【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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未来

「くれるなら」*奏斗

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 それからしばらく。
 何だか肩を掴まれる感じのままで、四ノ宮は、オレの肩から顔を上げない。

「……四ノ宮?」

  小さく、呼んでみる。

「……ん?」

 返事はするけど、まだ顔を上げない四ノ宮に、ふ、と口元が綻んだ。

「……あのさ」
「ん」

 顔、上がんないけど。
 もう言ってみることにした。

「オレと付き合って。……ずっと一緒に居たいって思ってくれるように……頑張るから」
「――――」

 今度は返事もなく、ますます固まってた四ノ宮が、数秒後、顔を上げて、オレを見つめる。
 めちゃくちゃじっと、見つめられて。

「いまのもう一回。オレの顔見て言って?」
「え? あ、うん。分かった」

 何だかあまりに真剣な顔なので。
 ふ、と、笑ってしまう。

 ……オレの方がほんとは。
 一生懸命、言ってるんだけど。

「オレと、付き合って? ……ずっと一緒に居たいって思ってくれるように、頑張るから」

 もう一度、同じ言葉を言い切ると、真剣な顔で聞いていた四ノ宮は、嬉しそうに微笑んだ。

「頑張んなくていいよ。そのまま、居てよ。……つか、今オレ、奏斗に、付き合ってって、言われたの?」
「……何その質問……言ったよ?」

 なんかめちゃくちゃ顔近い。オレが頷くと。

「すげー嬉しいんだけど。付き合うに決まってるし」

 めちゃくちゃ嬉しそうに笑って、四ノ宮はそう言った。 
 すごくほっとした瞬間。頬に熱い手が触れた。

「今からもう、オレので、いい? 奏斗は色々心配してるけど……オレ、今更無理なことなんかないと思うし。離さないよ?」
「……うん」
「オレ、嫌ってくらい側に居るよ?」
「嫌って、言わないし。オレ、四ノ宮が側にいるの、嫌って思ったこと、ないよ」
「んな可愛いこと言ってると、離さないからね」
「うん。それが、いい」

 そう言うと、四ノ宮は、ニヤ、と笑う。

「後悔しないでね?」
「後悔って?」
「オレ、初めてだから」
「なにが?」
「こんなに、人を欲しいと思うのも、好きだって、思うのも」
「――しないよ。後悔なんて」
「……そっか。ん。分かった」

 妙な確認みたいなのを終えた四ノ宮は、じっとオレを見つめて、それから、ぎゅっとオレを抱き締めて。
 それから、ひょい、と抱き上げた。

「え?」
「いますぐオレのにする」
「え……待って、靴……っ! 鍵もかけてないし」

 焦って言うと、家の中に進もうとしてした四ノ宮に、なんだかものすごく嫌々、玄関に降ろされた。
 鍵をかけながら、ちょっと振り返ると、四ノ宮は「ん」と腕を開いて、オレを待ってる。

「――――」

 オレが靴を脱いで上がると、四ノ宮がオレを、ぎゅっと抱き締めた。

「オレに奏斗、ちょーだい」

 まっすぐ見つめられてそう言われて。
 ふ、と笑ってしまいながら。

「……四ノ宮も、くれるなら。いいよ」

 そう言ったら、四ノ宮は、嬉しそうに微笑んだ。

「つか、オレはもう、最初から全部あげてるようなものだったと思うけど」

 笑う四ノ宮のキスが重なる。

「……ん……」

 息、出来ないみたいなキスが、長く続いて。
 急激に熱くなった息をついた瞬間、またひょい、と抱き上げられた。

「わ……」
「シャワー、浴びよ」

 笑み交じりの優しい声。
 ぎゅ、と首にしがみついて。ん、と頷いた。





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