【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

文字の大きさ
上 下
495 / 556
番外編

【当たり前に】奏斗side 8

しおりを挟む
 少しして落ち着いてから、外はダメだよ、と四ノ宮を見上げると。
「ちゃんと見てからしたよ」と言う四ノ宮。

「でもどこから見えてるか分かんないし。外ですんのは無し」
 そう言うと、四ノ宮はクスクス笑って考えてから、少し首を傾げた。

「無理だよ。可愛いんだもん」
「無理とかじゃなくて」
「そもそもオレは別に、誰にバレても困んないし」
 そんな言葉に、オレは四ノ宮を見上げる。

「困るでしょ、色々」
「何が困んの? それが原因で引いてく奴は最初からいらないかなぁ。なんも困んない気がする」
「――――……」

 四ノ宮の言う言葉は、かなり極論な気がするんだけど。

「いつかもうオープンに、しようね」

 ふ、と笑う四ノ宮。
 ……ちょっとまだそこまでは頷けないけど。

 なんかいつか四ノ宮のこの感じに押されて、そうなるかもしれないとか。
 それが怖いような。怖くないような。なんかよく分かんない気持ち。
 オープンにするかもなんて、今までの人生で考えたことすらなかったのに。

 ……絶対知られたくないと思ってた。誰にも。
 でもなんか、今は……少し前と、大分違う。

 四ノ宮が居てくれるっていうのは大きいかもしれないけど。
 もし、四ノ宮が居なくなっても、オレはオレ自身のそれを、別に恥じなくてもいいのかなって。拒否られるかもしれないけど受け入れてくれる誰かは居るって、なんか少しだけ、思えるようになってる。……かも。

「奏斗、悩んじゃった?」
「ん。悩んでないよ」
「そっちは追々考えるとしてさ、とりあえず他人のことより先に……家族に会いに行こうね」
「でも、そっちも急がなくていいよ。今みたいに一緒に居られればいいし」
「うんまあ。そうなんだけど」

 四ノ宮はオレを見つめて、んー、と考えてから。

「でもやっぱり、一緒に住みたいな」
「でも、もうちょっと今のままで様子見た方がいいかもだしさ」
「何で?」
「しばらく居たら、やっぱり違ったってなるかもしんないし」

 どうかわかんないじゃん? と言ってみると。
 四ノ宮は、予想通り、む、と目を据わらせる。

「それって、違ったってどっちがなると思ってるの? 奏斗がなる?」
「オレじゃなくて、四ノ宮が、かな」
「――――それなら、無いから大丈夫」

 途端に上機嫌になったので、あれ? と見上げると。

「奏斗はなんないんだなーと思ったら嬉しい」

 楽しそうに笑う四ノ宮。

 ……なる訳ないと思うし。
 毎日毎日。好きだなって、オレ、思ってるし。

 四ノ宮を否定しようとしてた時も惹かれてた位だから。そうそう嫌いになったりできる気がしない。
 そう思っていると、四ノ宮がクスクス笑いながらオレを見つめた。

「いまさら、奏斗にちょっとやなとこがあったからって、嫌いになんかならないよ」
「――――……」
「てか、嫌って思わないし、奏斗がしてると、全部可愛い」
「……病気?」

 苦笑しながら言ったオレに、んー? と少し笑ってから。

「そかもね。恋は病っつーでしょ」
「――――」

 何言ってんだろと思うけど。
 でも、四ノ宮のことを考えると。

 ……ちょっと分かる気もしてしまうから。オレも病気かもしんない。
 





しおりを挟む
🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡

感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷

投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。

Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷 
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵

感想 331

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

訳ありな家庭教師と公爵の執着

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝名門ブライアン公爵家の美貌の当主ギルバートに雇われることになった一人の家庭教師(ガヴァネス)リディア。きっちりと衣装を着こなし、隙のない身形の家庭教師リディアは素顔を隠し、秘密にしたい過去をも隠す。おまけに美貌の公爵ギルバートには目もくれず、五歳になる公爵令嬢エヴリンの家庭教師としての態度を崩さない。過去に悲惨なめに遭った今の家庭教師リディアは、愛など求めない。そんなリディアに公爵ギルバートの方が興味を抱き……。 ※設定などは独自の世界観でご都合主義。ハピエン🩷 さらりと読んで下さい。 ※稚拙ながらも投稿初日(2025.1.26)から、HOTランキングに入れて頂き、ありがとうございます🙂 最高で26位(2025.2.4)。

あの頃の僕らは、

のあ
BL
親友から逃げるように上京した健人は、幼馴染と親友が結婚したことを知り、大学時代の歪な関係に向き合う決意をするー。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

処理中です...