【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

文字の大きさ
上 下
527 / 557
番外編

番外編【諦めるか否か】大翔side ◆終

しおりを挟む

皆さま♡
ここまでお付き合いくださってありがとうございました。
ひとまず、大翔サイド、ここで終わります。
幸せな気持ちで読み終えて頂けたらいいなと思いながら書きました。

感想やレビューは今後の励みになるので、一言でもぜひ🥰✨

それから今ムーンでも、少し推敲したもので投稿しています。ムーンてなかなか読まれない? 長編すぎるから? ブクマがエブリとかの何十分の一なのですが(笑 完結したら読んで頂けるのかな~?と思って、出来る時にぽちぽち転載しております♡
良かったら、いつか読み直して頂くならぜひそちらで~✨ 
ムーンでは「星井悠里」になっています♡

ここで、一旦完結にします。
ありがとうございました(★´∀`)ノ 

悠里


◇ ◇ ◇ ◇



「あれ。四ノ宮に戻ってる。大翔って呼ぶんじゃないの?」
 からかうようにそう言ったら。

「……恥ずかしいからたまに呼ぶことにする」
「はは、何それ」

 奏斗らしくて可愛いので、ぎゅ、と抱き締めておく。

「やっぱり可愛い」
 言いながら、また唇を深く重ねる。


 もう、可愛いしか、ないんだよ、奏斗。


「……奏斗……」

 キスの間で、何度も呼んでしまう。

 今までの彼女に言ったら、めちゃくちゃ怒られると思うけど。オレは、ちゃんとした意味で、人を愛したのは、奏斗が初めて。
 奏斗が、初恋だと思う。
 奏斗は、和希にちゃんと恋してたんだろうから和希が初恋なんだろうけど。


 オレとの恋が、初恋よりもいいって。
 一番、甘くて優しくて幸せだって、思ってもらおう。

 人生長いし。まだこれから色んな人に会うんだろうけど。

 オレが守りたくて、大事にしたくて、笑わせて居たいのは、
 絶対、奏斗だ。
 運命の人との出会いって、いつ来るものなのか分かんないけど。
 オレ達は、早く出逢えて、良かったと思う。


 奏斗のことが、大好きすぎて。
 くすぐったいくらい、甘い感情が、胸の中に溢れる。


「四ノ宮」
「ん」
「……好き」
「うん……そこ、愛してる、じゃないの?」

 クスクス笑うと。

「それも恥ずかしいから、たまに言う」

 ……可愛いな。恥ずかしがるの。
 「たまに言ってくれるんだ」と微笑みながら言う。


「愛してるよ、奏斗」

 囁いて抱き寄せる。
 キスしたまま少し見つめ合う。ゆっくりと伏せられていくまぶた。最後に伏せる瞬間、ふ、と緩んで、嬉しそうに笑んだように見えた瞳が愛しくて。

 
 奏斗を抱く手に、力がこもった。





◇ ◇ ◇ ◇



 久しぶりに奏斗と食べる朝食。
 もちろん、ホットサンドを作ってあげた。

 久しぶり、と言って、パンに挨拶?してる奏斗に笑ってしまう。

 もちろん、席は、隣。

「もうさ、隣に座っても、変って言わない?」
「……んん? どうだろ、四人掛けに並んで座るのは普通に考えたら……」
「もう恋人だし、横に座る理由があるじゃん」
「……理由」
 んー、と考えてる奏斗に、うそでしょ、と笑う。

「近くに居たいから。じゃん」
「――――……」

 ぽ。と染まる頬。
 真っ赤、て感じじゃなくて、少しだけ、赤がさした頬が、可愛い。

「女の子みたいだね、言うこと。可愛すぎない? 四ノ宮……」
「それはちょっと待って。女の子とか、嫌すぎる……」
「いいじゃん、可愛いって言ってるんだよ?」
「オレ、可愛くなくていいし」
「可愛いって正義だって言ってたよ」
「誰が?」
「……誰かが言ってた」
「なにそれ。まあいいや。じゃあ奏斗イコール正義だね」
「それこそ何それ」
「だって奏斗は、ずっと可愛いから」
「……オレだって別に可愛くなくていいし」

 むー、と言いながら、ぱく、とホットサンドを食べて、おいしー、とほくほくしてる奏斗の、後頭部を撫でてしまう。

「可愛い」
「……あの。恥ずかしいから、やめて。食べてるし」
「食べ終わったら言うね」
「いいよ、言わなくてー」
「言うから。一生言うから」
「えええ……」

 言い合って。そこで止まって、ふ、と笑い合う。
 楽しいな、なんて思いつつ、食事が終わって、そのままコーヒーを飲みながら、ふと、思い出したこと。


「オレねー、奏斗」
「ん?」

「母さんのことさぁ」
「うん」
「……世間知らずでちょっとおかしな人かと思ってたの」
「はー? 超失礼」
 眉を寄せてる奏斗に、苦笑してしまう。

「だって、親父のパーティーなんか、なんも楽しいことないのに、楽しそうにいつも出てるし、もうなんかお花畑に住んでる人かなーって。優しいから嫌いではなかったけど。うちの親さ、子育て自体は人任せだったって言ったっけ?  忙しいし、夜とか出かけることも多いしさ」
「うん。そうなんだ……でも失礼」
「うん。そう、失礼なんだけどね」
「ん? だけど?」
 
 じっと見つめられて、ん、と頷いて。

「……今回奏斗のことで話してて、認識が、全然逆だったって分かった」
「逆?」
「……お花畑なんじゃなくて……なんというか、ふわふわしてんだけど、これが大事ってものがはっきりしてて、それ以外は、どうでもいいみたいな……? 多分親父のことが大事で、パーティーも、それに意味があると思ってるから、あんなに楽しそうにしてるんだって。嫌な奴とか、変な奴とか、絶対いるだろうにさ、へっちゃらな感じにしてるのは、気付かないんじゃなくて、多分、あれは、そっちはどうでもいいって思ってるんだろうなーと」
「なるほどー……」
「だから、強いんだと思う。今まで思いもしなかった」
「ふうん。そっか」
「……親父が、母さんと結婚して正解だったっていうのは、ただほわほわしてるからっていうんじゃないんだろうなーって、今回ちょっと思ってさ」

 クスクス笑ってしまう。

「物心ついてからずっと、母さんは変わってるなーってと思ってたんだよ。すごくない?」
「……んー、それすごいって言うの?」

 なんだか、クスクス笑い合う。

「ていうか、まだ、今も変わってるとは、思ってる」
「そうなんだ」
 ふふ、と奏斗が笑う。

「でもね。オレが幸せならいいんだって。奏斗が、息子になってくれたら、嬉しいって。奏斗が断った理由が、オレのためなら、頑張っておいでってさ。すごい、背中押された」
「――――……」

「姉貴とかも、特に結婚してからは全然絡んでなかったしさ。なのにすげーオレのこと知られてるし。親父も、早く見合いして結婚して後をつげって思ってるんだと思ったら、どうやら違うっぽいし」
「……いいよね。四ノ宮の家族」

「まあオレは今回、奏斗とのことで、家族を見直したから。まあ、これは、引いては奏斗のおかげだね」
「……んん? そう??」

 苦笑の奏斗に。

「奏斗とこうならなかったら、オレは一生、家族のそういうのも知らないままで、オレ自身は、どーせ外見と金だろーとか言う人間になってたかもしれない」
「……そうかな?? どこかで気づいてたんじゃない? 四ノ宮、ほんとのとこは、全然やな奴じゃなかったし」
「奏斗が居たからだよ」
「――――……」

「素直に考えて、素直に言葉にすることとか。善意の方を信じるとか。人がいいなーてとことか。そういうの見てたら……なんとなくオレの中で、軌道修正が出来たって感じ」
「――――……」

「もしオレが今いい奴なら、奏斗がいい奴だからだよ」
「……なんかおおげさだし……オレのおかげではないと思うけど」

 奏斗はクスクス笑って、オレを見る。

「オレといると、四ノ宮にいい影響が出る……っていうなら、嬉しい」
「出まくりですから」
「から?」

 くい、と引いて、奏斗をぎゅ、と抱き締める。

「だから、ずっと側に居てね」
「――――……うん」

 背中に、奏斗の手が、ぴと、とくっついてくるのが、愛しい。


「ほらね?」
「??」
「隣に居れば、こうやってすぐ抱き締められるじゃん?」
「……ん。分かった」


 ふふ、と笑って、奏斗が頷く。
 すり、と顎に触れる、柔らかい髪の毛が、愛おしい。





 ずっと。隣に居るからね。


 抱き締めながら、誓った。










「初恋よりも甘い恋なんて」
 大翔番外編 -FIN-




(2024/5/11)
しおりを挟む
感想 331

あなたにおすすめの小説

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。

riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。 召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。 しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。 別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。 そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ? 最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる) ※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

処理中です...