上 下
527 / 551
番外編

番外編【諦めるか否か】大翔side ◆終

しおりを挟む

皆さま♡
ここまでお付き合いくださってありがとうございました。
ひとまず、大翔サイド、ここで終わります。
幸せな気持ちで読み終えて頂けたらいいなと思いながら書きました。

感想やレビューは今後の励みになるので、一言でもぜひ🥰✨

それから今ムーンでも、少し推敲したもので投稿しています。ムーンてなかなか読まれない? 長編すぎるから? ブクマがエブリとかの何十分の一なのですが(笑 完結したら読んで頂けるのかな~?と思って、出来る時にぽちぽち転載しております♡
良かったら、いつか読み直して頂くならぜひそちらで~✨ 
ムーンでは「星井悠里」になっています♡

ここで、一旦完結にします。
ありがとうございました(★´∀`)ノ 

悠里


◇ ◇ ◇ ◇



「あれ。四ノ宮に戻ってる。大翔って呼ぶんじゃないの?」
 からかうようにそう言ったら。

「……恥ずかしいからたまに呼ぶことにする」
「はは、何それ」

 奏斗らしくて可愛いので、ぎゅ、と抱き締めておく。

「やっぱり可愛い」
 言いながら、また唇を深く重ねる。


 もう、可愛いしか、ないんだよ、奏斗。


「……奏斗……」

 キスの間で、何度も呼んでしまう。

 今までの彼女に言ったら、めちゃくちゃ怒られると思うけど。オレは、ちゃんとした意味で、人を愛したのは、奏斗が初めて。
 奏斗が、初恋だと思う。
 奏斗は、和希にちゃんと恋してたんだろうから和希が初恋なんだろうけど。


 オレとの恋が、初恋よりもいいって。
 一番、甘くて優しくて幸せだって、思ってもらおう。

 人生長いし。まだこれから色んな人に会うんだろうけど。

 オレが守りたくて、大事にしたくて、笑わせて居たいのは、
 絶対、奏斗だ。
 運命の人との出会いって、いつ来るものなのか分かんないけど。
 オレ達は、早く出逢えて、良かったと思う。


 奏斗のことが、大好きすぎて。
 くすぐったいくらい、甘い感情が、胸の中に溢れる。


「四ノ宮」
「ん」
「……好き」
「うん……そこ、愛してる、じゃないの?」

 クスクス笑うと。

「それも恥ずかしいから、たまに言う」

 ……可愛いな。恥ずかしがるの。
 「たまに言ってくれるんだ」と微笑みながら言う。


「愛してるよ、奏斗」

 囁いて抱き寄せる。
 キスしたまま少し見つめ合う。ゆっくりと伏せられていくまぶた。最後に伏せる瞬間、ふ、と緩んで、嬉しそうに笑んだように見えた瞳が愛しくて。

 
 奏斗を抱く手に、力がこもった。





◇ ◇ ◇ ◇



 久しぶりに奏斗と食べる朝食。
 もちろん、ホットサンドを作ってあげた。

 久しぶり、と言って、パンに挨拶?してる奏斗に笑ってしまう。

 もちろん、席は、隣。

「もうさ、隣に座っても、変って言わない?」
「……んん? どうだろ、四人掛けに並んで座るのは普通に考えたら……」
「もう恋人だし、横に座る理由があるじゃん」
「……理由」
 んー、と考えてる奏斗に、うそでしょ、と笑う。

「近くに居たいから。じゃん」
「――――……」

 ぽ。と染まる頬。
 真っ赤、て感じじゃなくて、少しだけ、赤がさした頬が、可愛い。

「女の子みたいだね、言うこと。可愛すぎない? 四ノ宮……」
「それはちょっと待って。女の子とか、嫌すぎる……」
「いいじゃん、可愛いって言ってるんだよ?」
「オレ、可愛くなくていいし」
「可愛いって正義だって言ってたよ」
「誰が?」
「……誰かが言ってた」
「なにそれ。まあいいや。じゃあ奏斗イコール正義だね」
「それこそ何それ」
「だって奏斗は、ずっと可愛いから」
「……オレだって別に可愛くなくていいし」

 むー、と言いながら、ぱく、とホットサンドを食べて、おいしー、とほくほくしてる奏斗の、後頭部を撫でてしまう。

「可愛い」
「……あの。恥ずかしいから、やめて。食べてるし」
「食べ終わったら言うね」
「いいよ、言わなくてー」
「言うから。一生言うから」
「えええ……」

 言い合って。そこで止まって、ふ、と笑い合う。
 楽しいな、なんて思いつつ、食事が終わって、そのままコーヒーを飲みながら、ふと、思い出したこと。


「オレねー、奏斗」
「ん?」

「母さんのことさぁ」
「うん」
「……世間知らずでちょっとおかしな人かと思ってたの」
「はー? 超失礼」
 眉を寄せてる奏斗に、苦笑してしまう。

「だって、親父のパーティーなんか、なんも楽しいことないのに、楽しそうにいつも出てるし、もうなんかお花畑に住んでる人かなーって。優しいから嫌いではなかったけど。うちの親さ、子育て自体は人任せだったって言ったっけ?  忙しいし、夜とか出かけることも多いしさ」
「うん。そうなんだ……でも失礼」
「うん。そう、失礼なんだけどね」
「ん? だけど?」
 
 じっと見つめられて、ん、と頷いて。

「……今回奏斗のことで話してて、認識が、全然逆だったって分かった」
「逆?」
「……お花畑なんじゃなくて……なんというか、ふわふわしてんだけど、これが大事ってものがはっきりしてて、それ以外は、どうでもいいみたいな……? 多分親父のことが大事で、パーティーも、それに意味があると思ってるから、あんなに楽しそうにしてるんだって。嫌な奴とか、変な奴とか、絶対いるだろうにさ、へっちゃらな感じにしてるのは、気付かないんじゃなくて、多分、あれは、そっちはどうでもいいって思ってるんだろうなーと」
「なるほどー……」
「だから、強いんだと思う。今まで思いもしなかった」
「ふうん。そっか」
「……親父が、母さんと結婚して正解だったっていうのは、ただほわほわしてるからっていうんじゃないんだろうなーって、今回ちょっと思ってさ」

 クスクス笑ってしまう。

「物心ついてからずっと、母さんは変わってるなーってと思ってたんだよ。すごくない?」
「……んー、それすごいって言うの?」

 なんだか、クスクス笑い合う。

「ていうか、まだ、今も変わってるとは、思ってる」
「そうなんだ」
 ふふ、と奏斗が笑う。

「でもね。オレが幸せならいいんだって。奏斗が、息子になってくれたら、嬉しいって。奏斗が断った理由が、オレのためなら、頑張っておいでってさ。すごい、背中押された」
「――――……」

「姉貴とかも、特に結婚してからは全然絡んでなかったしさ。なのにすげーオレのこと知られてるし。親父も、早く見合いして結婚して後をつげって思ってるんだと思ったら、どうやら違うっぽいし」
「……いいよね。四ノ宮の家族」

「まあオレは今回、奏斗とのことで、家族を見直したから。まあ、これは、引いては奏斗のおかげだね」
「……んん? そう??」

 苦笑の奏斗に。

「奏斗とこうならなかったら、オレは一生、家族のそういうのも知らないままで、オレ自身は、どーせ外見と金だろーとか言う人間になってたかもしれない」
「……そうかな?? どこかで気づいてたんじゃない? 四ノ宮、ほんとのとこは、全然やな奴じゃなかったし」
「奏斗が居たからだよ」
「――――……」

「素直に考えて、素直に言葉にすることとか。善意の方を信じるとか。人がいいなーてとことか。そういうの見てたら……なんとなくオレの中で、軌道修正が出来たって感じ」
「――――……」

「もしオレが今いい奴なら、奏斗がいい奴だからだよ」
「……なんかおおげさだし……オレのおかげではないと思うけど」

 奏斗はクスクス笑って、オレを見る。

「オレといると、四ノ宮にいい影響が出る……っていうなら、嬉しい」
「出まくりですから」
「から?」

 くい、と引いて、奏斗をぎゅ、と抱き締める。

「だから、ずっと側に居てね」
「――――……うん」

 背中に、奏斗の手が、ぴと、とくっついてくるのが、愛しい。


「ほらね?」
「??」
「隣に居れば、こうやってすぐ抱き締められるじゃん?」
「……ん。分かった」


 ふふ、と笑って、奏斗が頷く。
 すり、と顎に触れる、柔らかい髪の毛が、愛おしい。





 ずっと。隣に居るからね。


 抱き締めながら、誓った。










「初恋よりも甘い恋なんて」
 大翔番外編 -FIN-




(2024/5/11)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉

あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた! 弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

短編エロ

黒弧 追兎
BL
ハードでもうらめぇ、ってなってる受けが大好きです。基本愛ゆえの鬼畜です。痛いのはしません。 前立腺責め、乳首責め、玩具責め、放置、耐久、触手、スライム、研究 治験、溺愛、機械姦、などなど気分に合わせて色々書いてます。リバは無いです。 挿入ありは.が付きます よろしければどうぞ。 リクエスト募集中!

処理中です...