美さん。

「前だったらね、私、ユキくんにこう言ったと思うの」
「?」
「大翔って何考えてるか分かんなくて大変でしょ。でも中身はわりといい子だから……って、言ったと思うんだけど」
「――――……」

 少し前のオレなら、めちゃくちゃ頷いた気がする。ふ、と笑ってしまいながら、瑠美さんの言葉の続きを待っていると。

「今の大翔は、分かりやすいし。隠したりひねくれてたりが全然ないみたい。なんだか素直で、ちょっとびっくりする」

 潤くんをだっこして笑ってる四ノ宮を、ふ、と微笑んで見つめる瑠美さんに、「……オレも」と呟く。

「ん?」
 オレに視線を戻して、ふ、と微笑む瑠美さん。

「最初の頃は、良い人すぎて、笑った顔がうさんくさい、て思ってたんです」

 そう言うと、瑠美さんは一瞬オレをマジマジ見つめてから、あはは、と笑い出した。

「あら。当たってるーすごいね、ユキくん。あれ、なかなかバレないのに」
「それに、四ノ宮もオレのこと、いっぱい苛々することあったと思うし」
「そうなの?」
「心配も、迷惑も、すごくかけたので……何でオレのこと、そう思ったのかは、今も、よく分かんないんですけど」
「……ん」

 綺麗な唇で微笑みを作って頷いて、オレの言葉を待っててくれるので。

「……でも、今は信じてて。オレも、ずっと居れたらって、思ってる、ので」
「――――……」

「……よろしくおねがいします」

 頭を下げて言ってしまってから、はっと気づく。
 ……って変かな、こんなとこで。よろしくお願いしますって。もっとちゃんとしたところで言うべきだった? なんか話の流れで言っちゃったけど。
 急に焦って、心の中、バクバクしすぎていると。

「もちろん。こちらこそよろしくお願いします」

 うっとりするくらい綺麗に微笑んで、ぺこ、と頭を下げてくれる。少し伏せた視線が上を向いてオレと目が合うと、瑠美さんは、にこっと満面の笑顔。

「可愛い弟が、増えて嬉しい」

 ふ、と笑った瑠美さんの腕が、オレの腕にかかって、ぐい、と引かれて、そのまま、四ノ宮と潤くんの近くまで連れていかれる。

「大翔ー」
 振り返った四ノ宮は、「ん?」と、瑠美さんとオレに視線を向けると。

「ん? っつか、腕組むなよ」
 四ノ宮が言った一言に、瑠美さんと顔を見合わせて笑ってしまう。

「いいじゃない。たった今、正式に弟が出来たんだもん」
「何それ? 正式に?」
「ユキくん、可愛くて」

 ふふ、と笑う瑠美さんに、四ノ宮が苦笑しながらも、一回離して、とか言って、オレを自分の方に引き寄せる。

「もー、大翔、ケチね」
 もう、と可愛く膨れた瑠美さんだけど、潤くんがオレを見つめて「ユキくん、かわいー」と笑うと、瑠美さんも、ふふ、と笑って「そうだよねー」と返した。

「なあ、潤」
 四ノ宮が潤くんを見つめて、面白そうに笑いながら呼びかけた。
「うん??」
 きょと、とまっすぐな瞳で潤くんは四ノ宮を見上げている。

「奏斗は可愛いの? カッコいいじゃないのか?」
「んと……どっちもー」
 少し考えた後、うふふ、と笑う潤くんに、あそ、と四ノ宮が苦笑してる。
「じゃあオレは?」
「ヒロくんは、可愛くないー」

 潤くんの言葉に、瑠美さんが、あは、と笑い出す。
 多分、四ノ宮は可愛いじゃなくて、カッコいいってことなんだろうけど。
 言い方だよね。面白いな。クスクス笑ってしまっていると、四ノ宮がオレを見て、また苦笑い。

「奏斗、オレ、可愛い?」
「え」
 ふざけて、楽しそうに聞いてくる四ノ宮に、んーと、と考えた後。

「か……可愛い、かな? たぶん……」

 ちょっと恥ずかしくなりながらそう言うと、「ヒロくん、可愛くないよー!」と潤くんが即言って、ぶんぶん顔を振っている。おかしくなって、笑ってしまう。

「潤くん、四ノ宮は、カッコいいんだよね?」

 オレがそう言って潤くんを見つめると、ぱあっと笑顔になって、「うん!」と笑う潤くん。……めっちゃかわゆい。


 なんかずーっと。心の中が、あったかい。
 
 
 







(2024/8/16)
このお話って楽しいですか?(;'∀')??
大丈夫かな? 私は楽しいんですけど(^^; 
長くなっちゃってるので……
だからといって、楽しくないとは聞きたくないのですが(笑)(;'∀')(;'∀')💦
もう少し(しばらく?)で、しめますね~(๑´ლ`๑)フフ♡
しおりを挟む
感想 331

あなたにおすすめの小説

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

その日君は笑った

mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。 それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。 最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。 拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。 今後ともよろしくお願い致します。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭

処理中です...